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ネズミたちの会議
しおりを挟むあるところにお婆さんが一軒家の平屋に住んでいました。
お爺さんは、丁度、半年前に亡くなりました。
お婆さんの住む家は、古かったので、よくネズミが住み着いていましたが、お爺さんが生きていた時は、お爺さんがネズミ捕りの罠を仕掛けて、よく撃退していたのですが、お爺さんがいなくなると、ネズミは撃退者がいないのをイイことに、どんどん増えて行き、お婆さんの食べ物を喰い散らかすようになりました。
そこで、お婆さんは、ネズミの天敵である猫を飼いました。
猫は瞬く間に、ネズミを捕まえては殺して、
お婆さんにネズミの死骸を咥えて見せていました。
猫がまだ飼っていない頃は、昼でも家の巣穴からチョロチョロと出て来ては、食べ物を漁っていたのですが、猫が飼われてから、仲間達が猫の鋭い爪で捕まえられ、喰い殺されることもあり、それで食事にありつけることも出来なくなり、巣籠り状態になっていました。
そんな時に、ネズミたちが天敵の猫に対して、
なにか対抗措置はないものかという会議を招集しました。
ネズミたちは、少なくとも、
逃げる時間があるように猫がいつやってくるか知る方法を見付けたいと思いました。
猫は、まるで忍者のように気配を消して、そっと近付いて来て、鋭い爪で襲ってきますので夜でさえも巣穴から出て、食料を確保することが出来なかったのですから。
喧々諤々と、熱い議論が交わされましたが、なかなか良いアイデアが出ませんでした。
会議が硬直状態の中、遂に若いネズミがあるアイデアを発言しました。
「お婆さんのガマ口財布がありますよね」
「それがどうしたんだい」
「それに小さな鈴が付いていますよね」
「だから、なにが言いたいのかね」
「ガマ口財布を持っているお婆さんが歩くと、鈴の音が鳴って近付くのが解るじゃないですか」
「はは~ん、なるほど、そのことから、猫にも鈴を付ければ、猫の首に鈴を吊るせば、鈴の鳴る音で猫が近付いてくることが解るってことね」
その場にいたネズミたちは、
そのアイデアにすぐに飛びついたかのように喜び出しました。
そんな俄(にわ)か喜びで浮かれているネズミ達に、長老のネズミがひと言
「そのアイデアは、とても良いとは思うけど、いったい誰が、猫の首に鈴を付けるんだね?」
長老のネズミの、
その一言で今まで浮かれていたネズミ達が急に静かになりました。
「そうだそうだ、誰があの獰猛なのに敏感な髭を持つ猫に近付いて鈴を付けるんだよ」
ネズミ達は、また振り出しに戻ってしまい、意気消沈しました。
すると、またまた長老のネズミが話し始めました。
「木を見て森を見ず、根本を見ないと駄目ってことじゃ」
「長老様、では、どうすれば良いのでしょう」
「元々は、お爺さんが生きていた時から、我々と戦い合っていたはずじゃが、半年前に、あんなに元気だったお爺さんがコロっと死んでしまった。
ここに、ヒントがあるんじゃないかね」
「と、言いますと」
「お婆さんが、一年前からお爺さんの食べ物に毎日、白い粉を振掛けていたが、あれがどうもお爺さんが亡くなった原因では、と思うのじゃ、あの粉を手に入れて、猫の飲む牛乳に入れれば、猫を殺すことが出来るのではないか、そっちの方が鈴を付けるより安全じゃよ」
「それなら、お婆さんがその白い粉を仕舞っている戸棚なら、直ぐ傍にもう一つの巣穴が開いているから用意出来ますよ」
「どうせなら、お婆さんが食べる食物やの飲み物にも振掛けたら、お婆さんも始末出来ますよ」
ネズミ達は、そう戦略が決まると、各自の役割分担を決めて、
嘗て無い情熱を胸に秘めて行動するのでした。
おしまい
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