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夜営!!

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夜に……なっちゃった。
悪かった視界が余計悪くなる。

目が慣れれば最低限見れるが、あくまで足元や1メートル、2メートル先を見れる位、怖いね

「暗いなー」
「…………」
「そこ段差あるから気を付けろよー」
「…………」
「にしても夜になるとここは寒いな、ニール、そんな薄着じゃ風邪ひくぞ、上着着るか?」
「…………」
「……ところで、ニールの目指してる場所は一体どこなんだ? そろそろ休む場所決めねえと大変だ…が…………ニール?  」

真っ暗闇な中、つまずきそうになりながらぐすたふにサポートされるのはとてもありがたい……ありがたいんだけどね。


「返事……してくれるか?」
「…………」
ちょいちょいと肩をつつかれぐすたふを見上げる。

「……ニール?」
ぐすたふの表情は分からないけどとりあえず満面の笑顔を作って……よし。

「ふんぬ!!」
「いたっ!?」
なんとなくムカつくからぐすたふの手をはたき落とした。

どうすんだいこれ。




※※※



結局、近くの根っこを椅子代わりに夜を明かすことにする事に……なっちゃった。



「たくっいきなり叩く事ねえだろうよ」
湿った土のせいで上手く火がおこせず火打ち石で火花を作りながらぐちぐちと怒るぐすたふ。

少し時間をかけ枯れ葉や木の枝を使い漸く燃えたタイミングを見計らい、声をかける。

「……思わず叩いちゃった」
「ひっでぇ」
「きゃぴい~」
「低い声で言われても誰も萌えねえよ……」
「きゃぴきゃぴー」
「……そういや夜会のとき俺の周りで似たような事やる女たくさんいたな、うざかったが」
ええ……。

「……ぐすたふは燃え尽きればいいと思う」
「ひでえ……」
苦笑いするぐすたふには悪いがこれは人間で言うところあれだ、リア充爆発しろ、かな? どっかで聞いた。

「僕の計画ではとっくに目的の草原にはついてた筈なんだけどねぇ……ぐすたふが動かないから~」
100歩譲って一時間位なら誤差として認めたけど、あれ体感的にそれ以上だったよね?


「そ、そうだったかー?」
肩を竦めるぐすたふに構わず僕は話を続ければ、途端にぐすたふの視線が泳ぎ出す。

「枝でつつくよ」
「それはやめてくれ、すまん」
慌てて脇を抑えるぐすたふに焚き火用の枝を向ける、ふん、とむすくれて枝を火の中へ放り込んだ。

はぁ……。

「………」
「どうした?」
思うように歩けないしぐすたふめんどくさいしで中々思い通りに進まないし……。

「疲れた」
「そうか」
「そうかじゃねえよ」
反射的に言い返せばにぐすたふは持ってきていたリュックを地面に降ろし中に手を突っ込んだ。

「……何してるの?」
「飯にしようと思ってな、干し肉食べるか?」
「食べる~」
「よし、焼いてやるから待っとけ」
「やった」
干し肉は好物!



……まんまと餌付けされてる?


まあいいさ。





新鮮なお肉も良いけど固い干し肉を齧るのも悪くない。
薄切りにしてひたすら噛んでみるのも一つ。

外にいるこの場では干し肉は軽く炙ってから食べる事が最適解。
厚切りの干し肉を枝に刺し、火の上で回せば、あっという間に……。

「ほれ、焼けたぞ~」
「ありがとー」
少し焦げ目のついた干し肉を受け取り早速かぶりついた。

が、すぐに顔をしかめ離す。


「……なにやってんだ」
ぐすたふに冷静に言われ少し気まずい気持ちになる。

「…………熱いじゃん」
「あたりめえだろ」
「うるせー」
むっと悪態をつきそっぽを向けばぐすたふから笑いを堪える気配がして居心地がとっても悪い。
肉に齧りつきながらちらりとぐすたふを見れば何が楽しいのかにこにことしている。

「舌は大丈夫か?」
む……。

「大丈夫……びっくりしただけ」
「そうか、ゆっくり食えおかわりもあるからな~、クッキーも入ってるから欲しいとき言え」
おぉー。

「好き」
「お湯さえ沸かせばお茶も淹れられるぞ」
なんと!!

「ぐすたふ愛してる」
「おう、俺もだ」
「……」
ぐすたふ有能すぎて好き……ん?

いま、反射で僕言って……ん?

呆気に取られ見ればぐすたふは少し首を傾げる。

「ん?」
「ん?」
んん?

「……好き?」
「おう」
「僕を?」
「そうだな」
「………………愛してる?」
「一生世話したい」
「…………なんで?」


なんで?



僕とぐすたふ、むごんで見つめ合い、焚き火の跳ねる音だけが響いた、











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