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開通
しおりを挟む夢哉の家庭環境は最悪だった。
家の外観だけはデカくて立派だが、それを築いた父は、数年前に女を作って出ていってしまった。
他所に女を作った原因は、夢哉の母親である妻との不仲であろうが、そもそも不仲になった原因は、夢哉と10も歳の離れた兄の引きこもりのせいだ。
理由は分からないが、突然高二の夏休みと共に引きこもりになった。
引きこもって、もう7年になる。
記憶の中の兄は、歳の離れた夢哉の事をとても可愛がってくれていたし、
スポーツも勉強も出来て、優しくてカッコよくて、バレンタインデーにチョコを沢山貰ったからと夢哉に分けてくれる程モテていた。
一体全体、何で兄は引きこもりになったのだろう。
今では極たまにチラリと姿を見るだけで、殆どを部屋にこもって過ごしている。
そんな兄の問題と、夫に出ていかれたことで母は狂ってしまった。
ギャンブルにハマり、どんどん酷くなっている。
たまに電気が止まるし、食事を用意してくれない日もあった。
家にいる時は、いつもジメジメと泣いて酒を煽っていた。
女を作って出ていった父にも、ギャンブルにハマり子供の世話を放棄する母にも、引きこもりの兄にも、
こんなヤツらのようにはなるまいと、夢哉は勉学に励み、無遅刻無欠席のど真面目に生きていた。
来年は高校受験が控えているので、絶対に第一希望の高校に受かるべく、最近はもっぱら机に向かう日々を過ごしているのだった。
今日も学校から真っ直ぐ帰宅し、すぐ授業の復習を始めた。
しばらくして母親に呼ばれ、惣菜のみの夕食を済まし、また自主学習だ。
勉強を始めてどれくらいか、なんだか眠たいなと集中力も切れた頃、時計は21時を回っていた。
「やば、眠い…。一旦風呂入ろ…。」
大体いつもこの時間に眠くなってしまうのでお風呂で目を覚ましてから、また30分程机に向かうというのが夢哉の日課だった。
時間を無駄にしない為にサッと風呂から上がり、手早く身支度を済ませ、再び学習を始める。
が、今日は何だかダルいほど眠たい。
ウトウトして何度も同じ文を繰り返し読むが、ちっとも頭に入らない。
(まだ、10分も経ってないのに…。今日体育頑張ったから…?)
まだベッドに入る訳にはいかない、と気持ちだけはあったが、夢哉は睡魔に負けて机に突っ伏し寝てしまった。
「っは…?!」
夢哉は机に垂らした涎の糸を引かせながら飛び起きた。
まだ寝ぼけ半分ながら、時刻を確認しようと横をむく。
と、目と鼻の先に人の顔があった。
「っうわぁあ?!!!」
夢哉は驚きのあまり、椅子から飛び上がり床に転げ落ちる。
「ぉおお、お兄ちゃん?!!」
夢哉を見下ろすように立っていたのは引きこもりの兄だった。
散髪に行かないから背中まで伸びた髪はボサボサだ。
元々癖毛だったが、手入れされている頃はパーマ風でカッコよかった。
今はお化けみたいだ。
デブじゃないが図体もデカくてボサボサで、それだけでも怖いのに、引きこもっていた7年間、1度も接触してこなかった兄が、夢哉の部屋に居る事が更に怖かった。
しかも、驚く夢哉に何か言うでもなく唯見下ろしてくる。
「…え、な、なに?」
「……。」
何も答えない兄に、夢哉は不安を覚えた。
(気が、狂った…?殺されたり、しないよね…?)
夢哉は兄の心境がわからず、刺激しないようにと唯黙って兄を見つめた。
兄も何も話さない。
「な、本当になに?てか、勝手に入ってこないでっ。用ないなら…出てけよっ!」
長い沈黙に耐えられず、夢哉は震えを隠しながら口を開いた。
夢哉の主張をボンヤリと聞いていた兄だったが、「用がないなら出ていけ」といわれた瞬間、ニヤリと不気味に笑った。
「は…?な、何で笑っ」
「ゆめ。」
夢哉の声を遮るように名前を呼ばれ、夢哉はビクリと言葉を飲み込んだ。
7年ぶりに聞く兄の声に驚いたからだ。
記憶の中の兄の声よりも大分低い。
最後に聞いた時は高校生だったけど、大人になったからと言って、こんなに低くなるんだろうか。
まるで本当に知らない人みたいで、目の前の人間が本当に兄なのか分からなくなった。
「ゆめ。」
再び兄に呼ばれる。
名前を呼ぶだけで一向に用件を言わない兄にイライラしてきた。
「だから、何ってばっ?」
怒りを顕にしながら床から立ち上がり、キッと兄を睨みつける。
しかし、夢哉が怒れば怒るほど兄は嬉しそうに口元を綻ばせる。
「ゆめ。お兄ちゃんと、セックスしよう。」
「え…は?セ…?」
セックスって言った?
と思うのが早いか、兄にベッドへと押し倒され、気づくと夢哉は天井を見ていた。
すかさず兄が覆いかぶさってくる。
「な?!や、どけっ…ぐぇっ?!!」
夢哉は兄を退けようと暴れたが、兄に躊躇無く首を絞められ、潰されたカエルのような声をあげた。
突然の事に驚き、一瞬抵抗を止めた隙に、兄は夢哉の身体に乗ってくる。
体格のいい兄に抑え込まれ、クラスでも小さい方で筋肉も皆無な夢哉の身体では、抵抗らしい抵抗もできず、ただ苦しさにもがいた。
首を絞める兄の手を掴んだり叩いたりするがビクともしない。
その手もどんどん痺れてきた。
「っ!?っ!!!」
恐怖を与えて大人しくさせる為なら、もう十分だと思うが、兄は無表情で夢哉の首を絞め続けた。
(こ、ろされ、る…っ)
夢哉の視界が赤くボヤボヤとし始めた頃、ようやく兄は手を離した。
「っっっはあ!!!ぁ゛はぁ、はぁ゛っ」
反射的に思い切り息を吸い込む。
生理的な涙か、それとも恐怖から来る涙なのか分からないが、後から後から涙が頬を伝い落ちていく。
脳に酸素が回ってくると、兄に対して物凄い恐怖が襲ってきた。
身体が勝手にガタガタと震え出す。
「た、助け、て…助け、て、お母さん!!!」
大声で母親に助けを求めた。
次の瞬間、顔面に拳が飛んできた。
「あ゛っ!?」
「大きい声出すなよ。近所迷惑だろ、ごめんなさいは?」
兄は、弟の顔を殴った人とは思えない程穏やかな声音で言うと、更にもう1発、夢哉の顔面に拳を落とした。
「い゛っ!!ひぃぃ、ご、ごめんさぃ!ごめな、さい!ごめんなさひ」
本当に容赦のない力だった。
こいつは頭がおかしい。
本当に殺される。
夢哉は必死に謝罪し、抵抗する気など微塵も無くなっていた。
兄に服を脱ぐように言われ、大人しく従おうとしたが、恐怖と酸欠から手が震えてもたついてしまい、また殴られた。
怖くて、動けなくなってしまって蹲っていると、思い切り蹴飛ばされ、破るように服を脱がされた。
身体のあちこちが痛かった。
髪を掴まれ兄の方を向かされる。
涙で滲む兄の姿を震えながら見つめた。
視線を逸らしたら殴られると思ったから。
「今から、ゆめとお兄ちゃんは何するんだった?」
兄は無表情なのに、すごく穏やかな声で訊ねてきた。
「……セッ…ク、ス?」
夢哉が泣きながら答えると、兄は「あたり。ゆめは良い子だね」と微かに笑みを浮かべた。
夢哉は兄の指示により、四つん這いの姿勢になる。
セックスがどういう事をするのかは何となく知っていたが、男同士では何をどうするのか検討もつかない。
それどころか恐怖で思考停止状態の夢哉は、ただ早く兄が満足して自室に帰ってほしい、とそれだけを願っていた。
ただ震えながら兄の行動を待っていると、ふと尻にヌルりと温かいものが這った。
「匕っ…?!」
驚いて背後を振り向くが、角度的によく分からない。
でも多分、夢哉の尻を這っているのは兄の舌だろう。
ずりゅり
「ぃっ…!??」
尻の穴に舌を差し込まれ、夢哉は総毛立った。
「ひ、気持ち悪いっ…や、やめて…っ」
夢哉は身体を震わせながら懇願したが、兄は寧ろ、更に激しくベロベロ舐め回したり、舌を出し入れしてくる。
夢哉が少しでも逃れようと腰を捩ると、兄は夢哉の尻にキツく爪を立てて掴んだ。
「ゃだ…やめて、やめてょ…うぅ…」
夢哉は痛みから完全に抵抗を諦め、数分されるがままになっていると、尻から兄の顔が離され、代わりに指をズブリと挿入された。
「ぎゃっ?!」
微かな痛みと、物凄い不快感に襲われ悲鳴をあげる。
そのまま数度、無遠慮にズプズプと抜き差しをすると指はすぐ抜かれたが、
今度はヌルりと温かくて硬いものが当てられる。
多分、絶対チンチンだ。
「っ!えっ、えっ。ま、まって…まっ、ヒっ…!」
メ゛リっ
無理やり挿入され激痛が走る。
「ぁ゛、ァァアア゛ア゛!!!!」
絶叫する夢哉にお構いなく、兄は力ずくでペニスを押し込もうと腰をうちつける。
ズ、ズ、
ズンっ
「い゛!?…っだぃ!!!いだいいぃいい゛!!!!」
「あ゛~…すご、殆ど入った…。ゆめのキツマンきもちぃよ…」
痛いと叫ぶ声なんて聞こえないみたいに、兄はガンガンと腰を打ち付けるから、夢哉は激しく揺さぶられ、痛いと叫ぶ口から涎が垂れて散った。
パンパンと肉どうしがぶつかる音と、兄の興奮した息遣いと、夢哉の泣き声が部屋に響いている。
何でこんなに叫んでるのに、お母さんは助けに来てくれないんだろう。
家に居ないのだろうか。こんな時間に?
深く眠って聞こえないのだろうか。こんなに叫んでるのに?
「ぁ、い゛っ、ヒ、ぅう…ア゛!…はァ…ぁ゛」
どれ程経ったか、痛みが熱さに変わってきた頃、突然兄が動きを止めペニスを引き抜いた。
「イ゛っ…ぇ…?」
(終わった…?)
漸く解放されるのかと、夢哉の身体から力が抜けた時、兄は夢哉の身体を仰向けにひっくり返し、脚を曲げて持ち上げた。
丸見えになった夢哉の穴に、再び性器をピトリとつける。
「えっ…?!も、もっいや!嫌だよ!!?」
当たり前に聞き入れてもらえる訳もなく、兄は容赦なくペニスを突き刺した。
「ぃ゛いっっっ、いたぃってばぁ…!」
挿入されている間はマシに感じていたはずなのに、再度入れ直されるとズキズキとした痛みがぶり返した。
「ふぅん、痛いの?…じゃあ感じなくさせてあげるよ」
兄は腰を振りながら無表情で言うと、夢哉の喉に手を伸ばし、なんの躊躇もなく締め上げた。
「ぅ゛う゛っ!!!」
再び訪れる死を感じるほどの苦しみに、確かに痛みなど感じている場合ではなかった。
夢哉の首に掛かる手をガリガリと引っ掻くがビクともしない。
夢哉の抵抗が弱まり白目を向きかけた頃、漸く手が離された。
「っはぁ…!!!!げぇ゛っほ!はっ、ハァハァ…」
思い切り息を吸ったため噎せて嘔吐く。
痙攣するみたいに身体の震えが止まらない。
「ぁあ~、そろそろイく…。」
兄は、苦しむ夢哉を気にすることなくピストンを早めた。
ベッドがガダガダと激しく揺れる。
そのまま中に出すのかと思われたが、兄は「イく」と言った瞬間、ペニスをアナルから引き抜いた。
そして未だ荒い呼吸で酸素を求める夢哉の口にペニスを突っ込み射精した。
「んがっ?!ごっ?!!ぶっ、ぼぉ゛え゛え゛っっっ」
全く予想していなかった行動に対処出来ず、夢哉はモロに精液を吸い込んだ。
噎せる所の騒ぎでは無い。
初めて嗅ぐ精液の匂い。酷く臭い。
逃れたくても喉にドロドロとこびりついている。
オエオエと何度も嘔吐いた後、結局嘔吐した。
息が乱れてる時に喉奥に射精されたのが気管に入ったので、咳をする度に精液を感じて何度も吐いた。
仰向けから体勢を変えたくても、お尻がズキズキと痛み、怖くて動けなかった。
汚れた裸のまま、ただ震えて泣いていた。
兄はそんな夢哉の様を携帯カメラで撮影すると、何も言わずに自室に帰っていった。
次の日、夢哉は初めて学校を欠席した。
ー開通 終ー
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