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第20話 働き方改革

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 エーテル酔いを極度に心配したルイさんに、充電が切れたスマホは明日までそのままにしなさいと釘を刺されて食事は終了した。
 いや、流石にそこまでしなくても2日連続全損する程、愚かではないと思いたい。

 雑炊の満腹感と多幸感でよく眠れました。


 今日は月曜日だが果たして出社するのが効率的に正しい形なのか疑問になってきた。土日も仕事扱いの事はしているはずだ。自宅勤務や裁量労働などに出来ないか担当の彼お客様を通じて形式上の上司に打診をしてみよう。

 俺はもう知っている。
 ホウレンソウは大切などとのたまった所で、報告や連絡、相談は、する相手や着地点を定めず考えなしにやっても意味がない。
 いい年になってくると相手にも育てる意識も無くなるため、報告は行動の追認、連絡は例外的行動の事前承認、相談も言質を引き出すためのものでしかなくなる。

 今回のパターンでは関東の形式上の上司に自宅勤務を相談した所で、社内規定だとどうだの状況を見ながらだのと引き延ばし、のらりくらりと結局何もしない。
 例外的な一社員の内部からの稟議など社内上層部では重要視しない。それを上司も分かりきっているからこそ、目立つ反体制的行動をして波風を立てるメリットもないのだ。結果、何も変わらない。
 そんな事を席の近い人達に愚痴るのも愚の骨頂である。何年社会人やってんだと思われ、「仕事できない君」のレッテルが貼られる事だろう。

 しかし、これがお客様という外部のステークホルダーからの要請となると、ガラリと話は変わる。
 営業サイドや管理サイドの人間にもタスクが見えてしまうため、形式的な上司も何もしなければ、何故対応しないのだと問われる立場に早変わりだ。
 組織内部はなぁなぁで面倒事は個人の我慢で済まさせ、外圧があればあっさり変わる。どこも同じだ。

 まずは定時に出社する。ルールを変えるならルールを尊重する。意外と大事な事だ。ルールを破っておいてルールが悪いと言ってる奴の戯言など誰も耳を貸さない。

 担当の彼お客様に昨日の成果と今後の方針案、通常勤務が実情にはフィットしていない事、裁量労働に変更した場合の想定メリットをプレゼン資料2枚にまとめてメール送付する。

 形式上の上司にも週報として、軽く今の勤務体系だと休出が多発して残業代が増える懸念を盛り込んだ報告書も送付した。


 担当の彼からは、魔法代金の補助などは上司と検討してみるので時間がかかるが、準委任契約の労働形態の変更要請は覚書で対応できそうなので法務部を通過次第御社と検討に入りますと、珍しく形式張ったメールが返送されてきた。

 彼も中々の人物の様だ。
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