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エピローグ

135 永遠の誓いをあなたと①

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 ハロウィン、クリスマス、お正月、バレンタイン。ラブホテルとしてはかきいれ時な様々なイベントごとが、季節とともに過ぎていった。

 バレンタインには、企画立案から実施まで任せてもらい、仕事面でもやりがいを見つけつつある。もちろん、大学も絵本作家になる夢もあきらめてはいない。

 春にはめでたく大学の最終学年に進むことができたし、仕事と大学の課題をこなす隙間時間ではあるけど、本格的な絵本製作も始めた。

 もともと絵本のアイデアは描きためたスケッチブック二十冊ほどのストックがあったから、それを形にして、WEBサイトや出版会社の公募にチャレンジしたり。今までの自己満足の世界から、一歩外の世界に足を踏み出した。

 だからと言って、『華々しく受賞! 新進気鋭の絵本作家への道が開けた!』とはいかないのは、厳しい現実だけど。

 でも、自分が描いた絵本を読んだ読者さんから、『心がほんわかしました』、『大好きな絵本です』、『ぜひ子供に読み聞かせます!』なんて感想をもらったりすると、がぜんやる気が湧いてきたりする。

 仕事と大学に本格的な絵本製作が加わり、『二足のわらじ生活』から『三足のわらじ生活』に進化した、忙しいけど充実したそんな毎日が過ぎていき、あっという間に季節は、あのインフルエンザ事件から一回りし、再び秋になった。

 そして、秋にしては春めいた温かい日差しが心地よい、大安吉日の今日。ホテルロイヤルの大ホールで、結婚披露宴が開催される。

 親族控室のドアの前で私は立ち止まり、大きく深呼吸をした。ドキドキしすぎて、心臓が口から飛び出しそう。今、この部屋の中には、祐一郎さんのご両親が来ている。

 祐一郎さんのお母さんの咲子さんは亡くなった母の親友だった人で、私が八歳の時まではお隣に住んでいたから、『きれいで優しい祐兄ちゃんちのおばさん』という記憶はある。でも、あれから十三年以上経っているし、祐一郎さんのお父さんの谷田部彰成さんに至っては一面識もない。

 緊張しすぎて、なにかやらかさないか心配だ。

「なんだ? おふくろとは面識あるんだから、そんなに緊張することないだろう? 親父のことは、まあ、適当にあしらってくれればいいから」

 苦笑気味に言う隣に立つ祐一郎さんを、ちらりと見上げれば、ほれぼれするくらいにカッコイイスーツ姿が目に入る。

――ああ、私、祐一郎さんの隣りに立って、見劣りしないかな。

 私は、いつぞやの接待食事会で祐一郎さんに買ってもらった一張羅のピンクのドレスに包まれた、自分の姿にぐるりと視線を巡らせる。

「心配するな、今日のお前は最高にカワイイよ」

 普段は絶対言わないセリフを耳元に落とされ、ぶわっと顔が上気する。

 なーぜー、今、言いますか?

 緊張に恥ずかしさがミックスされてしまい、頭の中がぐちゃぐちゃだ。

「ほら、中でみんなお待ちかねだ」

 祐一郎さんに促すようにポンと肩を抱かれて、私は覚悟を決める。祐一郎さんと一緒に人生を歩むのなら、これは避けては通れない道だ。

 よしっ。
 女は度胸だレッツゴー!

 私は、もう一度深呼吸してから、ドアを開いた。

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