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にちじょーう

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例えば、ゴブリンで言えば生態そのものは道端にいる蟻と変わりない。

なんの話かって? まあお聞きよ。

魔族ってなんやかんや言って人間よりシンプルなのよね、思考とか生態とか色々と。

下っ端は群れのボスに貢ぐために働いて、子育てするゴブリンがいて、メスゴブリンは繁殖をしたり働いたり。

快楽を糧にする魔族だって、お腹が空いてるから誘惑するのであって、腹が満たせれば特別なことはあまりしない、多分。


まあなにを言いたいのかといえば~……うーん。

なんだっけぇ? 


「にーる~飯だぞ~」
「うあーい」
「ほれいくぞー」
「うえーい」
ご飯を食べて、寝る、生きるうえで必需なことをただ死ぬまで繰り返す、それだけ、それだけ。

中庭から空をずーっと眺めてたけど、ぐすたふに呼ばれなきゃ夜までそうしてただろうし。エプロン姿のぐすたふにのそのそ回収されて思考がまたどこかにー。

んー。

僕としてはそれ以外はあんまり興味がない、というか発想が沸かない。



「ねーぐすたふーまえから疑問に思ってたんだけどねー」
「ん? どうした? 」
「なんでぐすたふって僕の分までご飯作ってるのかなーって 」
「……あん? 」
「だってほら、僕のご飯って、あれじゃん」
「あ? あー……まあ、な」
無色透明、無味無臭。

睡眠している生物からでる気のようなものを主食としている僕こと夢魔の生態、にわかに信じがたいと他の種族から見ればそうなるだろうけど、当の本人たる僕にとって現物の食材はすべて等しく、嗜好品の域をでない。

水分補給は例外かも。

「なんか空見てたらふと疑問になっちゃってー」
「なんだそりゃ」
「ほら、僕の分作らなきゃ食料管理楽になるかもじゃない」
「んー、その考え方は嫌いだな」
「そっかー、僕としてはお茶の一杯でも貰えたら十分な気もしなくもない」
「しなくもないのか、ほれ、食え、あーん」
「あーん」
肉汁たっぷりの厚切りベーコン、旨み旨み。

「どうだ、うめえだろ 」
「おいしー」
「だろだろ、なら食料がどうのだの難しいこと考えなくても良いんじゃねえか~? 」
「ん~ん~……」
「ほれスクランブルエッグだあーん」
「あーん……美味しい」
「だろー? 毎日こういうの食っときゃ楽しいだろ、な? 」
バターの香りたっぷり、美味しい。

「んんー、そう、だね? 」
「おうよ」
餌付けされてる気がしなくもない、いやされてるね?


まあいいか、と納得とは大分遠い結論をつけて、その日を終えた。



別の日。


「なにしてんだ~? 」
中庭のふさふさした芝生に寝転んでいたら近くでぐすたふの声がした。

「みてのとおーりー、空眺めてる~」
「たのしいか~? 」
「ほどほどにー」
「そうかー、んじゃ俺もする」
どさっと隣に座る気配がひとつ、見れば胡座かいて座るにっこりのぐすたふと目がばっちりとり

「んー? 」
「お茶持ってきたから飲め」
「あーい、よーい……うむ」
「なにしてんだ、ほれ」
のっそりと起き上がろうとして、失敗してごろん、背中にぐすたふの手が回って起こしてもらって、よし。
えーと。

「んー……」
「お? どした? 」
「ごめーん」
「なんだよ」
「ぼーとね、しすぎてあたま全然まわんない、何言おうとしたか忘れたのよ」
「なんだそりゃ」
たぶん、特別いみもないことを言おうとしたんだと思う、こう、晴れてるねーとかそういうやつ。


そんなのんびりした日常。
 

視界の隅にスキンヘッドいるね、なにしてんだろ、掃除?
 



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