いつか私もこの世を去るから

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私は優子さんが光の家から出てきて、驚いていた。

優子さんも驚いたのか、私の顔を見て「糸ちゃん。どうしたの?」
と言ってくる。

朝倉先輩が
「糸ちゃんも、光にお線香上げたいって、なんか遠い知り合いだったみたいで、、、。」
と咄嗟に嘘をついてくれる。

優子さんは何も疑う事なく、私を家に入れ、仏壇まで連れていってくれた。

ここが、光の家か、、、。
私は不思議な気持ちになった。
光とは外でしか会った事がなかった。
光はここで、育ったんだ。

仏壇の前に行くと私は愕然とした。
そこには光の遺影が飾られていた。

写真の光はやっぱり私の知っている、いつもの笑顔だった。

キラキラと輝いていて、私は現実を突きつけられる。

遺影の横には、光がいつも使っていた釣竿も置いてあった。

光は本当にもう、この世にはいなかったのだ。

どんなに私がこの夏、光と過ごしたと主張しても、これが全てで、現実だ。

私は、喋る事も出来ず、ただ光の笑顔を見ていた。

今にも『糸!』と呼び出しそうな写真だった。

他の皆んなも、ただ光の遺影を眺め、私を心配そうに見つめる。

朝倉先輩がお線香をあげる。
皆んなで手を合わせた。

現実じゃないみたいだ。
いや?どれが現実?どれが夢なの?どこからが夢?

神坂村に越して来てから、不思議な事ばかりで、もうわけがわからなくなる。

光はどうして私の前に現れたの?

仏壇を見ると、光の遺影の隣には、若い女の人の遺影もあった。とても、光に似ている綺麗な女性だった。

私が眺めていると、優子さんが麦茶を淹れて持ってきてくれた。

「皆んなありがとね、お線香上げに来てくれて。光も大勢きてくれて、喜んでるわ。賑やかが好きな子だったから。」

「確かに、光はとにかくいつもうるさかったな。幼稚園の頃から、ずっとやんちゃのまま大きくなったような奴だったもんな。」
朝倉先輩が話すと、優子さんは笑っていた。

私が女性の遺影を見ているのに、優子さんが気づいて話す。

「その人はね、光の本当のお母さん。
光が5歳の時に亡くなっているのよ。」

お母さんが亡くなっていたのは本当の話しだったんだ。

「私は、光が7歳の時に光の父親と再婚したから、私は光とは血が繋がっていないのよ。」

「そうだったんですね、、、。」

「こんな大きな農家でしょ?女でがないと色々大変だからって、光の父親は周りから再婚しろって言われてね、私とお見合いしたの。」

「光は、優子さんが、来てくれて嬉しがっていましたよ。」
朝倉先輩が言う。

そうすると、優子さんは少し微笑んで光の遺影を見て話す。

「私は、光の母親になんてなれないと思っていたわ。だって、光には本当の母親がいたんだから。でも、再婚してすぐに花火大会があってね、光は熱があったのに、どうしても行きたいってきかなかったの。」

私はぴんときた。この話、光から聞いた、、、。

「私は仕方ないから、光をおんぶして花火大会に連れていったの。
暑いし、重いし、心配だし。私はへとへとだった。けど私の背中で光が言ったのよ。
『優子さんの背中で見る花火が1番好きだ。』って。」

「光らしいですね。」
朝倉先輩が笑う。
「そうでしょ?
でも何故かね、それを聞いた時、私は一生かけてこの子を守りたいって思ったのよ。理由はわからないんだけど、この子が本当に可愛いと、私の中からそんな感情が溢れ出てきたのよ。」

皆んな真剣に、優子さんの話しを聞く。
蒼も、美波も、沙耶も涙ぐんでいる。

「でも、結局私は光の母親にはなれなかったわ。
特に下の子ができてからは、光はどんどん私に対して反抗するようになって、悪い子とも付き合うようになって、いつも家では喧嘩ばかりしていたわ。」

優子さんが悲しそうに言う。
「でも、私はずっと変わらず光の事が大切だったのよ。血の繋がりなんて関係ない。
私にとっての初めての子は光なのよ。
でもきっと、私のせいだわ、、、。」

優子さんは涙を抑える。
そしてまた笑って話す。
「ごめんなさいね。こんなつまらない話しをして、せっかく皆んなきてくれたのに、湿っぽい話しは嫌ね。」

優子さんはわざと明るく話す。
そして、美味しいスイカがあるからと言って、また部屋を出ていく。

「荒木先輩ってさ、見た目やんちゃだから怖がってる子もいたけど、いじめられてる子を助けたり、優しい先輩だったよね。」
と蒼が言う。

「そうそう、陸上部の助っ人でリレーに出てくれた時も『諦めんなー!!』って大声で応援してくれてね。優しかったよね。」
美波も言う。

「私も、初めての大会で緊張してたら、
『絶対1位取れるから頑張れ!』って背中押してくれてさ。勇気でたな。」
沙耶も言う。

皆んなの話す、光のエピソードが、全て私の知ってる光らしく、私はまた泣きたくなった。

光は本当にここで生きて
そして亡くなったんだ。

「糸ちゃん。生きてた頃の光は、自分の意見をしっかり持った優しい奴だったよ。
だからあいつの周りには沢山友達がいたし、皆んなから慕われてた。
もちろん、やんちゃでいい加減な所もあったけど、俺は光が大好きだった。」
朝倉先輩が私をしっかり見つめて話す。

「糸ちゃんは、良い奴に恋をしたね。」

そう言われると、私の目はまた涙でいっぱいになる。

「糸、なんで荒木先輩が糸の前に現れたかわからないけど、きっと何か大事な理由があるんじゃない?」

蒼が言う。
大事な理由?
それって一体何なんだろう。

光が現れた理由。
私を助けてくれた?

考えていると、私のバックがキラッと光った気がした。
何だろうと気になって私はバックを開ける。
勾玉と鏡だった。
何故か光っている。私は手に取りふと思った。

もしかして、光は、光は、今祠にいる?

ただの"かん"だ。でも無視する事はできない。
私は光にもう1度会いたい。

こんな写真じゃなくて、本当の光に会いたいんだ。

そして、光が私を待っている気がした。
だって、約束したんだから一緒に祠へ行くって。

その為に私達、この夏頑張ってきたんだから。
私が駆けつけるのを、光が祠で待っている気がする!

そう思ったら私は止まらなかった。
何がなんでも祠へ行く。

道も何もわからないけれど、『必ず見つけるっていう、強い意志が大事なんだよ。』
光が言ったんだ。

「ごめん!私ちょっと帰る!」そう言うと、光の家を飛び出していく。

皆んなびっくりしていたが、とにかく私は走った。
早くしないと日が暮れる。
その前に祠を見つけ出さなければいけない。

光、何で話してくれなかったの。
全然大事な事話してくれてないじゃん。
あんなに一緒にいたのに、自分の事ちっとも話してくれなかったじゃん。

走って走って、息を切らしながら私は家につく。そしてポケットに勾玉と鏡だけ入れてまた走る。

家の神社に参拝する。

『どうかお願いします。私を光の所へ連れていってください。』

必ず祠へ連れていってもらえるように、私は願った。

そして、私は裏山へ1人で踏み込んでいく。
怖いと言う気持ちは不思議となかった。

それよりも、光にもう1度会いたい、早く光の所へ行かなくちゃという気持ちだった。

こんな道もない裏山、いったいどっちの方向へ行ったらいいかもわからない。

けどひたすらに私は、頂上を目指して登っていった。

確信はないがとにかく自分の直感だけが頼りだ。

5感を研ぎ澄ませ、私は歩いていく。
しばらく歩くと、私はだいぶ疲れていた。

早く到着したいと思うがあまり、早足で登っていたからだ。

足が痛い。
けど、止まるわけにはいかない。
私は木の枝に躓き、倒れる。

痛い、、、。
でも諦めない。絶対に諦められない。
私は何とか立ち上がり、また山道を進む。

足が痛いので引きずりながら登っていく。
自分の道が合っているのか、合っていないのか、わからないまま進むのは、物凄く恐怖だった。

普通に遭難するかもしれない。
日も暮れ始めている。
このまま見つからなかったらどうしよう。
そもそも、祠に光がいるかもわからない。

けど、こんな所でまだまだ終われない。
光に会うまでは絶対に諦められない。

その気持ちだけで足を動かす。

ふと見ると、私の前に鹿がいた。

私はびっくりした。
前も天海山を登っている時に、鹿を見た事を思い出した。

光はあの時、鹿を見て「可愛い」と言っていた。本当につい最近の事のように思い出す。

鹿は私をじーっと見つめている。
私も鹿を見ると、鹿が「こっちだ。」と言ってるように見えた。

そして、鹿が歩き出す。
私はよくわからないが鹿について行く。

確信はもてなかったが、とりあえず行くしかない。

もう直感を頼るしかなかった。

鹿は私がちゃんと着いてきているか、確認するように、何回も振り返り振り返り、歩いていく。

そうして、鹿の後に続いて歩いていくと、
急に雨が降り出した、、、。

えっ?

ー禊の雨?ー


『そう。神社を参拝する時に、急に天候が変わって雨が降ったりするのは神様が歓迎してるらしい。』


光が言ったんだ。


雨がしとしと降っている。

私は1人歩いていく。

霧のような靄《もや》がかかり、辺りは真っ白になった。

現実では一度も行った事のない場所。

けれど、私はこの場所を知っている気がする。

いつも夢に出てくる、この神社。

鮮やかな朱色の鳥居に大きなしめ縄、横にはオオカミのような狛犬。

そうか、いつも夢に出てくるこの神社が"祠"
だったんだ。

鳥居の先に小さな古い祠がある。
あそこに行けば、きっと光に会える。

私は鳥居に向かって歩き出す。

私は、早く行かなければと思う。
ここに、ここに、光がいるはずなんだ。

そう思って
鳥居をくぐろうとしたその瞬間、、、


前から大きな白い物が飛び出してくる。

怪物の様な、おばけの様な、私はびっくりして怖くなる。そして思わず尻餅をついて倒れる。

けれど、逃げ出さなかった。
私は、真っ直ぐその物体を見た。

それは、大きな、大きな白い竜だった、、、。

一瞬その竜と目が合った気がした。
神坂村を護っている竜、、、?

そう思った瞬間、竜は私を通り過ぎ空へ駆けていった。

雨が止む、、、。霧が晴れ、何故か光がさす。
周りを見渡すと鳥居の奥に祠が見える。

そして、そこに光が立っていた。

私はびっくりして、起き上がり、光の方へ歩いていく。

「光!!」
私が叫ぶ。
足を引きずりながら、私は光の前まで行く。
光は何故かとても悲しそうな顔をして、私を見つめる。

私も悲しくなって、涙が溢れる。

『糸、、、よくここまでこれたね。』

光が言う。
私は泣きながら、
「大変だったよ、1人で。怖かったし。
でも、鹿が助けてくれた。
光、一瞬に祠に行こうって約束したじゃん!」
と半分怒りながら言う。

『糸、ごめんな。俺、糸といるのが楽しすぎて、すっかり忘れてたみたいだよ。
本当にアホだな。
、、、俺、死んでたんだ。』

光が泣き出しそうな顔で言う。
私もその言葉を聞いて、どんどん涙が溢れてくる。

「嘘だよ、、、そんなの。
だって、あんなに一緒に遊んだじゃん。
一緒に出かけて、花火も見て、光が死んでるわけないじゃん!」

私は半分叫ぶ。

だって、私はこの夏、光に恋をした。
全てが幻だったの?

悲しい。
そんなの悲しすぎる。
これからもっと、光の事を知って、光に気持ちを伝えて、光とこの村で生きていくつもりだった。

私は、光との未来をずっとずっと描いて行きたかった。

全てが無理な事なの?光もお母さんのように連れていってしまうの?

私の前からいなくなっちゃうの?
そんなの絶対に嫌だ。

私は顔を覆って泣く。嫌々する子供みたいに。



光は私を優しく見つめて、私の手を取り話す。子供を諭すように。
『糸、俺の話しをよく聞いて。』


私は顔をあげる。そこにはいつもの、光の顔があった。

『糸も、いつか必ずこの世を去る時がくるんだ。それは、絶対なんだ。』

光は私の目をしっかり見つめて話す。

『だから、それまで糸は1日1日を大切にして、後悔しない人生を送らなきゃいけないよ。
悲しみに暮れて時間を無駄にしないで。
時間は有限なんだ。』

光が微笑む。

『自分がやりたいと思った事は、言い訳せずになんでも挑戦して。
行きたい場所があったら行って、好きな人がいたら、気持ちを伝えて。
思いっきり、、、これでもかってくらい人生を楽しみ尽くすんだ。』

光が話しながら、私の手を強く強く握る。

『そして、もし、糸が死ぬ時は、最高だったと、最高の人生だったと思えるような。
そんな今を生きて欲しいんだ。』

光は、私を見つめて頭を2回ぽんぽんっと優しく叩いた。


「私、、、光が好きだよ。光と出会えて良かった。」


私が泣きながらそう言うと、光が笑う。
『死んでから、誰かを好きになるって、何なんだろうな。本当、意味わかんねーよ。そんな事ってあんのかな。』

そう言うと、光の身体が青白い光に包まれて行く。
私は、びっくりして、1歩後ずさる。

光もそれに気づき、私を見て泣きそうな顔で言う。

『糸、最後に俺の頼みを聞いて欲しい。
糸にしか出来ないんだ。』

お願い?何?、、、私にしか出来ないって、、、。
そんな事あるの?

光が泣きながら言う。

『俺を降ろしてくれ。あの人の所へ、、、
母さんの所に、、、。
どうしても伝えたい事がまだあるんだ!!』

優子さん?優子さんの所へ降ろして欲しいって事?

でも、私はカミサマなんて出来ない。
私は巫女じゃない。

無理だよ。無理、、、。

その時、私の持っていた鏡と、勾玉が光だした。

私は驚いてその光を見る。
そして、誰かに言われた気がした。

『糸にしか出来ないのよ。』

お母さんだ、、、お母さんが私に言ってる。
この村に来てから、いつもお母さんから言われている言葉だ。

お母さんは私にカミサマが出来ると思っているの?

国子さんにも降ろせなかったのに、私なんかに出来るはずない!

だけど、、、

今まで、光は私を沢山助けてくれた。

光がいたから頑張れた。光がいたから楽しかったんだ。

今度は私が助けたい。

私、光の最後の願いを叶えてあげたい。

そう思って、私は光に向かって言う。

「絶対、私が降ろしてあげるから!!」

光はどんどん、青白い光りで消えかかっていた。

時間がないんだ、、、。
私はかけだした。
来た山道をどんどん下って行く。

足は痛いが、そんなの構っていられない。
早く、早く優子さんの所へ行かなきゃいけない。

私は思い出す。今日見た優子さんの顔。
光が死んだのは自分のせいだと、自分を責めていた。

光も、優子さんも助けてあげたい。絶対に。

気持ちがせいて、私は何度も転んでしまう。
足から血が滲んでいる。

けど、前へ、前へひたすら進む。

息が弾む。私は何故か今、物凄く生きていると実感する。

生きてるって多分こうゆう事だ。
誰かの事を強く思ったり、思われたり、誰かの為に必死になったり。

こんなに生きてる事は素晴らしいんだと、思った。

光、私あの日死ななくて本当に良かったよ。
死ななかったから、今こんなに光の為に一生懸命走る事が出来てるよ。

私はなんとか、家の方まで下ってきて、優子さんの家に行こうとした、その時、、、

鳥居の前に優子さんがいた、、、。

手を合わせている。

私は、息を整えてから優子さんに叫ぶ。

「優子さん!!!光を降ろします!!」

優子さんは、私の方を見てびっくりしている。
「糸ちゃん、、、どうしたの?
光を降ろすって?」

信じられない顔をして、私を見ている。
そりゃそうだ。私だって出来るかわからない。

けどやるんだ!!

いちかばちかだ。

これは、私にしか出来ない。

私は優子さんの前に行き、勾玉と鏡を軽くにぎる。そして、目を閉じる。

国子さんが言っていた、

『魂の声を良く聞き、人間の話しも良く聞く。
それが1番大事だ。霊がこの世での未練を断ち切り、神へと導くのが巫女の勤めだ。』


光、光が優子さんに、伝えたい事は何?
もう1度降りてきて。

お願い、、、。

その為に私の前に現れたんでしょ?

優子さんが苦しんでる。

私がひたすら念を送ると、私の身体が何故かずっしりと重くなり、自分の身体が自分の身体じゃない様な不思議な感覚になる。

そして、何故か勝手に私の口が動いて、何語ともわからない、不思議な言葉が口からついて出てくる。

私の隣にぼぅっと光が現れる。

優子さんもそれが見えている様だった。

「光、、、?光!」
と言って信じられない顔をしている。

『母さん。ごめんね。
最後の最後まで母さんを苦しめて。』

光が泣きながら言う。

『俺、母さんにずっと甘えてた。
母さんの愛情を試したり、自分1人で独占したかったんだ。母さんなら何でも許してくれるって思ってた。』

優子さんは光の言葉を聞いて泣き出す。そして小さな声で、
「ごめんね、ごめんね。」と呟く。

『あの日も、酷い事言って、家を飛び出して、頭冷やす為に、1人で散歩してた。
気づいたら、だいぶ遠い所まで来てて、ダムの上の橋にいたんだ。』

優子さんは光の顔を見つめて話しを聞く。

『1人で、しばらく橋の上にいて、川の方を見たら何か飛び跳ねた気がして、見を乗り出して見てみたんだ。欄干に手をかけた時、雨が少し降ってたせいか、手が滑ってそのまま、、、。
だから、自殺じゃないぜ。』

光が微笑む。
『死ぬわけないよ。
俺は幸せだったんだから。あの家に産まれて、
母さんと父さんに育てられて。
この村で思いっきり自然の中で遊び尽くして。
ちょっと時間は短かったかもしれないけど、
人生は長さじゃなくて、濃さだろ?』

優子さんは、自分の顔を覆って泣き出す。

『母さん、もう泣かないで。
ずっとお礼が言いたかった。血が繋がらない俺を大事に育ててくれて。
沢山愛情をくれて。
何も返せなかったけど。
ありがとう。母さんの子供になれて良かった。』


光は、そう言うと静かに消えて行く。

「光、、、。光!!!」

優子さんの声が山に響く。

私は憑き物が取れたように、その場に倒れ込む。

遠くから、国子さんの声がする。

私は意識が薄れていく中で、光に呼びかる。

光、私やったよ。

光の最後のお願い、ちゃんと叶える事が出来たよ。

もう、泣いてばかりの頼りない私とは言わせないよ。

私だって、やれば出来るんだから。

そう思うと、山の方に光る物が登っていくのが見える。

光?光だろうか、、、。

国子さんが私に呼びかけている。

「糸!糸大丈夫か!」

国子さん、国子さんは全てわかっていたの?

聞きたかったが、私はどんどん暗い意識の中へ落ちて行く。

















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