68 / 281
第68話
しおりを挟む
「サウディ、そっちを頼む‼」
「分かった、任せろ!」
奥に進むなか、遭遇するゴブリンたちをサウディとバクーダは、連携を取りながら倒していく。
洞窟に入ったときよりも、格段に成長している。
「はぁ……結局、アルベルトの思った通りなのでしょうね」
小さくため息をつくラスティア。
その横で、サウディとバクーダの成長を目の当たりにしたコファイは、悔しそうに拳を握っていた。
自分だけが置いて行かれた気分だった――。
ラスティアに言われた言葉が頭から離れないでいた。
すぐに、光属性魔法を理解して、自分なりの方法で強くなりたいと思っていた。
「コファイ!」
「はい、なんでしょうか?」
「オーリスに戻ったら、私たちを訪ねなさい。スケベで大酒呑みですが、光属性の魔法を使う上級魔術師を紹介してあげますわ」
「えっ‼」
「……嫌でしたか?」
「いえ、そんなこと……ありがとうございます‼」
ラスティアは、コファイが悔しそうにしているのに気づいていた。
自分も同じようなことを経験したことがあるので、コファイの悔しさが分かっていた。
そう、アルベルトにクウガ、カルアに助けられて冒険者として生まれ変わった時、三人と実力に差がありすぎて、何度も悔しい思いをしてきた。
ランクの話などではなく、アルベルトが言った経験の差だった。
仲間の次の行動を予測しながら魔法の準備をしたり、安全な場所へと移動したりすることがなかなかできなかった――。
そのことで、アルベルトたちがラスティアに文句を言うことはなかったが、その優しさがラスティアには酷でしかなかったのだ。
クウガに頼んで、いろいろと教わる。
そして、少しずつだが戦闘にも慣れてきて、三人の役に立てていると思えるようになる。
そして、正式に銀翼と言う名のクランに入ることを頼んで、許可される。
許可される時に三人が言った「もう、仲間だと思っていた」の言葉は、今でもラスティアの中で心に残っていた。
「……おかしいな?」
アルベルトが立ち止まる。
「どうしたのですか?」
「あぁ、ラスティア。ゴブリンの数が少ない。横への抜け道も無かったのも気になる……もしかして、隠し通路があったのかも知れない」
「まさか……その可能性も含めて、私も確認していました」
「それなら、どうして……」
徐々に出現するゴブリンの数が少なくなっている原因は二つあった。
一つ目は、先程の広げた場所で決着をつけようと大量のゴブリンを投入したこと。
二つ目は、苛立ったホブゴブリンが残っていたゴブリンに八つ当たりをして、何匹も殺してしまったことだ。
アルベルトは、その違和感に気付きながらも原因が分からない不気味さを感じていたのだった。
「後方部隊も順調に進んでいるようですし、とりあえず進むしかないでしょう」
「そうだね……変なことを言って、すまなかったね」
アルベルトたちは、さらに洞窟の奥へと進んでいく。
十数メートル歩くとアルベルトが、動作で止まるように指示を出して、静かにするように指を口に当てる。
そして、アルベルトは一人で少しだけ進み様子を確認しに歩き出した。
少しだけ広い場所の奥に座るホブゴブリンと、その横にいるゴブリンメイジとゴブリンナイトの三匹。
その手前には、十数匹のゴブリンが固まっていた。
その足元には、無惨に潰されたゴブリンの死体が数体転がっていた――。
アルベルトは集落のリーダーがホブゴブリンだと確信する。
問題はゴブリンメイジの魔法だ。
この五人では倒しきるのが難しい! と、判断したアルベルトはラスティアたちの所に戻ると、後方部隊と合流することを提案する。
ラスティアもアルベルトの意見に賛成だった。
アルベルトたちは一旦、後方部隊と合流するために、ゴブリンたちを警戒しながら引き返すことにした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ニコラスたち後方部隊と合流をしたアルベルトは、ニコラスに報告をする。
「……ホブゴブリンですか⁉」
「えぇ、ゴブリンジェネラルでなくて、ホブゴブリンでしたので、最悪の事態は免れたと思っていいでしょう」
「たしかに、そうですね。やはり、ゴブリンメイジでは、なかったのですね……」
アルベルトからの報告を受けたニコラスは、ホブゴブリンが集落のリーダーだったことに驚くが、冷静を装った。
それに、慌てることなく淡々と話すアルベルトに対して、「もしかしたら、かなり前から、ホブゴブリンが集落のリーダーだったことに気付いていたのか?」と感じていた。
「……戻って来られたということは私たちに、なにか協力できることがあるということでしょうか?」
「はい。私たちが見落とした横道や、抜け穴などはありませんでしたか?」
「私たちも慎重に確認しましたが、それらしいものは発見しませんでした。一本道で間違いないでしょう?」
この場所は元々、鉱石の有無を確認するために掘られた洞窟だったが、採れる鉱石が極端に少ないことや、岩盤が堅いため計画通りに採掘ができなかった。
結局、計画は途中で中止されたので、鉱山のような幾つもの道が存在していない。
このことは、事前にニコラスからアルベルトにも伝えられていたが、念のためということで、横道や抜け道をニコラスたち後方部隊が、念入りに調べていた。
「ここからの戦いですが、ホブゴブリンは私一人で相手をします」
「一人でですか!」
「はい。ホブゴブリン一匹であれば問題ありません。しかし、ゴブリンメイジも攻撃に参加すると少々厄介なので、ゴブリンメイジの相手をお願いしたいと思います」
「でも、ゴブリンナイトもいるのですよね⁈」
「はい。しかし、ゴブリンナイトの相手は、サウディとバクーダがします。全体的な判断はラスティアがしてくれるので、回復魔法が遅れて致命傷になることはないと思います」
「サウディとバクーダが、ゴブリンナイトの相手ですか……」
「心配なら何人かの冒険者をつけて頂いて構いません」
「……分かりました」
ニコラスはアルベルトの提案に疑問を感じていた。
サウディとバクーダの実力は、ギルマスとして把握しているつもりだ。
二人がかりとはいえ、ゴブリンナイトの相手をするのは荷が重いと感じていた。
アルベルトはオーリスの冒険者ではない。
もしかしたら、サウディとバクーダの二人を犠牲にしているのではないか……アルベルトに対して、不快感を感じていた。
「ニコラス。アルベルトは、二人の実力を知ったうえで戦えると判断をしています」
ニコラスは、ラスティアが自分の心の中を読んだのか⁉ と思うようなタイミングで話し掛けてきたことに驚く。
「心配であれば、サウディとバクーダに話を聞いてみますか?」
「そうですね……」
ニコラスはサウディとバクーダを呼ぶと、アルベルトからの作戦を二人に伝えた。
顔を見合わせるサウディとバクーダだったが、二人して頷いた。
「大丈夫です。俺たち二人でゴブリンナイトを倒してみせます」
「まぁ、なにかあれば……助けてください」
自信に満ちた二人の表情にニコラスは驚く。
自分の知っているサウディとバクーダでないように感じたからだ。
サウディとバクーダは後方部隊と合流する時に、今回の作戦を聞いていた。
もちろん、無理強いはしないので無理なら、何人かでゴブリンナイトの相手をしてもいいと、アルベルトは話す。
「アルベルトさん……それは、俺……僕たち二人であれば、ゴブリンナイトを倒せると思っているのでしょうか?」
サウディがアルベルトに質問をする。
「もちろん。君たちの戦いぶりを見て決めたことだ。君たちは、僕が思っていた以上に強いし、連携も上手に出来ていると思う」
サウディとバクーダは同じパーティーで何度も戦っている仲間だった。
連携がとれているのは、長年培ってきた信頼によるものだろう。
もちろんアルベルトは、その情報を知っていて、サウディとバクーダの二人を選んでいた。
「ありがとうございます」
ランクAの冒険者に実力を認めてもらえることは、なにより自信につながる。
それにアルベルトとラスティアは、自分たちの長所を伸ばして、短所を指摘してくれるので、自分たちが何をすべきかが明確になる。
「……アルベルトさん」
「なにか、質問でもあるのかな?」
「いいえ。その……僕を銀翼のクランに入れてはもらえませんか?」
バクーダは、真剣な表情でアルベルトに話す。
「そっ、それなら俺……僕も入りたいです!」
バクーダに先を越されたと感じたサウディも銀翼へ入ることを懇願する。
「ん~、君たちに気持ちは、とてもありがたいけど、銀翼は少数精鋭なクランなんだよね。もう少し、実力がないと厳しいかな?」
少し、困った表情で答えるアルベルト。
「そうですね。人数が増えれば維持費だけでも大変ですからね。大手クランであれば別ですが、うちのようなクランですと確かに厳しいですよね」
ラスティアがアルベルトをフォローするように話す。
実際、ラスティアの言うように人数が多くなれば、それだけクエストを受注しなければならない。
大手のクランであれば、実力にあったクエストを幾つか受注しながら運営をしているところもある。
しかし、銀翼は指名クエストや、他の冒険者では達成が難しいクエストを受注したりしているので、運営を考えれば実力不足の者を招き入れることは難しいのだ。
少数精鋭……銀翼が大手クランと対等な立場でいられる所以でもある。
「そうですよね……分かりました、もっと力をつけます。その時には、もう一度クランへの加入をお願いしてもいいですか?」
「もちろんだよ」
バクーダに笑顔で答えるアルベルトだった。
その様子を見ていたラスティアは、コファイが俯きながら悲しそうな表情をしていることに気付く。
しかし、ラスティアはコファイに声を掛けることはなかった。
今、何を言ってもコファイの心に響かないと思ったからだ。
ある程度の自信があり、アルベルトに銀翼への加入を申し出たサウディとバクーダ。
コファイは、その場所にさえ立つことができないので、何も言えずに悔しい思いをしていたからだ。
この悔しさを乗り越えなければ、コファイの成長はないだろうと、ラスティアは思っていた――。
「分かった、任せろ!」
奥に進むなか、遭遇するゴブリンたちをサウディとバクーダは、連携を取りながら倒していく。
洞窟に入ったときよりも、格段に成長している。
「はぁ……結局、アルベルトの思った通りなのでしょうね」
小さくため息をつくラスティア。
その横で、サウディとバクーダの成長を目の当たりにしたコファイは、悔しそうに拳を握っていた。
自分だけが置いて行かれた気分だった――。
ラスティアに言われた言葉が頭から離れないでいた。
すぐに、光属性魔法を理解して、自分なりの方法で強くなりたいと思っていた。
「コファイ!」
「はい、なんでしょうか?」
「オーリスに戻ったら、私たちを訪ねなさい。スケベで大酒呑みですが、光属性の魔法を使う上級魔術師を紹介してあげますわ」
「えっ‼」
「……嫌でしたか?」
「いえ、そんなこと……ありがとうございます‼」
ラスティアは、コファイが悔しそうにしているのに気づいていた。
自分も同じようなことを経験したことがあるので、コファイの悔しさが分かっていた。
そう、アルベルトにクウガ、カルアに助けられて冒険者として生まれ変わった時、三人と実力に差がありすぎて、何度も悔しい思いをしてきた。
ランクの話などではなく、アルベルトが言った経験の差だった。
仲間の次の行動を予測しながら魔法の準備をしたり、安全な場所へと移動したりすることがなかなかできなかった――。
そのことで、アルベルトたちがラスティアに文句を言うことはなかったが、その優しさがラスティアには酷でしかなかったのだ。
クウガに頼んで、いろいろと教わる。
そして、少しずつだが戦闘にも慣れてきて、三人の役に立てていると思えるようになる。
そして、正式に銀翼と言う名のクランに入ることを頼んで、許可される。
許可される時に三人が言った「もう、仲間だと思っていた」の言葉は、今でもラスティアの中で心に残っていた。
「……おかしいな?」
アルベルトが立ち止まる。
「どうしたのですか?」
「あぁ、ラスティア。ゴブリンの数が少ない。横への抜け道も無かったのも気になる……もしかして、隠し通路があったのかも知れない」
「まさか……その可能性も含めて、私も確認していました」
「それなら、どうして……」
徐々に出現するゴブリンの数が少なくなっている原因は二つあった。
一つ目は、先程の広げた場所で決着をつけようと大量のゴブリンを投入したこと。
二つ目は、苛立ったホブゴブリンが残っていたゴブリンに八つ当たりをして、何匹も殺してしまったことだ。
アルベルトは、その違和感に気付きながらも原因が分からない不気味さを感じていたのだった。
「後方部隊も順調に進んでいるようですし、とりあえず進むしかないでしょう」
「そうだね……変なことを言って、すまなかったね」
アルベルトたちは、さらに洞窟の奥へと進んでいく。
十数メートル歩くとアルベルトが、動作で止まるように指示を出して、静かにするように指を口に当てる。
そして、アルベルトは一人で少しだけ進み様子を確認しに歩き出した。
少しだけ広い場所の奥に座るホブゴブリンと、その横にいるゴブリンメイジとゴブリンナイトの三匹。
その手前には、十数匹のゴブリンが固まっていた。
その足元には、無惨に潰されたゴブリンの死体が数体転がっていた――。
アルベルトは集落のリーダーがホブゴブリンだと確信する。
問題はゴブリンメイジの魔法だ。
この五人では倒しきるのが難しい! と、判断したアルベルトはラスティアたちの所に戻ると、後方部隊と合流することを提案する。
ラスティアもアルベルトの意見に賛成だった。
アルベルトたちは一旦、後方部隊と合流するために、ゴブリンたちを警戒しながら引き返すことにした。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ニコラスたち後方部隊と合流をしたアルベルトは、ニコラスに報告をする。
「……ホブゴブリンですか⁉」
「えぇ、ゴブリンジェネラルでなくて、ホブゴブリンでしたので、最悪の事態は免れたと思っていいでしょう」
「たしかに、そうですね。やはり、ゴブリンメイジでは、なかったのですね……」
アルベルトからの報告を受けたニコラスは、ホブゴブリンが集落のリーダーだったことに驚くが、冷静を装った。
それに、慌てることなく淡々と話すアルベルトに対して、「もしかしたら、かなり前から、ホブゴブリンが集落のリーダーだったことに気付いていたのか?」と感じていた。
「……戻って来られたということは私たちに、なにか協力できることがあるということでしょうか?」
「はい。私たちが見落とした横道や、抜け穴などはありませんでしたか?」
「私たちも慎重に確認しましたが、それらしいものは発見しませんでした。一本道で間違いないでしょう?」
この場所は元々、鉱石の有無を確認するために掘られた洞窟だったが、採れる鉱石が極端に少ないことや、岩盤が堅いため計画通りに採掘ができなかった。
結局、計画は途中で中止されたので、鉱山のような幾つもの道が存在していない。
このことは、事前にニコラスからアルベルトにも伝えられていたが、念のためということで、横道や抜け道をニコラスたち後方部隊が、念入りに調べていた。
「ここからの戦いですが、ホブゴブリンは私一人で相手をします」
「一人でですか!」
「はい。ホブゴブリン一匹であれば問題ありません。しかし、ゴブリンメイジも攻撃に参加すると少々厄介なので、ゴブリンメイジの相手をお願いしたいと思います」
「でも、ゴブリンナイトもいるのですよね⁈」
「はい。しかし、ゴブリンナイトの相手は、サウディとバクーダがします。全体的な判断はラスティアがしてくれるので、回復魔法が遅れて致命傷になることはないと思います」
「サウディとバクーダが、ゴブリンナイトの相手ですか……」
「心配なら何人かの冒険者をつけて頂いて構いません」
「……分かりました」
ニコラスはアルベルトの提案に疑問を感じていた。
サウディとバクーダの実力は、ギルマスとして把握しているつもりだ。
二人がかりとはいえ、ゴブリンナイトの相手をするのは荷が重いと感じていた。
アルベルトはオーリスの冒険者ではない。
もしかしたら、サウディとバクーダの二人を犠牲にしているのではないか……アルベルトに対して、不快感を感じていた。
「ニコラス。アルベルトは、二人の実力を知ったうえで戦えると判断をしています」
ニコラスは、ラスティアが自分の心の中を読んだのか⁉ と思うようなタイミングで話し掛けてきたことに驚く。
「心配であれば、サウディとバクーダに話を聞いてみますか?」
「そうですね……」
ニコラスはサウディとバクーダを呼ぶと、アルベルトからの作戦を二人に伝えた。
顔を見合わせるサウディとバクーダだったが、二人して頷いた。
「大丈夫です。俺たち二人でゴブリンナイトを倒してみせます」
「まぁ、なにかあれば……助けてください」
自信に満ちた二人の表情にニコラスは驚く。
自分の知っているサウディとバクーダでないように感じたからだ。
サウディとバクーダは後方部隊と合流する時に、今回の作戦を聞いていた。
もちろん、無理強いはしないので無理なら、何人かでゴブリンナイトの相手をしてもいいと、アルベルトは話す。
「アルベルトさん……それは、俺……僕たち二人であれば、ゴブリンナイトを倒せると思っているのでしょうか?」
サウディがアルベルトに質問をする。
「もちろん。君たちの戦いぶりを見て決めたことだ。君たちは、僕が思っていた以上に強いし、連携も上手に出来ていると思う」
サウディとバクーダは同じパーティーで何度も戦っている仲間だった。
連携がとれているのは、長年培ってきた信頼によるものだろう。
もちろんアルベルトは、その情報を知っていて、サウディとバクーダの二人を選んでいた。
「ありがとうございます」
ランクAの冒険者に実力を認めてもらえることは、なにより自信につながる。
それにアルベルトとラスティアは、自分たちの長所を伸ばして、短所を指摘してくれるので、自分たちが何をすべきかが明確になる。
「……アルベルトさん」
「なにか、質問でもあるのかな?」
「いいえ。その……僕を銀翼のクランに入れてはもらえませんか?」
バクーダは、真剣な表情でアルベルトに話す。
「そっ、それなら俺……僕も入りたいです!」
バクーダに先を越されたと感じたサウディも銀翼へ入ることを懇願する。
「ん~、君たちに気持ちは、とてもありがたいけど、銀翼は少数精鋭なクランなんだよね。もう少し、実力がないと厳しいかな?」
少し、困った表情で答えるアルベルト。
「そうですね。人数が増えれば維持費だけでも大変ですからね。大手クランであれば別ですが、うちのようなクランですと確かに厳しいですよね」
ラスティアがアルベルトをフォローするように話す。
実際、ラスティアの言うように人数が多くなれば、それだけクエストを受注しなければならない。
大手のクランであれば、実力にあったクエストを幾つか受注しながら運営をしているところもある。
しかし、銀翼は指名クエストや、他の冒険者では達成が難しいクエストを受注したりしているので、運営を考えれば実力不足の者を招き入れることは難しいのだ。
少数精鋭……銀翼が大手クランと対等な立場でいられる所以でもある。
「そうですよね……分かりました、もっと力をつけます。その時には、もう一度クランへの加入をお願いしてもいいですか?」
「もちろんだよ」
バクーダに笑顔で答えるアルベルトだった。
その様子を見ていたラスティアは、コファイが俯きながら悲しそうな表情をしていることに気付く。
しかし、ラスティアはコファイに声を掛けることはなかった。
今、何を言ってもコファイの心に響かないと思ったからだ。
ある程度の自信があり、アルベルトに銀翼への加入を申し出たサウディとバクーダ。
コファイは、その場所にさえ立つことができないので、何も言えずに悔しい思いをしていたからだ。
この悔しさを乗り越えなければ、コファイの成長はないだろうと、ラスティアは思っていた――。
32
お気に入りに追加
215
あなたにおすすめの小説
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話
紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界――
田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。
暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。
仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン>
「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。
最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。
しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。
ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと――
――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。
しかもその姿は、
血まみれ。
右手には討伐したモンスターの首。
左手にはモンスターのドロップアイテム。
そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。
「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」
ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。
タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。
――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――
「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした
御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。
異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。
女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。
――しかし、彼は知らなかった。
転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
俺と幼女とエクスカリバー
鏡紫郎
ファンタジー
憧れた世界で人をやめ、彼女と出会い、そして俺は初めてあたりまえの恋におちた。
見知らぬ少女を助け死んだ俺こと明石徹(アカシトオル)は、中二病をこじらせ意気揚々と異世界転生を果たしたものの、目覚めるとなんと一本の「剣」になっていた。
最初の持ち主に使いものにならないという理由であっさりと捨てられ、途方に暮れる俺の目の前に現れたのは……なんと幼女!?
しかもこの幼女俺を復讐のために使うとか言ってるし、でもでも意思疎通ができるのは彼女だけで……一体この先どうなっちゃうの!?
剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています
【3部完結】ダンジョンアポカリプス!~ルールが書き変った現代世界を僕のガチャスキルで最強パーティーギルド無双する~
すちて
ファンタジー
謎のダンジョン、真実クエスト、カウントダウン、これは、夢であるが、ただの夢ではない。――それは世界のルールが書き変わる、最初のダンジョン。
無自覚ド善人高校生、真瀬敬命が眠りにつくと、気がつけばそこはダンジョンだった。得たスキルは『ガチャ』!
クラスメイトの穏やか美少女、有坂琴音と何故か共にいた見知らぬ男性2人とパーティーを組み、悪意の見え隠れする不穏な謎のダンジョンをガチャスキルを使って善人パーティーで無双攻略をしていくが……
1部夢現《ムゲン》ダンジョン編、2部アポカリプスサウンド編、完結済。現代ダンジョンによるアポカリプスが本格的に始まるのは2部からになります。毎日12時頃更新中。楽しんで頂ければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる