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第一章 幼少期
第七十四話 奇襲
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スコルは怯んだ様子など全く見せず、むしろより戦意を滾らせている。だがやはり腹の傷は無視できるものではないらしく、唸り声はどこか苦しげだ。
『で、どうするよ。作戦は失敗したみてぇだが?』
「もちろん、ここで倒すよ。ダメージは与えられたんだ。勝てる見込みはないわけじゃない」
スコルは息を整えるためか、僕から距離をとって動こうとしない。その間に風の壁を解除してもらい、息を吸い込む。
そして、刀を構えたままスコルをしっかりと見据え――地面を蹴った。
狙うはスコルの目だ。目を潰せればここからの戦闘が一気に有利になる。目を突き刺そうと、刀を突き出す。
だがスコルも簡単に攻撃を受けるつもりはないらしく、口を大きく開けて食らいつこうとしてくる。
このままでは腕を食いちぎられてしまうだろう。だが僕は腕を引っ込めること無く更に伸ばす。僕の腕ごと、スコルの口の中に刀が吸い込まれる直前、スコルが黒い光を口から放った。
予想していなかった一撃に、体をねじって必死にかわそうとするが、肩の一部がかすってしまった。
くっ、あの光はなんなんだ!?
すぐさま光が当たった肩を見てみるが、何一つ異常は見当たらない。痛みもなければ、動きに支障があるわけでもない
なら、さっきの攻撃は――!?
『ぐっ、気を、つけろ。今のは、闇の魔法の、精神攻撃だ』
ソルの苦しそうな声が聞こえてくる。闇魔法の精神攻撃? たしか相手に苦痛を与える魔法だったはず。でも僕にはなにも無かった……ってことは!
「ソルが肩代わりしてくれたの!?」
『ちっ、勘違いすんなよ。ソーマが死んだらオレも死ぬから、仕方なくだ』
理屈はわからないが、スコルの闇魔法をソルが受けてくれたようだ。ありがたい、もし僕が受けていたら大きな隙を作ってしまったかもしれない。
スコルは闇魔法が当たったのに苦しむ様子を見せない僕を見て、一瞬不思議そうにしたが、もう一度喰らわせればいいと思ったのか、再び闇魔法を発動した。
黒い塊が空中に次々と出現した。その数、五十以上。太陽を遮り、暗い影を落としている。
一つ一つの大きさはバスケットボール程だが、この数を全てかわすのは難しいだろう。
どうすれば――
僕が対策を考えていると、スコルの体が空に打ち上げられた。同時に、闇魔法が霧散する。
スコルの体を打ち上がったのは、地面の土が急に盛り上がったからだ。怪我している腹に突き刺さるように、尖った土の槍が地面から伸び、スコルを吹き飛ばしたのだ。
そんなことが出来るのは、この場に一人しかいない。
フューだ!
僕の心の叫び声に応えるかのように、フューが空から降ってくる。いつの間に捕食したのか、オーガの姿で、だ。
フューは上空からスコルに打撃を加えようとしていた。スコルはそれにまだ気づいていない。落下の勢いと、オーガの馬鹿力が合わさった強力無比な一撃がスコルを襲う。
「スコル! 上よ!」
その声でフューの存在に気づいたスコルは、体をよじり、フューに向かって口を開ける。そして、スコルの牙がフューを捕らえた瞬間、フューの体が溶けた。
フューが変身を解いたのだ。小さなスライムの姿に変わったことで、辛うじて牙を避ける。
そして、フューもスコルも地面に着地し、互いに睨み合う。
『で、どうするよ。作戦は失敗したみてぇだが?』
「もちろん、ここで倒すよ。ダメージは与えられたんだ。勝てる見込みはないわけじゃない」
スコルは息を整えるためか、僕から距離をとって動こうとしない。その間に風の壁を解除してもらい、息を吸い込む。
そして、刀を構えたままスコルをしっかりと見据え――地面を蹴った。
狙うはスコルの目だ。目を潰せればここからの戦闘が一気に有利になる。目を突き刺そうと、刀を突き出す。
だがスコルも簡単に攻撃を受けるつもりはないらしく、口を大きく開けて食らいつこうとしてくる。
このままでは腕を食いちぎられてしまうだろう。だが僕は腕を引っ込めること無く更に伸ばす。僕の腕ごと、スコルの口の中に刀が吸い込まれる直前、スコルが黒い光を口から放った。
予想していなかった一撃に、体をねじって必死にかわそうとするが、肩の一部がかすってしまった。
くっ、あの光はなんなんだ!?
すぐさま光が当たった肩を見てみるが、何一つ異常は見当たらない。痛みもなければ、動きに支障があるわけでもない
なら、さっきの攻撃は――!?
『ぐっ、気を、つけろ。今のは、闇の魔法の、精神攻撃だ』
ソルの苦しそうな声が聞こえてくる。闇魔法の精神攻撃? たしか相手に苦痛を与える魔法だったはず。でも僕にはなにも無かった……ってことは!
「ソルが肩代わりしてくれたの!?」
『ちっ、勘違いすんなよ。ソーマが死んだらオレも死ぬから、仕方なくだ』
理屈はわからないが、スコルの闇魔法をソルが受けてくれたようだ。ありがたい、もし僕が受けていたら大きな隙を作ってしまったかもしれない。
スコルは闇魔法が当たったのに苦しむ様子を見せない僕を見て、一瞬不思議そうにしたが、もう一度喰らわせればいいと思ったのか、再び闇魔法を発動した。
黒い塊が空中に次々と出現した。その数、五十以上。太陽を遮り、暗い影を落としている。
一つ一つの大きさはバスケットボール程だが、この数を全てかわすのは難しいだろう。
どうすれば――
僕が対策を考えていると、スコルの体が空に打ち上げられた。同時に、闇魔法が霧散する。
スコルの体を打ち上がったのは、地面の土が急に盛り上がったからだ。怪我している腹に突き刺さるように、尖った土の槍が地面から伸び、スコルを吹き飛ばしたのだ。
そんなことが出来るのは、この場に一人しかいない。
フューだ!
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フューは上空からスコルに打撃を加えようとしていた。スコルはそれにまだ気づいていない。落下の勢いと、オーガの馬鹿力が合わさった強力無比な一撃がスコルを襲う。
「スコル! 上よ!」
その声でフューの存在に気づいたスコルは、体をよじり、フューに向かって口を開ける。そして、スコルの牙がフューを捕らえた瞬間、フューの体が溶けた。
フューが変身を解いたのだ。小さなスライムの姿に変わったことで、辛うじて牙を避ける。
そして、フューもスコルも地面に着地し、互いに睨み合う。
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