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六章 変化

にぎやか

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アリムさんを確保した後、ついでとばかりに確保された僕はアイデンさんに連れられ薄暗い路地に降りた。

路地から出て、まず目に入った老若男女たくさんの人がひしめく大通り商店街、これは、商店街?


奥には屋台や露天が立ち並びそこから聞こえる客寄せの声が遠くからでもよく聞こえる。

丁度今は十二時過ぎ、お昼時だからか飲食店に向かう人々でごった返している。


んー、なんかちょっとした満員電車にいるみたい…………。

あまりの人の多さにアリムさんには僕の影の中に待機して貰うことする、だって前も後ろも横も人だらけで。


………客引きの人の声、洋服屋さんの女性店員の甲高い声みたいでちょっとイラッてくる……。


「どうだ、下町とはいえ凄いだろう」

さっきまでここにくる事に躊躇していたアイデンさんは僕の顔を覗きこみにこりと笑いかけてくる。


「なんていうか、人が多いね、ちょっと酔いそう」

眉間に皺を寄せてふんすと言えば苦笑したアイデンさんに優しく腕を取られ腕の中に引き寄せられる。


そして僕の耳元に口を寄せると口を開いた。


「大陸一を誇る王国の、それも王城のある街だからな、その規模はかなりのものだ、はぐれないように手を繋いでくれ」

「はーい」

当たり前の事だよね、とアイデンさんの手を握ろうとすると違う違うと止められる。


「ん? 」

違うの?、と顔を上げてみればにっこりと笑顔のアイデンさん。


「こうしてくれ」

照れ臭そうに笑ったアイデンさんは僕の手を恋人繋ぎのように指を絡ませた。

そして満足げに頷くと行こうかと僕を歩かせる。


……………おいこら。



「ちょいと図々しすぎやしないかい? 」

こういうのってカップルがするもんだよね?。

ぼくらまだ…………そういえばまだお友だち、フレンズな関係だったような………?


「今日ぐらい固い事は言わないでくれ」

笑顔で流そうとしてるけど貴方今日二回くらいお堅い説教ぶちかましてるよね?

え? いいから行こう?。


しゃーないねぇ…………。


わざとらしくため息をつきながらアイデンさんについていく。









※※※



人混みの中迷いなく進むアイデンさんに導かれながら入る先はアイデンさん本人が治安が悪いと言われた静かな裏路地。

遠くからガヤガヤとした音を耳に入れながら薄暗いひんやりとした小道を進めばなんともこじんまりとしたお店についた。


ドアベルを鳴らしてアイデンさんが扉をあけると黒い壁に落ちついた雰囲気のカウンター、落ち着いたお店。

カウンターではグラス拭いているちょび髭の渋いおじさまがいらっしゃいませと出迎えてくれた。





うん? ……うん。



「あいでんさん?」

ちょいちょいとアイデンさんの腕をつつけば不思議そうな顔がこちらを向く。


「どうした? 」

「お昼ご飯は………?」

「ここで食べるぞ?」

「いやここお酒飲むとこ…………」 


バーでしょここ。


「食事もできるぞ? トリーネ この子と俺に何か頼む 後酒を」

「畏まりました」

ペコリと頭を下げた笑顔のおじさまは裏の方に引っ込んでいく。


「え? 」

「さ、席に座ってくれ」


ほれほれ、と背中を押されながら背もたれのない椅子に座れば隣の椅子にアイデンさんも座る。


「こちらをよろしければどうぞ」

いつの間にか目の前にいたおじさまにびくっとしていると目の前にさくらんぼみたいなのが乗った青色の飲み物が入った小さなグラスがスッ、と差し出される。


なにこれ、とそれを持つと何故かアイデンさんの手が僕とグラスの間に入り止められる。


「まて」

「ん? 」

アイデンさんをみれば渋い顔でおじさまをみている。


「トリーネ なにラグーンにカクテルなんて出してるんだ」

アルさんが嫌がりそうなアイデンさんの顔にも関わらずおじさまはにこりと微笑む。


「いけませんでしたか? 」

「見れば分かるだろうラグーンは子供だぞ、


と言いたげに僕を見るアイデンさんにおじさまは大袈裟に目を見開く。


「おや アイデン様が連れてこられた方なのでてっきり成人してる方かと……」

「それは まぁ、そうだがそれとこれとは…………」

アイデンさん達なんか話してるけどま、いいやどうせ怒る人なんていないし飲んじゃおう。そうと決まればと。


おじさまに集中してるアイデンさんの籠手をペイっと払いのけてグラスを持つとそれを口元に持っていきクイっと上にあげた。



「あ」

隣からアイデンさんの声聞こえるけど怒るなら後でよろしく。




数秒後の自分任せた!









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