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第一章 幼少期
第八十六話 終結
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セリアの問題はこれで解決、かな? あとは家族水入らずってことで、おじゃま虫は退散しようか。
セリア達三人をその場に残して、僕はささっと避難所から出た。外では、フューが大量の魔物の死骸を背に、胸を張って誇らしげにしていた。
「フュー、お疲れ様。ありがとね」
僕がフューを抱き抱えてそう言うと、フューは体を胸に擦り付けてくる。
「甘えるのも良いけど、まずは他の魔物を倒さないと」
村を襲う魔物はまだ残っているはず……あれ?
村の外の方に目を向けるが、そこに魔物の姿はない。どういうとことだ? 流石に全て倒したってのはありえないだろうから、逃げ出した?
「ソルはどう思う?」
『逃げ出したんだと思うぜ。あの魔物全てに支配の魔法がかかっていたわけじゃなかったからな。あの魔物達の殆どはスコルに従っていただけだ』
そのスコルがいなくなったから、スコルの支配下の魔物達は逃げていった、そういう事なのかな。
僕は詳しい事情を聞くべく、母さんのところに向かった。母さんは、体調も回復したらしく、顔に血の気が戻っていた。
「母さん、魔物達は?」
「あら、ソーマちゃん、無事だったのね~。魔物達は逃げちゃったわよ~。今はお父さんがそれを追いかけに行っているところなの~」
「そっか、逃げ出した魔物も倒さないと後が大変だもんね。僕も手伝ってくるよ」
あの数の魔物が逃げたなら、生態系が崩れたり、群れを作ってどこかの村を襲ったりするかもしれない。
「魔物達は森の方に向かったわ~。気をつけて行ってらっしゃい~」
僕は森に向かって走り出した。
森の中に入り、気配を探ってみると、たくさんの魔物が逃げているのがわかった。それを追いかける強い気配も感じた。それは恐らく父さんだろう。
その父さんの気配の他にも複数、魔物を追いかけている者がいた。こっちは、空を飛んでいることからフューの分裂体だと推測される。
父さんと分裂体達が取り逃がした魔物を追いかけ、始末していく。逃げることに必死で、背中を無防備に見せている魔物を倒すのは簡単だった。
ものの一時間ほどで、逃げ出した魔物の殆どを掃除することに成功した。
村に帰る途中、父さんと合流した。
「おぉ、ソーマ。無事だったか。よくやったな」
父さんは僕の頭をわしわしと乱暴に撫でる。父さんは返り血で真っ赤なので、当然髪の毛にも血がつく。
「ちょ、ちょっと、父さん! 血!」
「そんな、血が着くなんて今更……って、ソーマは綺麗だな」
父さんは、血の染み一つ無い僕の体を見て、驚いている。
「前世でそういう風に訓練させられたからね。返り血を浴びないように戦うなんて簡単だよ」
暗殺の時に返り血を浴びてしまったら、目立ってしまい、逃げるのが難しくなる。だから、返り血を浴びないというのはアサシンにとって必須の技能だった。
セリア達三人をその場に残して、僕はささっと避難所から出た。外では、フューが大量の魔物の死骸を背に、胸を張って誇らしげにしていた。
「フュー、お疲れ様。ありがとね」
僕がフューを抱き抱えてそう言うと、フューは体を胸に擦り付けてくる。
「甘えるのも良いけど、まずは他の魔物を倒さないと」
村を襲う魔物はまだ残っているはず……あれ?
村の外の方に目を向けるが、そこに魔物の姿はない。どういうとことだ? 流石に全て倒したってのはありえないだろうから、逃げ出した?
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『逃げ出したんだと思うぜ。あの魔物全てに支配の魔法がかかっていたわけじゃなかったからな。あの魔物達の殆どはスコルに従っていただけだ』
そのスコルがいなくなったから、スコルの支配下の魔物達は逃げていった、そういう事なのかな。
僕は詳しい事情を聞くべく、母さんのところに向かった。母さんは、体調も回復したらしく、顔に血の気が戻っていた。
「母さん、魔物達は?」
「あら、ソーマちゃん、無事だったのね~。魔物達は逃げちゃったわよ~。今はお父さんがそれを追いかけに行っているところなの~」
「そっか、逃げ出した魔物も倒さないと後が大変だもんね。僕も手伝ってくるよ」
あの数の魔物が逃げたなら、生態系が崩れたり、群れを作ってどこかの村を襲ったりするかもしれない。
「魔物達は森の方に向かったわ~。気をつけて行ってらっしゃい~」
僕は森に向かって走り出した。
森の中に入り、気配を探ってみると、たくさんの魔物が逃げているのがわかった。それを追いかける強い気配も感じた。それは恐らく父さんだろう。
その父さんの気配の他にも複数、魔物を追いかけている者がいた。こっちは、空を飛んでいることからフューの分裂体だと推測される。
父さんと分裂体達が取り逃がした魔物を追いかけ、始末していく。逃げることに必死で、背中を無防備に見せている魔物を倒すのは簡単だった。
ものの一時間ほどで、逃げ出した魔物の殆どを掃除することに成功した。
村に帰る途中、父さんと合流した。
「おぉ、ソーマ。無事だったか。よくやったな」
父さんは僕の頭をわしわしと乱暴に撫でる。父さんは返り血で真っ赤なので、当然髪の毛にも血がつく。
「ちょ、ちょっと、父さん! 血!」
「そんな、血が着くなんて今更……って、ソーマは綺麗だな」
父さんは、血の染み一つ無い僕の体を見て、驚いている。
「前世でそういう風に訓練させられたからね。返り血を浴びないように戦うなんて簡単だよ」
暗殺の時に返り血を浴びてしまったら、目立ってしまい、逃げるのが難しくなる。だから、返り血を浴びないというのはアサシンにとって必須の技能だった。
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