失ってから始まる異世界生活

ヒロ

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始まりの町 イステリア

10話 初めてのゴブリン退治 その5

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「ゴブリンが前方1キロ先に集まってきてます。
馬車が3台と周りに戦っている人がいます。」
ナビからの情報をリーダーに伝えると助けに行こうと言う話になった、多分村から逃げてきて襲われたんだな。
馬車の周りには50匹以上のゴブリンが集まってきていた。

「くっそぉーなんだよこいつら倒しても倒しても湧いてきやがって」
バドソンが戦いながらキレている。
後ろからミドの弓矢の援護があるものの村人を守りながらではなかなか倒すこともままならない。
まだ2キロくらいしか移動できておらず、1台目の馬が殺されたため、移動できずに2台目、3台目も止まってしまったのだ。
2台目には戦える村人は2名だけで、他は女、子供が多かった。
ゴブリンは雄叫びをあげてどんどん集まってくる。
「もうここまでか、ちきしょーゴブリンごときにこの俺がやられるのか?」
バドソンとミドはよく戦っていたが、戦える村人もだんだんやられていって、さすがに2人だけでは守りきれなくなっていた。
ゴブリンは勝利を確信し、戦利品である女性を攫おうとしたその時、後ろから弓矢が飛んできて牽制された。
「なんとか間に合った!」
俺がほっとして一言いうと
「間に合ってねぇよ!遅ぇぞ初心者!
まぁお前でもいねぇよりはいいや。
それにギルドから仲間がきてくれたみたいだな!」
知った顔を見てバドソンも少し安心したみたいだな!
「ウォークライ!おおおおおおおおぉぉぉー」
Bランク冒険者の雄叫びによってゴブリンがそちらに惹きつけられる。
その隙に倒せるゴブリンは倒していく。
「初心者やるじゃねぇか!」
もう初心者じゃないよ!
他の冒険者も一斉に周りのゴブリンを倒していく。
どうやらここに集まってるゴブリンで最後らしく、おれが道中倒しながらきたせいかゴブリンの援軍も止まり、完全にこちら側の優勢になった。
残り10匹になったあたりで、後方から一際大きく異様なゴブリンが現れた。
「ゴブリンソルジャーです。
統制を取っていたのはあのゴブリンですね。
逃すとやっかいです。
ここで必ず倒してください。」
直接確認できたことで、マップナビにもゴブリンソルジャーと表示された。
ゴブリンソルジャーが自分の取り巻きのゴブリン5匹を指揮しながら襲ってきた。
こいつらは普通のゴブリンよりも強く、さらに連携が取れた動きをしてくるため、かなりやっかいである。
バドソンが攻撃を受け止め、バズとラックが前衛で攻撃し、さらにハーマンが後衛から魔法攻撃を仕掛けて、やっと五分五分といった感じ、ソルジャーはバズよりもだいぶ強く、4人でなんとかやりあえてる感じだな、誰かやられたらマズいかもしれない。
他の人達も残っている統率のとれたゴブリンの対応で精一杯といった感じ。
それに今はゴブリンの援軍はこないけど、また現れないとも限らない。

ナビから必ずここで倒せと言われたし、痛いけどやるか。
身体強化2倍完全解放!
実は今までは瞬歩に合わせて一瞬だけ解放していた。
ずっと2倍にしていると使っている間はいいけど、解除したあとに凄まじい筋肉痛に襲われるのだ。
しかし、今回は必ず倒さないといけないため完全解放したのだ。
さっき倒したゴブリンのおかげでレベルは14になり、身体強化2倍のおかげで今の俺はレベル25相当になっている。
単純に2倍のレベル28というわけではなく、ナビの緻密な計算により概ねレベル25相当になっているらしい。
ということで、今の俺はBランク冒険者のバズと同じくらいに強いということだ。
しかもソルジャーはバズとラックの対応に集中している。
そこで2倍のスピードで背後に近づき、瞬歩を発動、一瞬で間合いに入り首を跳ねる。
一瞬のことにソルジャーも反応できず倒すことができた。
急に現れた俺にみんな驚いていた。
そのままの勢いで残っている5匹のゴブリンも倒すことができた。
ソルジャーがいなくなり、慌てたゴブリンを倒すことは造作もなかった。
とりあえずこれでこの周辺のゴブリンの掃討は終わり、2台の馬車に助かった人達を乗せて逃すことにした。
バドソンとミドはそのまま護衛としてついていくことになった。
「おまえなかなかやるじゃねぇか、初心者なんていって悪かったな。
レオン悪いけど、アリシアのことも頼んでいいか?あいつがまだ村に残ってんだ。
こいつらを安全なとこまで連れて行ったら、俺もまたすぐ来るからよ。」
最初は嫌なやつだなと思ったけど、仲間思いなところもあるんだなと少しバドソンを見直した。
「任せてくれ、必ずアリシアも連れて町まで戻るよ。」
残った冒険者とともに急いで村までいくことになった。
ソルジャーを倒したことでレベルは15になった。
移動の間に溜まってるポイントでいいスキルを選択しとこう。


なんとかゴブリンの侵入をバリケードで防ぎながら守っていたアリシア達だったが、ついに恐れていたホブゴブリン2体がやってきた。
ホブゴブリンとは言っても、この2体は別格にデカい。
バリケードなど意に返さず、破壊しながら侵入してきた。
他のゴブリンも次々と侵入してくる。
しかもその後ろには1匹だけ異様な雰囲気を纏ったゴブリンが、ゆっくりと歩いてくる。
あいつがゴブリンロードか?
今まで感じたことのないような存在感を感じる。
単にゴブリンロードと言ってもピンからキリまであり、生まれたばかりのロードであれば経験も少なく、統率しているゴブリンも多くないためA級冒険者がいれば倒すことができるが、規模の大きいロードになればなるほど討伐の難易度が上がるのだ。
最初はまだ生まれたてのロードと思ったため、A級冒険者でも倒せると判断したのだが、目に映るあいつの威圧感は、S級またはSS級冒険者が必要なレベルではないだろうか?
ギルドから援軍が来ても果たして倒すことなどできるのだろうか?
凄まじい絶望感の中ではあったが、自分がやらなければ村人達がなぶり殺しにあってしまう。
アリシアは逃げたい気持ちを抑えて、一欠片の勇気を振り絞っていた。


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