上 下
87 / 182
六章 変化

どこ見てるの……

しおりを挟む
アルさんに抱えられる形で部屋に拐われベッドの上で健全に、ただごろごろとまったりしていたらいつの間にか夕方に。


お夕飯をたらふく頂いた僕は現在お部屋のお風呂場に来ている。


今日はなんか疲れたでござる、とお風呂場の戸をあければ湯船からあったかい湯気が裸の体を包み頬が緩む。


そして視界が真っ白にそまる…………眼鏡外すの取り忘れてた。


いそいそと脱衣場に眼鏡を置き、改めてお風呂場に入った。


このお風呂場、僕の家にあるお風呂の二倍はある上に一面綺麗なタイルが敷き詰められて豪華。


照明は小さなシャンデリアがついてて湯船には真っ赤な薔薇の花びらが浮いている。

………………今って夏の終わりだったような…………。

薔薇って五月から六月くらいにかけて咲くんじゃなかったっけ? 今、確か8月? だよね。


まあいいや、体冷えるし早く洗おう。

のんびりと椅子に座った僕は四角い石鹸を手に取りこれまたのんびり泡立てていく。


今は特別急ぐ必要はないし、体が疲れとか乗馬とかアルさんとかでバキバキだから今軍隊式に三分以内に風呂やれとか言われたら余裕で詰む。


それにこっちじゃリンスみたいなのはあるけどシャンプーとかハンドソープっていうのは全部これでやるんだよね~。


程よく泡を立てたら、それを濡らした頭にのっけてわしゃわしゃと洗っていく。


んー、確かテレビでみたけど、指で優しく揉み混むようにすればいいんだっけ?。


こうか?

よいしょ………やっぱ泡立ちがイマイチだから微妙だねぇ。

そもそもこの石鹸香りはいいのに泡があんまりでないやつだから家にあるやつ今度持ってこよう。




一通り満足するまで頭を洗ったら、桶に湯船のお湯をすくって、頭にながす。

するとお湯からミントの香り漂い、これまた首を傾げる。


薔薇に……ミント? 組み合わせちぐはぐだね。

まあでも。


「のんびり一人で広いお風呂貸しきりってのもいいよねぇ」

「ご機嫌なところ邪魔するぜぇ」

「ふぉっ! 」

後ろから突然聞こえた声に椅子から飛び上がる。


心臓をばくばくとさせながら振り替えれば、真っ赤な酒瓶片手に苦笑した裸のアルさんが、堂々と入ってきま………筋肉すごい。


肩幅広いし奥行きあるし胸板凄いし脇腹とかどうなってんのあれ、なんか線入ってる………。

そんなアルさんは風呂椅子に座ると惜しげもなく出されるアルさんの股にある黒くてでっかいご子息………。


いや……前々から思ってたけどあれって普通に大きい、それに黒い……やだ怖い。


「なに人のもんみてんだぁ? 」

にやにやと聞いてくるアルさんの視線に僕は冷めた目を向ける。


「別に深い意味はないよ」

だからそのにやにややめい、……そして人の股間をみるな。


「俺に比べればお前の奴は………可愛いな、さわっていいか? 」

「やめい」

聞いておきながらもう手を伸ばしてるやんけ。


ぺしんとその手をはたき落とした。


「ちぇー、なら俺の触っていいからよー触らせろよ」

「やーだ」

「寄越せ」

「無理無理」

「ああーん? 」

そんな口尖らしてるけどアルさんあんたね。


「アルさん……変態親父みたいだよ」

体の泡を流しながら言うとアルさんは酒瓶を湯船の縁におく。


「はっ、まあいいじゃねえか、なら洗ってやろうか?」

「もう洗ったから結構」

僕が湯船に入ろうと立ち上がりながら言うとあからさまに不満げな顔でアルさんは首を鳴らす。


「ちっ」

舌打ちしたよこの人…………しゃーないね~。


「んじゃあ、僕が洗ってあげようか? 」

呆れ半分に僕が言った瞬間途端に綻ぶ顔に思わず僕も笑顔になるが。


「ほんとか!? じゃあ早速この俺のち「どこ洗わす気じゃど変態」」

お決まりの展開を叩き潰す、


アルさんのあからさま過ぎる親父発言に思わずため息をついた。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大好きなBLゲームの世界に転生したので、最推しの隣に居座り続けます。 〜名も無き君への献身〜

7ズ
BL
 異世界BLゲーム『救済のマリアージュ』。通称:Qマリには、普通のBLゲームには無い闇堕ちルートと言うものが存在していた。  攻略対象の為に手を汚す事さえ厭わない主人公闇堕ちルートは、闇の腐女子の心を掴み、大ヒットした。  そして、そのゲームにハートを打ち抜かれた光の腐女子の中にも闇堕ちルートに最推しを持つ者が居た。  しかし、大規模なファンコミュニティであっても彼女の推しについて好意的に話す者は居ない。  彼女の推しは、攻略対象の養父。ろくでなしで飲んだくれ。表ルートでは事故で命を落とし、闇堕ちルートで主人公によって殺されてしまう。  どのルートでも死の運命が確約されている名も無きキャラクターへ異常な執着と愛情をたった一人で注いでいる孤独な彼女。  ある日、眠りから目覚めたら、彼女はQマリの世界へ幼い少年の姿で転生してしまった。  異常な執着と愛情を現実へと持ち出した彼女は、最推しである養父の設定に秘められた真実を知る事となった。  果たして彼女は、死の運命から彼を救い出す事が出来るのか──? ーーーーーーーーーーーー 狂気的なまでに一途な男(in腐女子)×名無しの訳あり飲兵衛  

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て運命の相手を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ──────────── ※感想、いいね大歓迎です!!

【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る

112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。 ★本編で出てこない世界観  男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。

ある公爵令嬢の生涯

ユウ
恋愛
伯爵令嬢のエステルには妹がいた。 妖精姫と呼ばれ両親からも愛され周りからも無条件に愛される。 婚約者までも妹に奪われ婚約者を譲るように言われてしまう。 そして最後には妹を陥れようとした罪で断罪されてしまうが… 気づくとエステルに転生していた。 再び前世繰り返すことになると思いきや。 エステルは家族を見限り自立を決意するのだが… *** タイトルを変更しました!

成長を見守っていた王子様が結婚するので大人になったなとしみじみしていたら結婚相手が自分だった

みたこ
BL
年の離れた友人として接していた王子様となぜか結婚することになったおじさんの話です。

捨てられ子供は愛される

やらぎはら響
BL
奴隷のリッカはある日富豪のセルフィルトに出会い買われた。 リッカの愛され生活が始まる。 タイトルを【奴隷の子供は愛される】から改題しました。

異世界転生しすぎたコイツと初めての俺のアルファレードぐだぐだ冒険記

トウジョウトシキ
BL
前世の記憶を思い出した。 「これ、まさか異世界転生ってやつ……本当にこんなことがあるなんて!」 「あー、今回は捨て子か。王子ルートだな」 「……え、お前隣の席の葉山勇樹?」 「今気づいたんだ。お前は夏村蓮だろ? 平凡な少年ポジか、いいところだな」 「え、何? 詳しいの?」 「あ、なんだ。お前始めてか。じゃ、教えてやるよ。異世界転生ライフのキホン」 異世界転生1000回目のユウキと異世界転生初心者の俺レンの平和な異世界ぐだぐだ冒険記。

グラティールの公爵令嬢―ゲーム異世界に転生した私は、ゲーム知識と前世知識を使って無双します!―

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)
ファンタジー
ファンタジーランキング1位を達成しました!女主人公のゲーム異世界転生(主人公は恋愛しません) ゲーム知識でレアアイテムをゲットしてチート無双、ざまぁ要素、島でスローライフなど、やりたい放題の異世界ライフを楽しむ。 苦戦展開ナシ。ほのぼのストーリーでストレスフリー。 錬金術要素アリ。クラフトチートで、ものづくりを楽しみます。 グルメ要素アリ。お酒、魔物肉、サバイバル飯など充実。 上述の通り、主人公は恋愛しません。途中、婚約されるシーンがありますが婚約破棄に持ち込みます。主人公のルチルは生涯にわたって独身を貫くストーリーです。 広大な異世界ワールドを旅する物語です。冒険にも出ますし、海を渡ったりもします。

処理中です...