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第二話 おねだり
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俺は路地裏から抜け出し、大通りにやってきた。おじさんにゃあ眩しいセーラー服を来た学生さんたち三人組が、きゃっきゃしながら歩いてらっしゃる。どうやら学校の帰りらしい。まぁ、かなり日は傾いてるし、下校時間だったとしても不思議はねぇか。
え? お前はさっき起きたばかりだったよな、だって? おうとも、その通りさ。夕方まで寝こけてたのさ。いいんだよ、俺は猫なんだし。
ともあれこれは好都合。女子高生なんてのは、可愛いものに目がねぇからな。にゃんにゃんにゃーんと媚びてやればイチコロさ。
「にゃおーーん」
「あ、クロにゃんだ! 可愛いー!」
「ホントだ! クロにゃんだ! この子、野良だとは思えないほど綺麗だよねー」
そうだろう、そうだろう。俺は嬉しいことを言ってくれたお嬢さんに自慢の黒い毛並みを擦り付ける。
「きゃっ、くすぐったーい」
「この人懐っこさも野良っぽくないよね。なになにー、どうしたのー? お腹でも空いてるのかなぁ」
そうだとも。そろそろ腹の虫が限界なのさ。今にも羽化して羽ばたきそうなんだ。
「何かあったかな……あ、私スルメ持ってるよ! ほら、クロにゃん、スルメだぞー」
おっ、なかなか渋い嬢ちゃんだ。だが猫にスルメは御法度だって知らねぇのかい? そりゃ、スルメはうめぇが、猫が食ったら腰が抜けちまうのさ。危ねぇ危ねぇ。俺がこれを知らなかったら、善意に殺されちまうところだった。
俺は首を振ってイヤイヤする。我侭なガキみてぇだが、可愛い猫を演じるのにゃあもう慣れたのさ。今更恥ずかしくもなんともねぇ。
「あれ、スルメ要らない? 美味しいよ?」
「あ、そうだ。猫にスルメはダメだって聞いたことあるよ!」
「ほんと? そうなんだ。ごめんね、クロにゃん。じゃあ私、クロにゃんにあげれる物ないや。二人は何か持ってる?」
「あ、私クロにゃんにあげようと思って、猫缶持ってきてるよ!」
お、本当かい? そいつぁありがてぇ。猫缶、うめぇんだよなぁ。わざわざ野良の俺に猫缶をくれる物好きなヤツはそうそういねぇから、俺にとっちゃあ猫缶はご馳走だ。
え? お前はさっき起きたばかりだったよな、だって? おうとも、その通りさ。夕方まで寝こけてたのさ。いいんだよ、俺は猫なんだし。
ともあれこれは好都合。女子高生なんてのは、可愛いものに目がねぇからな。にゃんにゃんにゃーんと媚びてやればイチコロさ。
「にゃおーーん」
「あ、クロにゃんだ! 可愛いー!」
「ホントだ! クロにゃんだ! この子、野良だとは思えないほど綺麗だよねー」
そうだろう、そうだろう。俺は嬉しいことを言ってくれたお嬢さんに自慢の黒い毛並みを擦り付ける。
「きゃっ、くすぐったーい」
「この人懐っこさも野良っぽくないよね。なになにー、どうしたのー? お腹でも空いてるのかなぁ」
そうだとも。そろそろ腹の虫が限界なのさ。今にも羽化して羽ばたきそうなんだ。
「何かあったかな……あ、私スルメ持ってるよ! ほら、クロにゃん、スルメだぞー」
おっ、なかなか渋い嬢ちゃんだ。だが猫にスルメは御法度だって知らねぇのかい? そりゃ、スルメはうめぇが、猫が食ったら腰が抜けちまうのさ。危ねぇ危ねぇ。俺がこれを知らなかったら、善意に殺されちまうところだった。
俺は首を振ってイヤイヤする。我侭なガキみてぇだが、可愛い猫を演じるのにゃあもう慣れたのさ。今更恥ずかしくもなんともねぇ。
「あれ、スルメ要らない? 美味しいよ?」
「あ、そうだ。猫にスルメはダメだって聞いたことあるよ!」
「ほんと? そうなんだ。ごめんね、クロにゃん。じゃあ私、クロにゃんにあげれる物ないや。二人は何か持ってる?」
「あ、私クロにゃんにあげようと思って、猫缶持ってきてるよ!」
お、本当かい? そいつぁありがてぇ。猫缶、うめぇんだよなぁ。わざわざ野良の俺に猫缶をくれる物好きなヤツはそうそういねぇから、俺にとっちゃあ猫缶はご馳走だ。
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