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第一村人? あ、ちゃう

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腰までする細長い草をナイフで切り分けて木と木の間を埋める低木を足で踏み倒して進む。

なにかあった訳ではないから省くけどただいま森の比較的外に近い部分を黙々と行軍中。

草ってナチュラルにうざいよね、平べったくて細いやつ下手したら怪我するし花の種が服にくっついたり虫くっついてたり。

森を出たら出たらで今度は木ひとつない広野、屋敷までの道のりハードモードってやつだよ。


ぐすたふが先行僕がその後ろにくっついてくスタイルで歩き早二日、特にイベントなんてなかったから省くけどこの二日が案外長い、何も覚えてないけどね。


「あ”あ”たく!!  .....あちい」
隣の国の砂漠の先にある熱帯の樹海に負けない蒸し暑さ、今まで無言だったぐすたふが唸り始める。

額から流れる汗を乱暴にタオルで拭いて悪態をつくぐすたふ、べたべたな汗を流そうにも小川が見つからない。

汗拭き用の手拭いももうびしょびで使い物にならない、拭いても意味ないからぐすたふもび
っちょびちょちょっと長くなった茶髪もぺったり......。
ちょっとこっちにこないで?

「森って言われてるんだもの、当然あつい」
「蒸し暑いのは大嫌いだが我慢だ......冷えたエール飲みてえ」
「本音漏れてるねぇ」
朝はひんやり、夜はうっすら湿った風が吹く、そして日の高い昼間はじめじめした土を森の象徴の木が覆いそれと熱い気温と合わさり気持ちの悪いサウナ状態。

奥地が特別なだけで基本森は最悪だよ、汗冷えたら風邪ひいちゃう。

「ほら、出口見えたよ」
ぐだぐだながらもしっかりと歩いて二日と半分目を凝らせば見えるちらちらとした光を指差す。

「やっとかよ....」
「やっとね」
「ちっとわるい」
「お?」
くるりと振り替えったぐすたふに目を丸くすれば自然な動きで片手を伸ばし軽々と僕を持ち上げる。

「走るから口閉じてろよー」
「うぃー」
やっとのやっと......もう一度だけ言うけど、二日、48時間薄暗い森の中を歩いて休んで寝るの繰り返しをして、漸く見えた外の光にぐすたふの顔もこれにはにっこり。

汗をかいた肌には寒く感じる空気の流れに目をつむり、瞼越しに感じた光に目を開ければ想像通り雲ひとつない大空。

「おぉ! デルベルト伯爵!」
「......あ?」
の、筈でした。

ぐすたふが走るままに身を任せている所に聞こえた遠くからの声。

「あら、人間」
「ちっ」
達成感に満ちた顔から一転、立ち止まったぐすたふの無になった表情に疑問をもっていると、声の主が駆け足で現れる。

「お初に御目にかかります! 第四騎士団副団長イグニス・ガイテス子爵であります!」
ぐすたふの前に直立に立った声の主は胸に手を当てた。 

「…………」
「英雄グスタフ・デルベルト伯爵の行方不明と知らせを受け捜索のため参りました!」
「……そうか」
にっこりと爽やかな笑顔で言い切ったこの若者と無機質な声で返すぐすたふ。

「無事なようで良かった......今からお屋敷に?」
浅黒い灰色の胸にバッジのついた厚い騎士服、腰には長剣を携えた若者......兵士ね。
 
「そうだ」
「では僭越ながら私が護衛を、そちらの......魔族は?」
話の流れで茶髪の彼と目が合った途端、あからさまに声のトーンが低くなった。

とりあえず自己紹介を。

「っ「俺のだ」」
「……左様で御座いますか」
「......」
妨害された。

「では護衛させて頂きます」
「いらん」
「させて頂きます」
「......勝手にしろ」
案外強引な若者のなんと眩しい笑顔......あとぐすたふが暗い。


「畏まりました!」
どうでも良いけどぐすたふって貴族だったんだね、デルベルト、よし覚えた。












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