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第213話
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三階層に下りると何組かの冒険者たちが立ち止まり武器や防具、道具などを確認していた。
この下の四階層から本格的な討伐が始まる前の最終点検だ。
よく見ると確認してくる冒険者たちは熟練冒険者という感じでなく、初々しい冒険者だった。
「あれ、リゼじゃないか?」
後ろから名前を呼ばれたので振り向くとジャンロードだった。
「お前……単独か?」
「はい」
リゼの周りに冒険者がいないことから気付いたようだった。
「ジャンロードさんは何階層まで行くんですか?」
「俺たちは――」
ジャンロードが答えようとすると、仲間らしき冒険者から呼ばれる。
「とりあえず……冒険者狩りには気を付けろよ」
「ありがとうございます」
リゼに忠告だけしてジャンロードは仲間の元へ戻っていった。
三階層を探索しようとしていると、遠くの方で怒鳴り声が聞こえた。
他の冒険者にも聞こえていたのか、作業を止めて声のする方を一斉に見ていた。
そこにいたのは昨日、迷宮の入り口で怒鳴っていたガラの悪い冒険者たちだった。
かなり苛ついているのか他の冒険者たちを睨みながら通り過ぎていく。
明らかに装備が劣っている二人は疲れているのか、少し遅れて歩いている。
これが気に入らないのか遅れる二人に対して暴力を振るい、「早く歩け」と命令していた。
「ハセゼラたちか」
「相変わらずだな……あの二人も可哀そうにな」
「ハセゼラや他の奴等だって、たいして強くもないのにな」
「あぁ、最初はレベル三十六って自慢していたら、他の冒険者の方が強いと知ったらしく、すぐに四十六って言い変えていたしな」
「完全に嘘だろうが、ハセゼラの奴は騙せていると思っているから馬鹿だよな」
ハセゼラが去った後に陰口を叩く冒険者たち。
リゼはフルオロから「レベル四十以下だと迷宮に潜っても五階層くらいまでしか行けない」という言葉を思い出す。
今、自分がいるのは三階層だ。
この調子だったら、五階層まで行けるかも? と思いながら三階層で魔物討伐するため探索を始める。
三階層でも擬態したストーンスネークやロックスネークを多く発見するが、気付かないふりで先に進む。
分かれ道が多いためか、二階層よりも広いが天井は低い。
階層によって、いろいろと異なるのはオリシスの迷宮と似ている感じがした。
ジャンボラットが陰に隠れて襲おうとしているのを発見する。
右の岩陰に一匹。
左の岩陰に一……二匹。
自分より二回り小さい魔物で、それほど強くなかったと魔物図鑑に書かれていたことを思い出す。
ただ……なにか注意すべきことが書いてあった気もした。
不意打ちに警戒して戦闘態勢で歩いていると、左側からジャンボラットが飛び出してくる。
反社的に左に体を向けると、背後からジャンボラットも飛び出す。
反撃できる体勢で無かったので、一旦後退すると暗闇に光る無数の目に気付く。
(しまった! 集団で狩りをする魔物だ‼)
リゼはジャンボラットが集団狩りをする魔物だと気付く。
すぐに左手で短刀を取り出し、両手で構えると”ドッペルゲンガー”を発動させて、ジャンボラットの確実に倒していく。
小太刀と短刀を持った状態で、ドッペルゲンガーを発動させたことで両手での攻撃を実現させた。
なにより戦力が二倍になる。
予想外の状況にジャンボラットの連携が乱れたのを見逃すことなく、リゼはジャンボラットを倒していく。
(この短刀、凄い‼)
握った瞬間に体の一部になる感覚に加えて、軽く斬れ味も良い。
小太刀よりも切れ味は上で、狭い場所での戦闘には小太刀よりも短刀の方が向いている。
久しぶりに両手で武器を持っての戦闘だった。
片手での戦闘が長かったせいか、少しだけ違和感があった慣れの問題だろう? と感じながら短刀でジャンボラットの魔核を取り除く作業に取り掛かる。
討伐数は全部で九匹だった。
(これで三種類か……あと、二十七種類)
このバビロニアの迷宮では、ほとんどが未討伐の魔物だと思っていたので、リゼの予想は当たっていた。
しかし、各階層にいる魔物の種類も限りがあり階層を進まなければ、より多くの魔物と遭遇することは出来ない。
クエスト内容を「一日一種類」と軽く考えていたが、考えを改めることにした。
次の四階層へ行くか、三階層で奥へと進むかを悩む。
悩んだ末、三階層を奥に進むことにする。
細い場所を進んでいくと、低かった天井が一気に高くなる場所に出た。
床には黒い玉が幾つも転がっているので、リゼはすぐに天井を見上げようとすると、天井から大きな音が聞こえる。
岩壁に反響しているのか、あらゆる方向から音が響いて来るんでリゼは全方位に注意を払う。
地面に落ちていたのは、天井にいる魔物の糞だとリゼは気付いていたが、それより策に魔物が攻撃を仕掛けてきたのだ。
天井にいる魔物の正体はマッドバットで、ジャンボラット同様に集団で行動している。
ただ違うのは集団で狩りをしないため、対処するのは襲ってきたマッドバットだけで良い。
リゼが動かずにいると、痺れを切らしたのか数匹のマッドバットが凄い速さで飛んで来た。
反撃するため小太刀を振るうが、事前に攻撃が分かっているのか、小太刀を避けるようにしてリゼから離れた。
初めて現した姿を現したマッドバットと、以前に倒したことのあるジャイアントバットとを比較して小さいと思いながらも、油断は出来ないと次の攻撃を警戒する。
その後も、同じ個体なのか別の個体なのかも判別できないまま、襲ってくるマッドパッド数匹と応戦する。
飛行最中に口もとから垂れた液で地面から煙が出ていたので、アシッドスライムのように物質を溶かすことが可能なので、警戒を強めながらも武器を破損するのを危惧して”ドッペルゲンガー”を発動させることにした。
不思議なことにドッペルゲンガーに、まるで気付いていないかのようにあっさりと討伐される。
(そういえば……)
リゼは魔物図鑑に蝙蝠に似た魔物は、蝙蝠同様に超音波を使って敵や障害物の位置を把握すると書いてあったことを思い出す。
ドッペルゲンガーは影なので超音波が聞かなかったことを知り、今後は同じような魔物には有効な攻撃手段だと確信する。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:三十六』
『魔力:三十』
『力:二十三』
『防御:二十』
『魔法力:二十一』
『魔力耐性:十六』
『敏捷:八十六』
『回避:四十三』
『魅力:二十四』
『運:四十八』
『万能能力値:零』
■メインクエスト
・迷宮で未討伐の魔物討伐(討伐種類:三十)。期限:三十日
・報酬:転職ステータス値向上
■サブクエスト
・防具の変更。期限:二年
・報酬:ドヴォルグ国での武器製作率向上
・瀕死の重傷を負う。期限:三年
・報酬:全ての能力値(一増加)
■シークレットクエスト
・ヴェルべ村で村民誰かの願いを一つ叶える。期限:五年
・報酬:万能能力値(五増加)
この下の四階層から本格的な討伐が始まる前の最終点検だ。
よく見ると確認してくる冒険者たちは熟練冒険者という感じでなく、初々しい冒険者だった。
「あれ、リゼじゃないか?」
後ろから名前を呼ばれたので振り向くとジャンロードだった。
「お前……単独か?」
「はい」
リゼの周りに冒険者がいないことから気付いたようだった。
「ジャンロードさんは何階層まで行くんですか?」
「俺たちは――」
ジャンロードが答えようとすると、仲間らしき冒険者から呼ばれる。
「とりあえず……冒険者狩りには気を付けろよ」
「ありがとうございます」
リゼに忠告だけしてジャンロードは仲間の元へ戻っていった。
三階層を探索しようとしていると、遠くの方で怒鳴り声が聞こえた。
他の冒険者にも聞こえていたのか、作業を止めて声のする方を一斉に見ていた。
そこにいたのは昨日、迷宮の入り口で怒鳴っていたガラの悪い冒険者たちだった。
かなり苛ついているのか他の冒険者たちを睨みながら通り過ぎていく。
明らかに装備が劣っている二人は疲れているのか、少し遅れて歩いている。
これが気に入らないのか遅れる二人に対して暴力を振るい、「早く歩け」と命令していた。
「ハセゼラたちか」
「相変わらずだな……あの二人も可哀そうにな」
「ハセゼラや他の奴等だって、たいして強くもないのにな」
「あぁ、最初はレベル三十六って自慢していたら、他の冒険者の方が強いと知ったらしく、すぐに四十六って言い変えていたしな」
「完全に嘘だろうが、ハセゼラの奴は騙せていると思っているから馬鹿だよな」
ハセゼラが去った後に陰口を叩く冒険者たち。
リゼはフルオロから「レベル四十以下だと迷宮に潜っても五階層くらいまでしか行けない」という言葉を思い出す。
今、自分がいるのは三階層だ。
この調子だったら、五階層まで行けるかも? と思いながら三階層で魔物討伐するため探索を始める。
三階層でも擬態したストーンスネークやロックスネークを多く発見するが、気付かないふりで先に進む。
分かれ道が多いためか、二階層よりも広いが天井は低い。
階層によって、いろいろと異なるのはオリシスの迷宮と似ている感じがした。
ジャンボラットが陰に隠れて襲おうとしているのを発見する。
右の岩陰に一匹。
左の岩陰に一……二匹。
自分より二回り小さい魔物で、それほど強くなかったと魔物図鑑に書かれていたことを思い出す。
ただ……なにか注意すべきことが書いてあった気もした。
不意打ちに警戒して戦闘態勢で歩いていると、左側からジャンボラットが飛び出してくる。
反社的に左に体を向けると、背後からジャンボラットも飛び出す。
反撃できる体勢で無かったので、一旦後退すると暗闇に光る無数の目に気付く。
(しまった! 集団で狩りをする魔物だ‼)
リゼはジャンボラットが集団狩りをする魔物だと気付く。
すぐに左手で短刀を取り出し、両手で構えると”ドッペルゲンガー”を発動させて、ジャンボラットの確実に倒していく。
小太刀と短刀を持った状態で、ドッペルゲンガーを発動させたことで両手での攻撃を実現させた。
なにより戦力が二倍になる。
予想外の状況にジャンボラットの連携が乱れたのを見逃すことなく、リゼはジャンボラットを倒していく。
(この短刀、凄い‼)
握った瞬間に体の一部になる感覚に加えて、軽く斬れ味も良い。
小太刀よりも切れ味は上で、狭い場所での戦闘には小太刀よりも短刀の方が向いている。
久しぶりに両手で武器を持っての戦闘だった。
片手での戦闘が長かったせいか、少しだけ違和感があった慣れの問題だろう? と感じながら短刀でジャンボラットの魔核を取り除く作業に取り掛かる。
討伐数は全部で九匹だった。
(これで三種類か……あと、二十七種類)
このバビロニアの迷宮では、ほとんどが未討伐の魔物だと思っていたので、リゼの予想は当たっていた。
しかし、各階層にいる魔物の種類も限りがあり階層を進まなければ、より多くの魔物と遭遇することは出来ない。
クエスト内容を「一日一種類」と軽く考えていたが、考えを改めることにした。
次の四階層へ行くか、三階層で奥へと進むかを悩む。
悩んだ末、三階層を奥に進むことにする。
細い場所を進んでいくと、低かった天井が一気に高くなる場所に出た。
床には黒い玉が幾つも転がっているので、リゼはすぐに天井を見上げようとすると、天井から大きな音が聞こえる。
岩壁に反響しているのか、あらゆる方向から音が響いて来るんでリゼは全方位に注意を払う。
地面に落ちていたのは、天井にいる魔物の糞だとリゼは気付いていたが、それより策に魔物が攻撃を仕掛けてきたのだ。
天井にいる魔物の正体はマッドバットで、ジャンボラット同様に集団で行動している。
ただ違うのは集団で狩りをしないため、対処するのは襲ってきたマッドバットだけで良い。
リゼが動かずにいると、痺れを切らしたのか数匹のマッドバットが凄い速さで飛んで来た。
反撃するため小太刀を振るうが、事前に攻撃が分かっているのか、小太刀を避けるようにしてリゼから離れた。
初めて現した姿を現したマッドバットと、以前に倒したことのあるジャイアントバットとを比較して小さいと思いながらも、油断は出来ないと次の攻撃を警戒する。
その後も、同じ個体なのか別の個体なのかも判別できないまま、襲ってくるマッドパッド数匹と応戦する。
飛行最中に口もとから垂れた液で地面から煙が出ていたので、アシッドスライムのように物質を溶かすことが可能なので、警戒を強めながらも武器を破損するのを危惧して”ドッペルゲンガー”を発動させることにした。
不思議なことにドッペルゲンガーに、まるで気付いていないかのようにあっさりと討伐される。
(そういえば……)
リゼは魔物図鑑に蝙蝠に似た魔物は、蝙蝠同様に超音波を使って敵や障害物の位置を把握すると書いてあったことを思い出す。
ドッペルゲンガーは影なので超音波が聞かなかったことを知り、今後は同じような魔物には有効な攻撃手段だと確信する。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:三十六』
『魔力:三十』
『力:二十三』
『防御:二十』
『魔法力:二十一』
『魔力耐性:十六』
『敏捷:八十六』
『回避:四十三』
『魅力:二十四』
『運:四十八』
『万能能力値:零』
■メインクエスト
・迷宮で未討伐の魔物討伐(討伐種類:三十)。期限:三十日
・報酬:転職ステータス値向上
■サブクエスト
・防具の変更。期限:二年
・報酬:ドヴォルグ国での武器製作率向上
・瀕死の重傷を負う。期限:三年
・報酬:全ての能力値(一増加)
■シークレットクエスト
・ヴェルべ村で村民誰かの願いを一つ叶える。期限:五年
・報酬:万能能力値(五増加)
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