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龍の国と死者の番

長い廊下をぎゅんぎゅんっと

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「ルドレウスさんルドレウスさん」
真っ白な壁、真っ赤なカーペットの床。大きな窓の向こうは夜とは違うジャンルの暗闇と、きらきらとした星々は綺麗だなーと思う反面、ここが宇宙なんだと実感して、ちょっと怖い。


「なんだね愛する弟よ」
「廊下長くないかなーと思うのですが、結構な時間ジェットコースターしてます僕」
「じぇっとこーすたーが何なのかは知らんが質問には答えてやろう、喜べ」
「やったー? 」
歩いたり走ったりして小脇に抱えられてる僕は疲れたぞい。


「うむ! 本来ならば瞬きの間に愛しき妻の移住区につくのだがな、我以外の者が侵入すれば迷い最後は暗き宙の海に飛ばされるように設計したのだ こうズドーンとだ」
「すどーんと」
「まさに城壁を崩す大砲のように征く、筈なのだがな、流石に空の果てにまで来る者はおらん故にそいいった機会は一度もなかったな」
「ここ宇宙ですしねえ」
この世界にも宇宙あったんだっていう驚きもあったりなかったり。

というか下ろして欲しい~て思ってたけど一時間近く廊下を真っすぐ歩くのも嫌だなーと思って言わなかったりしてる。


「うちゅう! 既に名前があったのか初耳だ、大地よりもずっと広大で謎の多いこの宙の彼方には果たしてなにがあるのか、妻と家族の次に気になることだ…一度誰かを打ち出してみたいがはてさてよい者がいたか、ああそうだいたな」
「え、僕? 」
「阿呆 愛しき弟にそのようなことせぬ、絶対に、二度とそのような事を言うな、いいな? 」
進む足を止めて、小脇に抱えられていたのが向き合うように移動させられて、目の前にめちゃくちゃ怖い顔したルドレウスさんがぴきっとしてた、顔の血管を、

「わ、かりました~」
「もっとはっきりはいと言え! 」
やだこわ。

「はいい! 」
「うむ、例え己の事だとしても家族を下に取るような行動、発言はせぬように、暴れるぞ、我が」
「うそお」
「龍とはそういうものだからな、番と子供を重たく愛し、誰の目にも触れさせず住処に住まわせたいと思うのだ、故に我はこのなにもない彼方に城を築き、妻を連れてきた」
「なるほど……」
「さあ行くぞ。それとだラグーン」
「はいなんでしょう」
「そなたは我の弟、つまりは王族なのだ、傲慢なくらいが丁度いい」
にかっと笑ってまた僕を小脇に抱えて歩き出した。

ぎゅむぎゅむとカーペットを踏む音を聞きながら、ルドレウスさんの言葉を頭で考える。

ん~。

「ん~……保留で」
「うむうむ、それでいい…クク、今の圧を受けても尚図太く振舞えるのは十分素質があるぞ、今後が楽しみだ」
傲慢とか横暴とか乱暴なのは自分的にはちょっと好きくない、嫌いでもない、なくはないかも、な感じ。

将来の自分はよくわからん、以上。

「大分反応に困るやつなんですけどねえ……ん? それじゃあその”いい”のとはどなたで? 」
「ん? いるだろうそなたの使えない部下が二匹」
「部下? あー、え”? 」
アリムさんとクロユリさんのことかな。

「何を驚くことがある、殺しても死なないとは良い実験台もいたものだ、雑魚にしては力を持ち役職を持たせるにはちと頭が足りない少し面倒な奴だが一度や二度、十度飛ばして鍛え直してやるのもまた暇つぶしによいだろうさ」
「暇つぶし? ええ? 」
「嫌か? 」
「ちょっとー、いやっすね」
「そうかそうか、ならば我も保留にしておこう、これでお互い保留をして相殺と行こう」
「? 」
なにを言ってるんだろう、このひと。

「よーし、少し早く行く、舌を噛まぬよう気をつけよ」
「へ? 」
「無理やり覚えさせるぞ」
「なんて? 」
頷いたルドレウスさんが改めて前を向いて走り出す、ぎゅんぎゅんとスピードを上げて、ぎゅんぎゅん、ぎゅんぎゅんと早送りされている動画みたいに。

風が、風圧が顔にすごいくる、ここ宇宙なのになぜ、待って待って走るのはやいはやいはやい。


ちょ、ちょっと待って!?









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