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本編

九話 医者は匙を投げ 主は微睡む

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大きすぎるリアクションが邪魔になるとメルディアさんは廊下にだされ静かに始まった診察。


「これは……いったいどうなっているのでしょう」
心拍や肌、口の中、そして体の中を覗く力で診察を受け、その結果を知った大きな町からやってきたという白衣を来たお医者様は難しい顔をする。


「どう……とは」
「かなり……体が衰弱していますね……体の肉がほぼない、生きている事が不思議な状態でこの顔色、現時点で言えるのは、この方は何時死んでもおかしくない、とても危険な状態です」
「なんっ、なんとかなるのでしょうか先生!!」
震えた声を発するダンさんにお医者様は俯き、答えた。


「大変申しわけ無いのだが……私では手が出せない」
「そんな……」
「ですが本来、これほど衰弱しているならばまともに起き上がることも、ましてや会話すら困難な筈なのですが彼は体力こそありませんがこうしr……私では力不足で、申しわけない」
言葉を無くすダンさんにお医者様が眉を潜め言った。


そして、終始申しわけなさそうな顔で帰っていく様子を口を挟む暇のなかった僕は見送り、絶望した表情で部屋から出ていったダンさんをベッドの中から見送ったのでした。


遠くからメルディアさんの泣き声がちょっと聞こえる……どうしようか、この最悪な状態。


暗い話をしているのはわかる、お医者様に言った内容も正しいし、端からみれば矛盾だらけのこの体を診て困難するのも当然で正直……説明すればよかったなと後悔している。

なんでこんな体になっているのかはともかく治すことに関しては自信がある、怪我とか病気はどうにかできるけど、体に肉がついてないのは、事件だと思う。
体力は時間をかければどうにかなると思う……筋肉とかはついてくれるのか。




「……寝ようか」
この状態で僕がなにかできるか事は無いと思うから眠るのが、一番。



おやすみなさい、明日からの自分、ファイト。










起きました。






次の日から僕と接するメルディアさんやダンさんの纏う雰囲気が悲壮を帯びたものに変わってしまったのをどうしようかとこっそり悩んでいたけれど、やめました。

難しいことを考えて仕方がないという事で、自分の体を労わっている方が良いだろう……うん、めんどくさいのだ。

自分の事もわからないのに人との関係をどうこうしようとするなんて傲慢だと思う。

体力をつけて、ご飯を美味しく食べれて、外にでて散歩できる生活をしばらく続けて、余裕ができたらやれる案件だ、多分。



朝起きて、メルディアさんに朝の支度手伝ってもらってベッドの上でごろごろと、起き上がって外の景色、草原や遠くの山を頭を空っぽにして眺めて……ああ~凄い和む。


おや、ノック?  扉が開いて、ダンさんが入ってきて……。

「お休み中のところ失礼いたしますニッキー様」
んん~?


「屋敷の安全性を高めるため本家より兵士を5人、侍女を6人派遣され本日到着致します」
へー。


「分かりました、ありが」
「礼は不要でございます」
「むむ……」
「そして当主様が明日、こちらに到着されます」
屋敷の人が増えるのね~、へー、多分騒がしくなるのね~、……んん?


「……とうしゅさま?」
「はい、当主様がいらっしゃいます」



ええ?








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