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配信も終盤へと差し掛かり、元気よく『おつぱこ』とふざけて言った後、
画面をタップする音が聞こえた。
…あーぁ、配信終わっちゃったか。ざんね…ん?
あくあの配信画面は暗くなっている筈が、
何故かまだ配信画面のまま、オリキャライラストが貼り付けられていて…
終わったはずの配信は未だ繋がっていた。
この配信アプリは、イラストを貼ったまま顔を出さずにラジオ感覚で声を楽しめたり、
歌配信やゲーム配信ができる神アプリである。因みにカメラ配信とラジオ配信があり
あくあはラジオ配信しかしていない。
バクグラが可能な為、音楽を流しながら配信するのが主流である。
(ってこれ…あくあ、気づいてない、とか?)
配信時間は1枠30分。
アイテム延長でプラス30分。リスナーがアイテムを投げ続ければエンドレスとなる仕組み
大手さんだと学生の長期休みに合わせて24時間配信をする人もいたりする。
あくあは基本、配信は1時間半しかしない為
思ってもみない延長に、何故か悪いことをしている様なそんな背徳感の中、
そっとスマホの音量を上げた
ーえ。これ、切り忘れ?
ーリスナーどっきり?
ーん?え?配信切らないの!?
ー…これ、やばくない?
ーあくあぁああああスマホみて!
ーバカだwww配信切れてないやん
ー延長する、、、感じかな?
ぼすっ、と言う音がして。
予想だがあくあは多分、スマホをベッドに投げたのだろう。
勿論それで配信が切れる訳もなく、
ただ配信が続いてゆく。
普段、晒し系配信者のあくあを知るリスナーは、リアルのあくあを知りたいと思う気持ちと。プライバシーの侵害だ、という気持ちがせめぎ合いながらも、
聞き耳を立てたことだろう。
そしてそんな葛藤の中、
『ふぁああ。ねむた…』
穏やかな声がスマホ画面から聞こえ、
スマホを落としかけてしまった。
(な、なななななんだこれ。あ、あくあが…あくあの声が…、)
飾らないゆったりした話し方に、不覚にもぎゅっと心臓が掴まれて、
思わず鼻を押さえた。
こ、これは反則では。いやご褒美だろうか
ドキドキとはやる心臓が…痛い、
胸を服の上から擦るものの、ドキドキが治まるどころか、あくあによって今日俺の心臓が爆発する事となった
『あれ、あくあー?どこいったぁー?』
気の抜けた声音に、言わずもがなコメントは爆速で流れていた。
ーえ、あくあって誰かの名前だったの?
ーてか声が…ギャップもえ
ーえ。全然話し方違うやん
ーふつうに推せる声でツラい
ーえ。え。え!?これ、あくあの声!?
ー素で配信した方がよかったのではw
そしてコメントは止まる事無く流れ続け、
つい先程あくあが口にした『あくあ』という名前が彼女の名前では…という憶測が飛び交った頃、
にゃぁあ、とスマホから猫の鳴き声が聞こえてきた。
『あくあ!他の部屋に行ってたのかぁ、探したんだぞ?』
猫を甘やかす声が、まるで自分自身に向けられているようで…
有り得ないのに俺に微笑んでいるあくあを想像して、身体が熱くなる。
それからはただただ幸せな時間なのだが、
苦行とも言える時間で、
猫が鳴くと、あくあも真似して『にゃんにゃん』なんて言うものだから…刺激が強かった
既に恋と言う名の沼に落ちているのに、
さらに奥深く。どん底まで落ちたのはどうやら俺だけではなかったらしい、
その証拠に、
ーやべ。…あくあ可愛くね?
ー沼る
ーえ。すき。え。すき
ーにゃんってゆったぁあああ
ーえろい
ーあくあが…普通にかわいい
ーかわいい。え、狙ってる?
ーアンチやめる。すき。
この日、配信が切れないようにリスナー全員が延長アイテムを投げまくり
どの配信者よりもポイントを荒稼ぎしたため
余裕で配信者ランキング1位を獲得したのだった。
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配信も終盤へと差し掛かり、元気よく『おつぱこ』とふざけて言った後、
画面をタップする音が聞こえた。
…あーぁ、配信終わっちゃったか。ざんね…ん?
あくあの配信画面は暗くなっている筈が、
何故かまだ配信画面のまま、オリキャライラストが貼り付けられていて…
終わったはずの配信は未だ繋がっていた。
この配信アプリは、イラストを貼ったまま顔を出さずにラジオ感覚で声を楽しめたり、
歌配信やゲーム配信ができる神アプリである。因みにカメラ配信とラジオ配信があり
あくあはラジオ配信しかしていない。
バクグラが可能な為、音楽を流しながら配信するのが主流である。
(ってこれ…あくあ、気づいてない、とか?)
配信時間は1枠30分。
アイテム延長でプラス30分。リスナーがアイテムを投げ続ければエンドレスとなる仕組み
大手さんだと学生の長期休みに合わせて24時間配信をする人もいたりする。
あくあは基本、配信は1時間半しかしない為
思ってもみない延長に、何故か悪いことをしている様なそんな背徳感の中、
そっとスマホの音量を上げた
ーえ。これ、切り忘れ?
ーリスナーどっきり?
ーん?え?配信切らないの!?
ー…これ、やばくない?
ーあくあぁああああスマホみて!
ーバカだwww配信切れてないやん
ー延長する、、、感じかな?
ぼすっ、と言う音がして。
予想だがあくあは多分、スマホをベッドに投げたのだろう。
勿論それで配信が切れる訳もなく、
ただ配信が続いてゆく。
普段、晒し系配信者のあくあを知るリスナーは、リアルのあくあを知りたいと思う気持ちと。プライバシーの侵害だ、という気持ちがせめぎ合いながらも、
聞き耳を立てたことだろう。
そしてそんな葛藤の中、
『ふぁああ。ねむた…』
穏やかな声がスマホ画面から聞こえ、
スマホを落としかけてしまった。
(な、なななななんだこれ。あ、あくあが…あくあの声が…、)
飾らないゆったりした話し方に、不覚にもぎゅっと心臓が掴まれて、
思わず鼻を押さえた。
こ、これは反則では。いやご褒美だろうか
ドキドキとはやる心臓が…痛い、
胸を服の上から擦るものの、ドキドキが治まるどころか、あくあによって今日俺の心臓が爆発する事となった
『あれ、あくあー?どこいったぁー?』
気の抜けた声音に、言わずもがなコメントは爆速で流れていた。
ーえ、あくあって誰かの名前だったの?
ーてか声が…ギャップもえ
ーえ。全然話し方違うやん
ーふつうに推せる声でツラい
ーえ。え。え!?これ、あくあの声!?
ー素で配信した方がよかったのではw
そしてコメントは止まる事無く流れ続け、
つい先程あくあが口にした『あくあ』という名前が彼女の名前では…という憶測が飛び交った頃、
にゃぁあ、とスマホから猫の鳴き声が聞こえてきた。
『あくあ!他の部屋に行ってたのかぁ、探したんだぞ?』
猫を甘やかす声が、まるで自分自身に向けられているようで…
有り得ないのに俺に微笑んでいるあくあを想像して、身体が熱くなる。
それからはただただ幸せな時間なのだが、
苦行とも言える時間で、
猫が鳴くと、あくあも真似して『にゃんにゃん』なんて言うものだから…刺激が強かった
既に恋と言う名の沼に落ちているのに、
さらに奥深く。どん底まで落ちたのはどうやら俺だけではなかったらしい、
その証拠に、
ーやべ。…あくあ可愛くね?
ー沼る
ーえ。すき。え。すき
ーにゃんってゆったぁあああ
ーえろい
ーあくあが…普通にかわいい
ーかわいい。え、狙ってる?
ーアンチやめる。すき。
この日、配信が切れないようにリスナー全員が延長アイテムを投げまくり
どの配信者よりもポイントを荒稼ぎしたため
余裕で配信者ランキング1位を獲得したのだった。
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