僕はただの妖精だから執着しないで

ふわりんしず。

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BLゲームの世界

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気付いたら僕は前世でしていたBLゲームの世界に転生していた。何番煎じになるか分からないけれど、僕の読んでいた漫画も大体転移、転生ものだった。

あるある話し。でもそれは漫画や小説であって決してリアルの話ではなかった。

勇者召喚されて異世界転移する普通の高校生。生まれながらにして前世の記憶がある悪役令嬢。チートで無双する元日本人冒険者。



どの作品も最後は幸せになる。だってフィクションだから。僕も一度は憧れた。

ゲームの世界に入って草原を自由に走り回りたいなとか。漫画の様に男女共に好かれ、青春を謳歌したいと。

夢を見るのはタダだからいつも狭い箱の中で、思いを馳せた。いつだって僕は長い管に繋がれて生かされていたから…だから、

海の色、
空の色、
芝生や砂の色や匂いが堪能出来る、と舞い上がった。生まれ変わったと知ったその瞬間だけは。そう、ただの人間で生を受けていたのならきっと幸せだったかもしれない。

けれど人には存在しないモノが僕の背中には生えていた。


ふわふわと上下する薄っぺらい羽。

時折でん粉みたいなキラキラした粉を撒き散らす。自分の意志とは関係なしにだ。一瞬思ったのは「蛾に転生したのかな」くらいだったけれど。

池に流れる水で自分の容姿を確認したところ、人間の容姿に羽が生えたような見た目でなんとも違和感だらけの格好だった。

身につけているものは洋服というよりはただの布で、どちらかといえば白に近い生地。

異種族での転生は、漫画でも珍しくはなく。無機物の転生よりかはマシかな、くらいの認識だった。まぁ、実際、異種族というよりかは誰からも認知されない妖精でまともに会話なんて出来ないと知った時は相当ガッカリしたけれど。


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