143 / 288
第143話
しおりを挟む
「ありがとう。本当にありがとう」
ニコラスから何度も礼を言われる。
クリスティーナの目には涙が溢れている。
リゼは冷静に机の上に置かれたザクレーロの冒険者プレートを見て、グレックとの扱いが違い過ぎているので、ザクレーロが可哀そうに感じていた。
「あと、これも――」
リゼはアイテムバッグから回収したグレックの武器や防具を取り出す。
ただ、防具は重すぎるので出すのも一苦労だった。
「間違いない。グレックの武器と防具です」
懐かしそうにグレックの装備品を見つめるニコラスとクリスティーナ。
「最後になりますが――」
リゼはグレックのアイテムバッグを取り出す。
「中に貴重な物が入っているかも知れませんし、ギルマスに御渡し致します」
「そうだね。契約解除を施した後、中身を確認させてもらうよ……それとリゼに御願いがあるんだが」
「はい、なんでしょう」
「このグレックの装備品など全て僕に譲って貰えないか? もちろん、それ相応の通貨は払うつもりだ」
死亡した冒険者の装備品等は発見者の所有物となる。
冒険者の中には、”死体漁り”といって死体から装備品を回収して生活する者もいる。
冒険者を襲い、装備品を奪う行為は禁止されているが、闇市場では取引可能なため、冒険者を襲う者たちもいる。
高価な武器を所持するのであれば、それに担った実力が必要だということだ。
だからこそ、学習院を出た貴族たちは護衛を付けたりすることが多いのだ。
「身内や仲間が居るのであれば、その人たちに譲るつもりでしたので、通貨は結構です」
「いや、しかし……一応、ギルマスの立場もあるし、無料というわけにはいかない」
リゼとニコラスの意見は平行線のまま、結論が出ない。
「リゼさん」
今まで黙っていたクリスティーナが口を開く。
「私はグレックの正式な遺族ではありません。しかし、彼を知る人間として、彼を私たちの元へ帰してくれたリゼさんには感謝してもしきれません。どうか、私とギルマスの我儘だと思って受け入れて貰えませんか」
クリスティーナがリゼに頭を下げると、ニコラスも同じように頭を下げた。
大事な人への思いを感謝した気持ちはよく分かる。
もしも自分だったら……リゼはニコラスや、クリスティーナの立場を自分に置き換えてみた。
自分でも同じことをするだろう。
「分かりました。ギルマスの言うとおりにします」
「ありがとう、リゼ」
これでグレックの問題は解決したので、本題に入ろうとすると部屋の扉を叩く音が聞こえた。
クリスティーナが返事をすると、レベッカが部屋に入って来た。
ギルマスのニコラスも同席していたことに、レベッカは驚いていたが表情に出さずに、商業ギルドが来たことを告げる。
「ありがとう、リゼ。続きはオーリスキノコの件が終わった後でもいいですか?」
「はい」
拒否する権利は無いと思いながら、リゼは返事をした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「本当なのか⁈」
「嘘で私たちを呼び出すようなことはしないでしょう」
「確かに、そうですね」
疑心暗鬼の商業ギルドから来た三人が、ギルド会館裏で話をしていた。
「お久しぶりです」
「おぉ、久しぶりじゃの」
三人の中にヨイチがいた。
ヨイチは商業ギルドの代表なので呼ばれていたのだ。
残りの二人は、食材商社の代表であるブッフバルトと、オーリスで一番大きい飲食店『カーターズ』のオーナーシェフカーターだった。
二人とも商業ギルドではヨイチの次に発言権のある重鎮だ。
「リゼちゃん、元気じゃったかい?」
「はい、ヨイチさんも変わりないですか?」
「この通りじゃよ」
笑顔のヨイチと、普通に会話をしているリゼ。
その様子を不思議そうに見つめるブッフバルトとカーターだった。
「ヨイチさんの知り合いですか?」
「そうじゃの、知り合いと言えば知り合いかの。のう、リゼちゃん」
「はい」
リゼは頷く。
素直に頷いてくれたリゼを見て、ヨイチは嬉しそうな表情だった。
「では、今回採取してきたオーリスキノコを出して頂けますか」
「はい」
リゼはアイテムバッグから、オーリスキノコを取り出して地面に置く。
「これは‼」
リゼの採取したオーリスキノコを見て、ブッフバルトとカーターは驚く。
そして近付き、品質を確認していた。
ヨイチは動かずに、その様子を見ていた。
「素晴らしい! 大きさに品質、ここ何年も見ていない素晴らしいオーリスキノコです!」
「これを買い取りたいという商人はたくさん出るでしょうね」
興奮気味に話し始めるブッフバルトとカーター。
それほど、素晴らしいオーリスキノコなのだろう。
「それで、これを幾らに致しますか?」
クリスティーナが興奮するブッフバルトとカーターに向かって、静かに話し掛ける。
「そうですな……」
険しい顔になるブッフバルトとカーターの二人。
ヨイチは二人の力量を見極めるかのように、口を出さないでいる。
もし安い金額を提示すれば、自分たちでオーリスキノコの価値を下げることになる。
逆に高い金額を提示すれば、買い手がつかずに腐らせてしまうからだ。
「これくらいですかね」
「そうですね」
「ヨイチさんは、どうですか?」
ブッフバルトがヨイチに意見を聞く。
「そうじゃの……」
ヨイチは笑顔のまま、リゼの方を向く。
「リゼちゃん。他にもオーリスキノコはあるのかい?」
「はい、あります。一応、クエストでは二十キロ以上が達成条件でしたので……」
「全部、出してもらえるかの」
「はい、分かりました。量が多いので少し広がっていただけますか」
リゼはオーリスキノコを出す場所を確保すると、アイテムバッグからオーリスキノコを出す。
先程のと同等……いや、それ以上の大きさのオーリスキノコが地面に置かれる。
ここにいるヨイチ以外は、先程のオーリスキノコが最高級品だと思っていた。
無造作にオーリスキノコをアイテムバッグから出し続けるリゼに言葉を失っていた。
・
・
・
・
・
・
「これで全部です」
リゼの前に出されたオーリスキノコはクエスト達成条件である二十キロを優に超えていた。
「これは驚いたの。数年に一度発見されるかと言われるようなオーリスキノコが目の前に並べられるとはの」
笑うヨイチとは対照的に、ブッフバルトとカーターは言葉を失っていた。
それは冷静に場を仕切っていたクリスティーナや、ギルマスのニコラスも同様だった。
「明日のオークションが楽しみじゃの」
嬉しそうに話すヨイチ。
「ブッフバルトとカーターよ。これを幾らに設定する。従来通りに個々でも値付けでも良いし、まとめて交渉するも任せるぞ」
「は、はい」
「そうですね……」
ブッフバルトとカーターは先程以上に悩んでいた。
緊迫する雰囲気のなか、リゼだけが自分の採取してきたオーリスキノコの重大さに気付いていなかった。
ブッフバルトとカーターが話し合いを始めて数分後、ヨイチに確認を取るとヨイチが頷いた。
「商業ギルドとしては、この値段で買取させて頂きたい。希少価値や数量なども考慮した金額だ」
ブッフバルトがクリスティーナに金額が書かれた紙を手渡す。
金額を見たクリスティーナの目が大きく開いた。
冷静沈着なクリスティーナが驚く金額だったのだ。
「分かりました。冒険者ギルドとして、この金額でお譲りいたします」
ブッフバルトとカーターは胸を撫でおろす。
「早速、明日のオークションの準備に取り掛かりますか」
「そうですね。商人仲間には、幻のオーリスキノコがオークションにかけられると話しておきます」
「確かにそのほうがいいですね。まぁ、私も買い取るつもりでオークションに参加させていただきますがね」
「それは私も同じです」
ブッフバルトとカーターはお互い笑顔だが、目は笑っていない。
この瞬間から商業ギルドの代表でなく、このオーリスキノコを入手できるかのオークション相手になるからだ。
ヨイチたちが帰ると、クリスティーナとレベッカは事務作業に入る。
商業ギルドが提示した金額から、冒険者ギルドが諸経費などの手数料を引いた金額が、リゼの手元に入ることになる。
「ヨイチさん」
「なんじゃ、ギルマスや」
話が終わったと感じたニコラスは、ヨイチに話し掛ける。
「ザクレーロという名の冒険者を御存じでしょうか?」
「ザクレーロとな‼ 又、懐かしい名を出すの~」
ヨイチは数少ない大地震を経験者だから、ニコラスはヨイチならザクレーロのことを知っていると思い質問をした。
「ザクレーロはオリシスの迷宮で、管理小屋共に行方不明になっての。当時も捜索するために何度も冒険者がオリシスの迷宮に向かったのを覚えておる」
「この町にザクレーロの遺族はいますか?」
「いいや、いないはずじゃ。たしか、母親と二人暮らしじゃったが、その母親も既に亡くなっておる」
ヨイチとザクレーロが同年代であれば、その母親が存命している方が奇跡に近い。
「そうですか……明日で結構ですので、当時のことを知っている人たちを集めて頂けませんか?」
「それは構わんが……昔過ぎて、覚えていることも、ほとんどないかも知れんぞ?」
「はい、それでも構いません」
「しかし今更、どうかしたのか?」
ニコラスはヨイチに事情を話す。
「なるほどの。それは確かにギルマスとして遂行するべき業務じゃの。しかしリゼちゃん、お手柄じゃの」
「いいえ、そんな……」
リゼは言葉に詰まる。
ヨイチたちとの話も終えたリゼは、クリスティーナたちの事務作業が終わるまでの間、ニコラスと先程の部屋に戻り話の続きをすることにした。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:三十五』
『魔力:十八』
『力:二十二』
『防御:二十』
『魔法力:十一』
『魔力耐性:十六』
『素早さ:七十八』
『回避:四十三』
『魅力:十七』
『運:四十三』
『万能能力値:三』
■メインクエスト
・王都へ移動。期限:一年
・報酬:万能能力値(三増加)
ニコラスから何度も礼を言われる。
クリスティーナの目には涙が溢れている。
リゼは冷静に机の上に置かれたザクレーロの冒険者プレートを見て、グレックとの扱いが違い過ぎているので、ザクレーロが可哀そうに感じていた。
「あと、これも――」
リゼはアイテムバッグから回収したグレックの武器や防具を取り出す。
ただ、防具は重すぎるので出すのも一苦労だった。
「間違いない。グレックの武器と防具です」
懐かしそうにグレックの装備品を見つめるニコラスとクリスティーナ。
「最後になりますが――」
リゼはグレックのアイテムバッグを取り出す。
「中に貴重な物が入っているかも知れませんし、ギルマスに御渡し致します」
「そうだね。契約解除を施した後、中身を確認させてもらうよ……それとリゼに御願いがあるんだが」
「はい、なんでしょう」
「このグレックの装備品など全て僕に譲って貰えないか? もちろん、それ相応の通貨は払うつもりだ」
死亡した冒険者の装備品等は発見者の所有物となる。
冒険者の中には、”死体漁り”といって死体から装備品を回収して生活する者もいる。
冒険者を襲い、装備品を奪う行為は禁止されているが、闇市場では取引可能なため、冒険者を襲う者たちもいる。
高価な武器を所持するのであれば、それに担った実力が必要だということだ。
だからこそ、学習院を出た貴族たちは護衛を付けたりすることが多いのだ。
「身内や仲間が居るのであれば、その人たちに譲るつもりでしたので、通貨は結構です」
「いや、しかし……一応、ギルマスの立場もあるし、無料というわけにはいかない」
リゼとニコラスの意見は平行線のまま、結論が出ない。
「リゼさん」
今まで黙っていたクリスティーナが口を開く。
「私はグレックの正式な遺族ではありません。しかし、彼を知る人間として、彼を私たちの元へ帰してくれたリゼさんには感謝してもしきれません。どうか、私とギルマスの我儘だと思って受け入れて貰えませんか」
クリスティーナがリゼに頭を下げると、ニコラスも同じように頭を下げた。
大事な人への思いを感謝した気持ちはよく分かる。
もしも自分だったら……リゼはニコラスや、クリスティーナの立場を自分に置き換えてみた。
自分でも同じことをするだろう。
「分かりました。ギルマスの言うとおりにします」
「ありがとう、リゼ」
これでグレックの問題は解決したので、本題に入ろうとすると部屋の扉を叩く音が聞こえた。
クリスティーナが返事をすると、レベッカが部屋に入って来た。
ギルマスのニコラスも同席していたことに、レベッカは驚いていたが表情に出さずに、商業ギルドが来たことを告げる。
「ありがとう、リゼ。続きはオーリスキノコの件が終わった後でもいいですか?」
「はい」
拒否する権利は無いと思いながら、リゼは返事をした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「本当なのか⁈」
「嘘で私たちを呼び出すようなことはしないでしょう」
「確かに、そうですね」
疑心暗鬼の商業ギルドから来た三人が、ギルド会館裏で話をしていた。
「お久しぶりです」
「おぉ、久しぶりじゃの」
三人の中にヨイチがいた。
ヨイチは商業ギルドの代表なので呼ばれていたのだ。
残りの二人は、食材商社の代表であるブッフバルトと、オーリスで一番大きい飲食店『カーターズ』のオーナーシェフカーターだった。
二人とも商業ギルドではヨイチの次に発言権のある重鎮だ。
「リゼちゃん、元気じゃったかい?」
「はい、ヨイチさんも変わりないですか?」
「この通りじゃよ」
笑顔のヨイチと、普通に会話をしているリゼ。
その様子を不思議そうに見つめるブッフバルトとカーターだった。
「ヨイチさんの知り合いですか?」
「そうじゃの、知り合いと言えば知り合いかの。のう、リゼちゃん」
「はい」
リゼは頷く。
素直に頷いてくれたリゼを見て、ヨイチは嬉しそうな表情だった。
「では、今回採取してきたオーリスキノコを出して頂けますか」
「はい」
リゼはアイテムバッグから、オーリスキノコを取り出して地面に置く。
「これは‼」
リゼの採取したオーリスキノコを見て、ブッフバルトとカーターは驚く。
そして近付き、品質を確認していた。
ヨイチは動かずに、その様子を見ていた。
「素晴らしい! 大きさに品質、ここ何年も見ていない素晴らしいオーリスキノコです!」
「これを買い取りたいという商人はたくさん出るでしょうね」
興奮気味に話し始めるブッフバルトとカーター。
それほど、素晴らしいオーリスキノコなのだろう。
「それで、これを幾らに致しますか?」
クリスティーナが興奮するブッフバルトとカーターに向かって、静かに話し掛ける。
「そうですな……」
険しい顔になるブッフバルトとカーターの二人。
ヨイチは二人の力量を見極めるかのように、口を出さないでいる。
もし安い金額を提示すれば、自分たちでオーリスキノコの価値を下げることになる。
逆に高い金額を提示すれば、買い手がつかずに腐らせてしまうからだ。
「これくらいですかね」
「そうですね」
「ヨイチさんは、どうですか?」
ブッフバルトがヨイチに意見を聞く。
「そうじゃの……」
ヨイチは笑顔のまま、リゼの方を向く。
「リゼちゃん。他にもオーリスキノコはあるのかい?」
「はい、あります。一応、クエストでは二十キロ以上が達成条件でしたので……」
「全部、出してもらえるかの」
「はい、分かりました。量が多いので少し広がっていただけますか」
リゼはオーリスキノコを出す場所を確保すると、アイテムバッグからオーリスキノコを出す。
先程のと同等……いや、それ以上の大きさのオーリスキノコが地面に置かれる。
ここにいるヨイチ以外は、先程のオーリスキノコが最高級品だと思っていた。
無造作にオーリスキノコをアイテムバッグから出し続けるリゼに言葉を失っていた。
・
・
・
・
・
・
「これで全部です」
リゼの前に出されたオーリスキノコはクエスト達成条件である二十キロを優に超えていた。
「これは驚いたの。数年に一度発見されるかと言われるようなオーリスキノコが目の前に並べられるとはの」
笑うヨイチとは対照的に、ブッフバルトとカーターは言葉を失っていた。
それは冷静に場を仕切っていたクリスティーナや、ギルマスのニコラスも同様だった。
「明日のオークションが楽しみじゃの」
嬉しそうに話すヨイチ。
「ブッフバルトとカーターよ。これを幾らに設定する。従来通りに個々でも値付けでも良いし、まとめて交渉するも任せるぞ」
「は、はい」
「そうですね……」
ブッフバルトとカーターは先程以上に悩んでいた。
緊迫する雰囲気のなか、リゼだけが自分の採取してきたオーリスキノコの重大さに気付いていなかった。
ブッフバルトとカーターが話し合いを始めて数分後、ヨイチに確認を取るとヨイチが頷いた。
「商業ギルドとしては、この値段で買取させて頂きたい。希少価値や数量なども考慮した金額だ」
ブッフバルトがクリスティーナに金額が書かれた紙を手渡す。
金額を見たクリスティーナの目が大きく開いた。
冷静沈着なクリスティーナが驚く金額だったのだ。
「分かりました。冒険者ギルドとして、この金額でお譲りいたします」
ブッフバルトとカーターは胸を撫でおろす。
「早速、明日のオークションの準備に取り掛かりますか」
「そうですね。商人仲間には、幻のオーリスキノコがオークションにかけられると話しておきます」
「確かにそのほうがいいですね。まぁ、私も買い取るつもりでオークションに参加させていただきますがね」
「それは私も同じです」
ブッフバルトとカーターはお互い笑顔だが、目は笑っていない。
この瞬間から商業ギルドの代表でなく、このオーリスキノコを入手できるかのオークション相手になるからだ。
ヨイチたちが帰ると、クリスティーナとレベッカは事務作業に入る。
商業ギルドが提示した金額から、冒険者ギルドが諸経費などの手数料を引いた金額が、リゼの手元に入ることになる。
「ヨイチさん」
「なんじゃ、ギルマスや」
話が終わったと感じたニコラスは、ヨイチに話し掛ける。
「ザクレーロという名の冒険者を御存じでしょうか?」
「ザクレーロとな‼ 又、懐かしい名を出すの~」
ヨイチは数少ない大地震を経験者だから、ニコラスはヨイチならザクレーロのことを知っていると思い質問をした。
「ザクレーロはオリシスの迷宮で、管理小屋共に行方不明になっての。当時も捜索するために何度も冒険者がオリシスの迷宮に向かったのを覚えておる」
「この町にザクレーロの遺族はいますか?」
「いいや、いないはずじゃ。たしか、母親と二人暮らしじゃったが、その母親も既に亡くなっておる」
ヨイチとザクレーロが同年代であれば、その母親が存命している方が奇跡に近い。
「そうですか……明日で結構ですので、当時のことを知っている人たちを集めて頂けませんか?」
「それは構わんが……昔過ぎて、覚えていることも、ほとんどないかも知れんぞ?」
「はい、それでも構いません」
「しかし今更、どうかしたのか?」
ニコラスはヨイチに事情を話す。
「なるほどの。それは確かにギルマスとして遂行するべき業務じゃの。しかしリゼちゃん、お手柄じゃの」
「いいえ、そんな……」
リゼは言葉に詰まる。
ヨイチたちとの話も終えたリゼは、クリスティーナたちの事務作業が終わるまでの間、ニコラスと先程の部屋に戻り話の続きをすることにした。
――――――――――――――――――――
■リゼの能力値
『体力:三十五』
『魔力:十八』
『力:二十二』
『防御:二十』
『魔法力:十一』
『魔力耐性:十六』
『素早さ:七十八』
『回避:四十三』
『魅力:十七』
『運:四十三』
『万能能力値:三』
■メインクエスト
・王都へ移動。期限:一年
・報酬:万能能力値(三増加)
32
お気に入りに追加
220
あなたにおすすめの小説
聖剣を錬成した宮廷錬金術師。国王にコストカットで追放されてしまう~お前の作ったアイテムが必要だから戻ってこいと言われても、もう遅い!
つくも
ファンタジー
錬金術士学院を首席で卒業し、念願であった宮廷錬金術師になったエルクはコストカットで王国を追放されてしまう。
しかし国王は知らなかった。王国に代々伝わる聖剣が偽物で、エルクがこっそりと本物の聖剣を錬成してすり替えていたという事に。
宮廷から追放され、途方に暮れていたエルクに声を掛けてきたのは、冒険者学校で講師をしていた時のかつての教え子達であった。
「————先生。私達と一緒に冒険者になりませんか?」
悩んでいたエルクは教え子である彼女等の手を取り、冒険者になった。
————これは、不当な評価を受けていた世界最強錬金術師の冒険譚。錬金術師として規格外の力を持つ彼の実力は次第に世界中に轟く事になる————。
女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
土岡太郎
ファンタジー
自分の先祖の立派な生き方に憧れていた高校生の少女が、ある日子供助けて死んでしまう。
死んだ先で出会った別の世界の女神はなぜか彼女を気に入っていて、自分の世界で立派な女性として活躍ができるようにしてくれるという。ただし、女神は努力してこそ認められるという考え方なので最初から無双できるほどの能力を与えてくれなかった。少女は憧れの先祖のような立派な人になれるように異世界で愉快で頼れる仲間達と頑張る物語。 でも女神のお気に入りなので無双します。
*10/17 第一話から修正と改訂を初めています。よければ、読み直してみてください。
*R-15としていますが、読む人によってはそう感じるかもしないと思いそうしています。
あと少しパロディもあります。
小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様でも投稿しています。
YouTubeで、ゆっくりを使った音読を始めました。
良ければ、視聴してみてください。
【ゆっくり音読自作小説】女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)
https://youtu.be/cWCv2HSzbgU
それに伴って、プロローグから修正をはじめました。
ツイッター始めました。 https://twitter.com/tero_oo
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
放置された公爵令嬢が幸せになるまで
こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる