89 / 94
第一章 幼少期
第八十九話 反動
しおりを挟む
フラムの襲撃があった次の日、僕はベッドの上で唸っていた。
「うっ、ぜ、全身が痛い……」
『そりゃな。昨日は全力で身体強化魔法かけたまま暴れまくったんだ。そうなるのは目に見えてただろ』
僕が唸っている原因は、なんてことはない。ただの筋肉痛だ。だが、筋肉痛とは言ってもレベルが違う。指一本動かせない程、重症なのだ。
朝ごはんも自分で食べれなかったため、母さんに食べさせてもらうハメになった。そろそろ昼ごはんの時間になるが、再び母さんに食べさせてもらうしかないと思うと少し気が重い。
「身体強化魔法って、体に負荷がかかるの?」
『あぁん? 普通は出せねぇ力を魔力で無理やり出してるんだ。反動がねぇわけがねぇだろ。ま、体を鍛えりゃその反動も小さくなるらしいがな』
筋肉を使う、回復する、の繰り返しを重ねて体を鍛えたけどまだまだ足りないってことか。本調子に戻ったらもっと厳しく鍛えていこう。
「でも、身体強化魔法使って重りを付けながら生活してた時は、こんなことにならなかったよ?」
『あの時はオレが回復魔法を使ってやってただろ?』
「じゃあ今回も――って、魔法はまだ使えないんだっけか。じゃあ母さんに頼めば……!」
『あの母親は光魔法は使えなかっただろ? 回復魔法は光属性の魔法だからな。無理だ』
じゃあしばらくはこの痛みと付き合っていかなきゃいけないわけか……。
痛みに慣れる訓練は受けたけど、前世で耐性をつけた痛みとはまた別の種類の痛みなのだ。
どれだけ激しい訓練をしてもここまで酷い筋肉痛になったことは無かったし、ある程度体ができてからは筋肉痛なんかとは無縁だった。
だから、今の状況はかなりしんどい。
「はぁ、しばらくは大人しくするしかないか」
体をゆっくりと横たえ、なるべく痛みを感じないようにする。
「ソーマ……入るよ……?」
「えっ!?」
扉の方から突然、セリアの声が聞こえてきた。驚いた僕はがばっと身を起こした。瞬間、全身に走った激痛に声にならない叫び声を発する。
「――――っ!」
『馬鹿が』
痛みに悶えていると、がちゃりと扉が開く音がした。扉の方を見ると、セリアがこちらを窺っていた。
「や、やぁ、セリア」
昨日のことを思い出し、少し気まずく思いながらもセリアに声をかける。
『なに緊張してんだ?』
(な、なんでもないよ!)
実は、ソルは昨日の宴での出来事を知らない。スコルの魔法のダメージが余程大きかったのか、戦闘が終わったからずっと寝ていたようなのだ。
寝る、というのは体の無いソルに使うには、正確ではない言葉かもしれないが、眠っているのと同じ状態だった。
つまり、あの感触は僕だけのもの……って、何考えているんだ僕は!
僕が一人で慌てていると、セリアは部屋の中に入ってきた。
「何か用でもあるの?」
「ん……お見舞い……」
「僕の? 別に大したこと無いよ。ただの筋肉痛だから」
動けない程の、と付くけどね。流石に筋肉痛でまともに食事も出来ませんとは言えない。
「嘘……動けない、言ってた……」
母さんが教えちゃったのかぁ……。あぁ、情けないな……
「ソーマ、看病……する……」
「か、看病って……その手に持っているのは何かな?」
僕はセリアが持っている、美味しそうな食事を目で示しながらそう言った。
「お昼ご飯、だよ……?」
セリアが首を可愛く傾げながら、何故そんなことを聞くのかと不思議そうに言う。
「うっ、ぜ、全身が痛い……」
『そりゃな。昨日は全力で身体強化魔法かけたまま暴れまくったんだ。そうなるのは目に見えてただろ』
僕が唸っている原因は、なんてことはない。ただの筋肉痛だ。だが、筋肉痛とは言ってもレベルが違う。指一本動かせない程、重症なのだ。
朝ごはんも自分で食べれなかったため、母さんに食べさせてもらうハメになった。そろそろ昼ごはんの時間になるが、再び母さんに食べさせてもらうしかないと思うと少し気が重い。
「身体強化魔法って、体に負荷がかかるの?」
『あぁん? 普通は出せねぇ力を魔力で無理やり出してるんだ。反動がねぇわけがねぇだろ。ま、体を鍛えりゃその反動も小さくなるらしいがな』
筋肉を使う、回復する、の繰り返しを重ねて体を鍛えたけどまだまだ足りないってことか。本調子に戻ったらもっと厳しく鍛えていこう。
「でも、身体強化魔法使って重りを付けながら生活してた時は、こんなことにならなかったよ?」
『あの時はオレが回復魔法を使ってやってただろ?』
「じゃあ今回も――って、魔法はまだ使えないんだっけか。じゃあ母さんに頼めば……!」
『あの母親は光魔法は使えなかっただろ? 回復魔法は光属性の魔法だからな。無理だ』
じゃあしばらくはこの痛みと付き合っていかなきゃいけないわけか……。
痛みに慣れる訓練は受けたけど、前世で耐性をつけた痛みとはまた別の種類の痛みなのだ。
どれだけ激しい訓練をしてもここまで酷い筋肉痛になったことは無かったし、ある程度体ができてからは筋肉痛なんかとは無縁だった。
だから、今の状況はかなりしんどい。
「はぁ、しばらくは大人しくするしかないか」
体をゆっくりと横たえ、なるべく痛みを感じないようにする。
「ソーマ……入るよ……?」
「えっ!?」
扉の方から突然、セリアの声が聞こえてきた。驚いた僕はがばっと身を起こした。瞬間、全身に走った激痛に声にならない叫び声を発する。
「――――っ!」
『馬鹿が』
痛みに悶えていると、がちゃりと扉が開く音がした。扉の方を見ると、セリアがこちらを窺っていた。
「や、やぁ、セリア」
昨日のことを思い出し、少し気まずく思いながらもセリアに声をかける。
『なに緊張してんだ?』
(な、なんでもないよ!)
実は、ソルは昨日の宴での出来事を知らない。スコルの魔法のダメージが余程大きかったのか、戦闘が終わったからずっと寝ていたようなのだ。
寝る、というのは体の無いソルに使うには、正確ではない言葉かもしれないが、眠っているのと同じ状態だった。
つまり、あの感触は僕だけのもの……って、何考えているんだ僕は!
僕が一人で慌てていると、セリアは部屋の中に入ってきた。
「何か用でもあるの?」
「ん……お見舞い……」
「僕の? 別に大したこと無いよ。ただの筋肉痛だから」
動けない程の、と付くけどね。流石に筋肉痛でまともに食事も出来ませんとは言えない。
「嘘……動けない、言ってた……」
母さんが教えちゃったのかぁ……。あぁ、情けないな……
「ソーマ、看病……する……」
「か、看病って……その手に持っているのは何かな?」
僕はセリアが持っている、美味しそうな食事を目で示しながらそう言った。
「お昼ご飯、だよ……?」
セリアが首を可愛く傾げながら、何故そんなことを聞くのかと不思議そうに言う。
0
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
クラス転移で神様に?
空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。
異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。
そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。
異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。
龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。
現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~
三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】
人間を洗脳し、意のままに操るスキル。
非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。
「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」
禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。
商人を操って富を得たり、
領主を操って権力を手にしたり、
貴族の女を操って、次々子を産ませたり。
リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』
王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。
邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる