エンドロールを巻き戻せ

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次の日は、体育祭日和の良い天気だった。
グラウンドには、国旗の旗が気持ちよさそうに、秋晴れの空を泳いでいた。

私は朝から、体育祭実行委員と吹奏楽部の準備で大忙しだった。

吹奏楽部は、入場行進から、応援合奏もあり、
ずっと演奏しっぱなしの予定だった。

私が吹奏楽部の席で練習していると、一彩が声をかけてきた。

「瑞稀ちょっと、こっちきて。」
そう言って一彩が手招きするので、私は一彩の方へ行く。
「おはよう一彩!」
「瑞稀、手出して。」
一彩が、そう言うので私は手を出す。
そうすると、一彩が私の腕にミサンガをつけてくれた。

「えっ?可愛い。ありがとう。」
私の好きなブルーを基調としたミサンガだった。

「去年、瑞稀が体育祭の時に作ってくれたから、今回は俺が作ってみた。」

「え?一彩が作ったの?V字柄になってるよ?
めちゃくちゃ器用じゃない?」

悲しいけれど、多分私が作るより全然上手だ。

「動画見て作り始めたらなんか、凝っちゃってさ、ミサンガって色んな柄があるんだな。」

絶対に忙しいはずなのに、私の為にわざわざ作ってくれた事に感動してしまう。

「一彩ありがとう。大事にするね。」
「うん」

一彩が照れくさそうに言う。
その時、後ろからのっちが私に話しかけてきた。

「立花ー!女子の仮装リレーの衣装、教室にもう運んどいたからな!後で皆んなに配っといて!」

「ありがとう!了解!」

のっちは、私の隣りにいる一彩に気がつくと、何故か私達に近寄ってくる。

(何だろ、、、)

のっちは、一彩の前に行くと、一彩に笑いかけながら話す。

「今日、全体リレーで一緒にアンカー走る小野です。」

何故だかわからないけれど、いきなりのっちがそんな事を言い出したので、私は緊張してくる。
のっち、一彩に何を言う気だ、、、?

一彩もいきなり話しかけられて、ちょっとびっくりしている。

多分、話した事がないんだろう。
うちの高校は8クラスもあるから、話した事がない人がいても、不思議ではない。

一彩は少し戸惑って、
「あぁ、、、。」
と返事しただけだった。


戸惑っている、一彩にのっちが更に話しかける。

その表情は野球の試合の時に見せる、のっちの勝ち気な顔だった。



「あんまり、立花の一途な気持ち利用して、振り回してると、俺が立花の彼氏に立候補しちゃうよ。」



え───、、、?


のっち、何言ってんの?


のっちの突然の発言にびっくりして、私が呆然と立ち尽くしていると、のっちが私の方を見ていう。


「いったじゃん、俺部活引退して、絶賛彼女募集中!立花、今日は俺の為に得点マーチ吹いてくれよ!絶対、相沢一彩に勝ってやるから!」
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