25 / 69
夜営!!
しおりを挟む
夜に……なっちゃった。
悪かった視界が余計悪くなる。
目が慣れれば最低限見れるが、あくまで足元や1メートル、2メートル先を見れる位、怖いね
「暗いなー」
「…………」
「そこ段差あるから気を付けろよー」
「…………」
「にしても夜になるとここは寒いな、ニール、そんな薄着じゃ風邪ひくぞ、上着着るか?」
「…………」
「……ところで、ニールの目指してる場所は一体どこなんだ? そろそろ休む場所決めねえと大変だ…が…………ニール? 」
真っ暗闇な中、つまずきそうになりながらぐすたふにサポートされるのはとてもありがたい……ありがたいんだけどね。
「返事……してくれるか?」
「…………」
ちょいちょいと肩をつつかれぐすたふを見上げる。
「……ニール?」
ぐすたふの表情は分からないけどとりあえず満面の笑顔を作って……よし。
「ふんぬ!!」
「いたっ!?」
なんとなくムカつくからぐすたふの手をはたき落とした。
どうすんだいこれ。
※※※
結局、近くの根っこを椅子代わりに夜を明かすことにする事に……なっちゃった。
「たくっいきなり叩く事ねえだろうよ」
湿った土のせいで上手く火がおこせず火打ち石で火花を作りながらぐちぐちと怒るぐすたふ。
少し時間をかけ枯れ葉や木の枝を使い漸く燃えたタイミングを見計らい、声をかける。
「……思わず叩いちゃった」
「ひっでぇ」
「きゃぴい~」
「低い声で言われても誰も萌えねえよ……」
「きゃぴきゃぴー」
「……そういや夜会のとき俺の周りで似たような事やる女たくさんいたな、うざかったが」
ええ……。
「……ぐすたふは燃え尽きればいいと思う」
「ひでえ……」
苦笑いするぐすたふには悪いがこれは人間で言うところあれだ、リア充爆発しろ、かな? どっかで聞いた。
「僕の計画ではとっくに目的の草原にはついてた筈なんだけどねぇ……ぐすたふが動かないから~」
100歩譲って一時間位なら誤差として認めたけど、あれ体感的にそれ以上だったよね?
「そ、そうだったかー?」
肩を竦めるぐすたふに構わず僕は話を続ければ、途端にぐすたふの視線が泳ぎ出す。
「枝でつつくよ」
「それはやめてくれ、すまん」
慌てて脇を抑えるぐすたふに焚き火用の枝を向ける、ふん、とむすくれて枝を火の中へ放り込んだ。
はぁ……。
「………」
「どうした?」
思うように歩けないしぐすたふめんどくさいしで中々思い通りに進まないし……。
「疲れた」
「そうか」
「そうかじゃねえよ」
反射的に言い返せばにぐすたふは持ってきていたリュックを地面に降ろし中に手を突っ込んだ。
「……何してるの?」
「飯にしようと思ってな、干し肉食べるか?」
「食べる~」
「よし、焼いてやるから待っとけ」
「やった」
干し肉は好物!
……まんまと餌付けされてる?
まあいいさ。
新鮮なお肉も良いけど固い干し肉を齧るのも悪くない。
薄切りにしてひたすら噛んでみるのも一つ。
外にいるこの場では干し肉は軽く炙ってから食べる事が最適解。
厚切りの干し肉を枝に刺し、火の上で回せば、あっという間に……。
「ほれ、焼けたぞ~」
「ありがとー」
少し焦げ目のついた干し肉を受け取り早速かぶりついた。
が、すぐに顔をしかめ離す。
「……なにやってんだ」
ぐすたふに冷静に言われ少し気まずい気持ちになる。
「…………熱いじゃん」
「あたりめえだろ」
「うるせー」
むっと悪態をつきそっぽを向けばぐすたふから笑いを堪える気配がして居心地がとっても悪い。
肉に齧りつきながらちらりとぐすたふを見れば何が楽しいのかにこにことしている。
「舌は大丈夫か?」
む……。
「大丈夫……びっくりしただけ」
「そうか、ゆっくり食えおかわりもあるからな~、クッキーも入ってるから欲しいとき言え」
おぉー。
「好き」
「お湯さえ沸かせばお茶も淹れられるぞ」
なんと!!
「ぐすたふ愛してる」
「おう、俺もだ」
「……」
ぐすたふ有能すぎて好き……ん?
いま、反射で僕言って……ん?
呆気に取られ見ればぐすたふは少し首を傾げる。
「ん?」
「ん?」
んん?
「……好き?」
「おう」
「僕を?」
「そうだな」
「………………愛してる?」
「一生世話したい」
「…………なんで?」
なんで?
僕とぐすたふ、むごんで見つめ合い、焚き火の跳ねる音だけが響いた、
悪かった視界が余計悪くなる。
目が慣れれば最低限見れるが、あくまで足元や1メートル、2メートル先を見れる位、怖いね
「暗いなー」
「…………」
「そこ段差あるから気を付けろよー」
「…………」
「にしても夜になるとここは寒いな、ニール、そんな薄着じゃ風邪ひくぞ、上着着るか?」
「…………」
「……ところで、ニールの目指してる場所は一体どこなんだ? そろそろ休む場所決めねえと大変だ…が…………ニール? 」
真っ暗闇な中、つまずきそうになりながらぐすたふにサポートされるのはとてもありがたい……ありがたいんだけどね。
「返事……してくれるか?」
「…………」
ちょいちょいと肩をつつかれぐすたふを見上げる。
「……ニール?」
ぐすたふの表情は分からないけどとりあえず満面の笑顔を作って……よし。
「ふんぬ!!」
「いたっ!?」
なんとなくムカつくからぐすたふの手をはたき落とした。
どうすんだいこれ。
※※※
結局、近くの根っこを椅子代わりに夜を明かすことにする事に……なっちゃった。
「たくっいきなり叩く事ねえだろうよ」
湿った土のせいで上手く火がおこせず火打ち石で火花を作りながらぐちぐちと怒るぐすたふ。
少し時間をかけ枯れ葉や木の枝を使い漸く燃えたタイミングを見計らい、声をかける。
「……思わず叩いちゃった」
「ひっでぇ」
「きゃぴい~」
「低い声で言われても誰も萌えねえよ……」
「きゃぴきゃぴー」
「……そういや夜会のとき俺の周りで似たような事やる女たくさんいたな、うざかったが」
ええ……。
「……ぐすたふは燃え尽きればいいと思う」
「ひでえ……」
苦笑いするぐすたふには悪いがこれは人間で言うところあれだ、リア充爆発しろ、かな? どっかで聞いた。
「僕の計画ではとっくに目的の草原にはついてた筈なんだけどねぇ……ぐすたふが動かないから~」
100歩譲って一時間位なら誤差として認めたけど、あれ体感的にそれ以上だったよね?
「そ、そうだったかー?」
肩を竦めるぐすたふに構わず僕は話を続ければ、途端にぐすたふの視線が泳ぎ出す。
「枝でつつくよ」
「それはやめてくれ、すまん」
慌てて脇を抑えるぐすたふに焚き火用の枝を向ける、ふん、とむすくれて枝を火の中へ放り込んだ。
はぁ……。
「………」
「どうした?」
思うように歩けないしぐすたふめんどくさいしで中々思い通りに進まないし……。
「疲れた」
「そうか」
「そうかじゃねえよ」
反射的に言い返せばにぐすたふは持ってきていたリュックを地面に降ろし中に手を突っ込んだ。
「……何してるの?」
「飯にしようと思ってな、干し肉食べるか?」
「食べる~」
「よし、焼いてやるから待っとけ」
「やった」
干し肉は好物!
……まんまと餌付けされてる?
まあいいさ。
新鮮なお肉も良いけど固い干し肉を齧るのも悪くない。
薄切りにしてひたすら噛んでみるのも一つ。
外にいるこの場では干し肉は軽く炙ってから食べる事が最適解。
厚切りの干し肉を枝に刺し、火の上で回せば、あっという間に……。
「ほれ、焼けたぞ~」
「ありがとー」
少し焦げ目のついた干し肉を受け取り早速かぶりついた。
が、すぐに顔をしかめ離す。
「……なにやってんだ」
ぐすたふに冷静に言われ少し気まずい気持ちになる。
「…………熱いじゃん」
「あたりめえだろ」
「うるせー」
むっと悪態をつきそっぽを向けばぐすたふから笑いを堪える気配がして居心地がとっても悪い。
肉に齧りつきながらちらりとぐすたふを見れば何が楽しいのかにこにことしている。
「舌は大丈夫か?」
む……。
「大丈夫……びっくりしただけ」
「そうか、ゆっくり食えおかわりもあるからな~、クッキーも入ってるから欲しいとき言え」
おぉー。
「好き」
「お湯さえ沸かせばお茶も淹れられるぞ」
なんと!!
「ぐすたふ愛してる」
「おう、俺もだ」
「……」
ぐすたふ有能すぎて好き……ん?
いま、反射で僕言って……ん?
呆気に取られ見ればぐすたふは少し首を傾げる。
「ん?」
「ん?」
んん?
「……好き?」
「おう」
「僕を?」
「そうだな」
「………………愛してる?」
「一生世話したい」
「…………なんで?」
なんで?
僕とぐすたふ、むごんで見つめ合い、焚き火の跳ねる音だけが響いた、
22
お気に入りに追加
871
あなたにおすすめの小説
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
嫁側男子になんかなりたくない! 絶対に女性のお嫁さんを貰ってみせる!!
棚から現ナマ
BL
リュールが転生した世界は女性が少なく男性同士の結婚が当たりまえ。そのうえ全ての人間には魔力があり、魔力量が少ないと嫁側男子にされてしまう。10歳の誕生日に魔力検査をすると魔力量はレベル3。滅茶苦茶少ない! このままでは嫁側男子にされてしまう。家出してでも嫁側男子になんかなりたくない。それなのにリュールは公爵家の息子だから第2王子のお茶会に婚約者候補として呼ばれてしまう……どうする俺! 魔力量が少ないけど女性と結婚したいと頑張るリュールと、リュールが好きすぎて自分の婚約者にどうしてもしたい第1王子と第2王子のお話。頑張って長編予定。他にも投稿しています。
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)
オッサン、エルフの森の歌姫【ディーバ】になる
クロタ
BL
召喚儀式の失敗で、現代日本から異世界に飛ばされて捨てられたオッサン(39歳)と、彼を拾って過保護に庇護するエルフ(300歳、外見年齢20代)のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる