61 / 117
本編
四十九話 食後のひととき 穏やかな会話
しおりを挟む
パンをちぎってひとくち、野菜をひとくち、大きい豚があるのに何故か山盛りのステーキにかじりついたその口でパンにかじりついて、口いっぱいにしたらもぐもぐと、飲み込んだらもういっかい、もういっかい。
「水だ、飲め」
「はいー」
ごくっとひとくち、切り分けてもらった丸焼きにかじりついて、もぐもぐと。
そんなことを何回もくりかえしてたらなんと、あんなにあったごはん達がきれいになくなりまして。
「流石ニッキー様、よい食べっぷりで……屈強な兵士以上に食べましたね」
「まさか食べきるとは思わなかったが、作った身としては満足だ」
「おいしかったですー」
「それはよかった、口を拭くがよい」
「はいー」
お腹はいっぱい、満足、満足。
「本日のご予定についてですが……公爵聞いてます? こーうしゃーくー? 」
「ん? ああすまない、なんだね? いま空になった皿を眺めるのに忙しいのだが」
「左様ですか、では耳だけはこちらに傾けてくださいませ、ニッキー様はそのまま食後の紅茶でも飲んで」
「はいー」
「うむ……手ずから仕上げたものをこうも気持ちよく食べられると、嬉しくなるな」
動けないほど夢中に食べてなおかついまは車椅子に乗ってるからそもそも動く必要がない、楽園では?
「ニッキー、ニッキー」
「なんですー? 」
「拭き方が甘い、こちらを向け」
「んー? 」
フキンを手にエウァルドさんがこっちを見てる、特に断る理由もない、甘んじてうけようじゃあないかね、うむうむ。
「まるで親子みたいだな、私が父親なのに……ふむう」
拭いてもらって前を向けば不満げなお顔のお父様がこっちみている、やだ恥ずかしい。
「確かに婚約者というよりかは親子か、仲睦まじい兄弟のようでほほえましいですね」
「共感はしたくないな、ふん」
「おや、親らしいこともせずによくそんな事が言えましたね、いい気味ですね」
「うぐう」
お父様の顔がくしゃってなって、笑顔が華やかになっていくダンさんの会話がなんか和やかで、なんかよくわからないけどうけるー。
「では話を戻しまして、公爵、昨日お渡しした手紙には目を通しましたね? 」
「ああ見たとも、面倒でならんが動くとも」
「よろしい……何故私は補佐の真似事をしているのでしょうね、追加の報酬お待ちしてますよ」
言われみれば確かに。
お父様が来てからダンさん、僕のお世話だけじゃなくて執事みたいなこともしてたかもしれない、過重労働だね、ん? てことはつまり?
「お父様ってパワハラとかしてるんです? 」
「してないが?! 」
「おやおやおや」
「パワハラはいけない事ですよお父様、うわやだー」
「しとらんしとらん! おいダン! お前のせいでニッキーが誤解しているではないか! 」
「いいですかニッキー様、これがパワハラです」
「ダ~ン~!! 」
顔を真っ赤にして怒るお父様は怖いけどその理由は面白い、どう反応しようねこれ。
「……面白いからいいか」
「いいのか? 」
「いいのです、まあエウァルドさん、ここだけの話なんですけどね」
「なんだ? 」
「ちょっとお茶を失礼、よし、これ聞かれたらお父様怒るかもなんですけどね」
「お父様いま目の前にいるのだが? ニッキー? 」
「お父様って真面目な時より慌ててるときの方が好感持てるんですよね~」
「ニッキー?! なんてことを言うんだ! 」
「なるほどそうなのか」
「そうなのかじゃない! 」
「ふ、ふふ、これは傑作だ……! 」
「おいこらぁ! 」
「面白いねエウァルドさん」
「そうか」
口抑えて震えるダンさんい牙をむくお父様もなんか、笑顔になるねよし決めた。
今日は真面目なニッキーは休んでもらって、いつもより楽しく、元気に過ごそうじゃないか。
「ここで提案なのですが公爵」
「これ以上なんだね」
「ニッキー様にはこの後館の中をぐるりと探索して頂く予定なのですが、ついでに公爵の武勇伝を語って差し上げましょうか? 」
「……よろしい、ニッキーに関しては自由に動いて構わん、多少の横暴も目を瞑ろうではないか」
「流石は国随一の医術師でございます、ダンは感激しました」
「英雄が息子の護衛になってくれてうれしいよ、ははは」
え、突然握手したんですけどこの人たち、こわ。
「いいかニッキー、あれが大人だ」
「……なるほどー」
エウァルドさんの言葉がとても心に染みます、たぶん。
「水だ、飲め」
「はいー」
ごくっとひとくち、切り分けてもらった丸焼きにかじりついて、もぐもぐと。
そんなことを何回もくりかえしてたらなんと、あんなにあったごはん達がきれいになくなりまして。
「流石ニッキー様、よい食べっぷりで……屈強な兵士以上に食べましたね」
「まさか食べきるとは思わなかったが、作った身としては満足だ」
「おいしかったですー」
「それはよかった、口を拭くがよい」
「はいー」
お腹はいっぱい、満足、満足。
「本日のご予定についてですが……公爵聞いてます? こーうしゃーくー? 」
「ん? ああすまない、なんだね? いま空になった皿を眺めるのに忙しいのだが」
「左様ですか、では耳だけはこちらに傾けてくださいませ、ニッキー様はそのまま食後の紅茶でも飲んで」
「はいー」
「うむ……手ずから仕上げたものをこうも気持ちよく食べられると、嬉しくなるな」
動けないほど夢中に食べてなおかついまは車椅子に乗ってるからそもそも動く必要がない、楽園では?
「ニッキー、ニッキー」
「なんですー? 」
「拭き方が甘い、こちらを向け」
「んー? 」
フキンを手にエウァルドさんがこっちを見てる、特に断る理由もない、甘んじてうけようじゃあないかね、うむうむ。
「まるで親子みたいだな、私が父親なのに……ふむう」
拭いてもらって前を向けば不満げなお顔のお父様がこっちみている、やだ恥ずかしい。
「確かに婚約者というよりかは親子か、仲睦まじい兄弟のようでほほえましいですね」
「共感はしたくないな、ふん」
「おや、親らしいこともせずによくそんな事が言えましたね、いい気味ですね」
「うぐう」
お父様の顔がくしゃってなって、笑顔が華やかになっていくダンさんの会話がなんか和やかで、なんかよくわからないけどうけるー。
「では話を戻しまして、公爵、昨日お渡しした手紙には目を通しましたね? 」
「ああ見たとも、面倒でならんが動くとも」
「よろしい……何故私は補佐の真似事をしているのでしょうね、追加の報酬お待ちしてますよ」
言われみれば確かに。
お父様が来てからダンさん、僕のお世話だけじゃなくて執事みたいなこともしてたかもしれない、過重労働だね、ん? てことはつまり?
「お父様ってパワハラとかしてるんです? 」
「してないが?! 」
「おやおやおや」
「パワハラはいけない事ですよお父様、うわやだー」
「しとらんしとらん! おいダン! お前のせいでニッキーが誤解しているではないか! 」
「いいですかニッキー様、これがパワハラです」
「ダ~ン~!! 」
顔を真っ赤にして怒るお父様は怖いけどその理由は面白い、どう反応しようねこれ。
「……面白いからいいか」
「いいのか? 」
「いいのです、まあエウァルドさん、ここだけの話なんですけどね」
「なんだ? 」
「ちょっとお茶を失礼、よし、これ聞かれたらお父様怒るかもなんですけどね」
「お父様いま目の前にいるのだが? ニッキー? 」
「お父様って真面目な時より慌ててるときの方が好感持てるんですよね~」
「ニッキー?! なんてことを言うんだ! 」
「なるほどそうなのか」
「そうなのかじゃない! 」
「ふ、ふふ、これは傑作だ……! 」
「おいこらぁ! 」
「面白いねエウァルドさん」
「そうか」
口抑えて震えるダンさんい牙をむくお父様もなんか、笑顔になるねよし決めた。
今日は真面目なニッキーは休んでもらって、いつもより楽しく、元気に過ごそうじゃないか。
「ここで提案なのですが公爵」
「これ以上なんだね」
「ニッキー様にはこの後館の中をぐるりと探索して頂く予定なのですが、ついでに公爵の武勇伝を語って差し上げましょうか? 」
「……よろしい、ニッキーに関しては自由に動いて構わん、多少の横暴も目を瞑ろうではないか」
「流石は国随一の医術師でございます、ダンは感激しました」
「英雄が息子の護衛になってくれてうれしいよ、ははは」
え、突然握手したんですけどこの人たち、こわ。
「いいかニッキー、あれが大人だ」
「……なるほどー」
エウァルドさんの言葉がとても心に染みます、たぶん。
53
お気に入りに追加
3,073
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
竜人の王である夫に運命の番が見つかったので離婚されました。結局再婚いたしますが。
重田いの
恋愛
竜人族は少子化に焦っていた。彼らは卵で産まれるのだが、その卵はなかなか孵化しないのだ。
少子化を食い止める鍵はたったひとつ! 運命の番様である!
番様と番うと、竜人族であっても卵ではなく子供が産まれる。悲劇を回避できるのだ……。
そして今日、王妃ファニアミリアの夫、王レヴニールに運命の番が見つかった。
離婚された王妃が、結局元サヤ再婚するまでのすったもんだのお話。
翼と角としっぽが生えてるタイプの竜人なので苦手な方はお気をつけて~。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる