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『狂いし蒼き太陽』

/愛しき輪廻17

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 「前も話しただろ? あいつが俺の過去を知るものだからだ」

 「その理由は、分かるが……他に理由があるような気がしてな」

ガウェインが前に語ったことは理解できた。

同じ境遇だから分かる。

だが、それだけで固執することもない。

考え方が違うと言われたらそれまでだが、昔馴染みというだけで全てを奪うというのは違うような気がしていた。

 「いいよ。話してあげる。だが、それで納得するかは分からんだろうがな」

そう言うとガウェインは焼け焦げた地面の元に歩き、そこに転がる大太刀を掴むとテオの方に投げた。

 「む?」

 「アンフェアは好きじゃない。お前とは対等に立ちたいだけだ」

大太刀を返した理由を話すとガウェインはテオを見つめた。

テオは大太刀を受けとると、大太刀を背に担いだ。

それを満足そうに見てガウェインは笑う。

歪んだ笑みではない。

そこには柔らかな、どこか安らかな表情があった。

 「俺がボールスを自分のものにしたい理由はな。ボールスと約束をしているからだ。ずっとずっと昔にな」

 「約束?」

 「そう、約束。ボールスもその約束を覚えているはずだよ。生まれ変わっても決して消えない場所にその記憶があるからな」

ガウェインがそう語る表情はひどく穏やかだった。

先程まで戦い、狂気を見せていたのが違うような気がするほど。

 「ボールスはその約束で俺を救ってくれた。酷く絶望していた俺をたった一言でだ。他の奴が口にしたら決して信じはしなかっただろう。あの言葉はボールスだからこそ意味があるし、真実味があるのだ」

ガウェインの言葉はボールスを深く信頼していると言えた。

だが、それは分かる気がする。

テオもボールスの言葉に偽りを感じず、そして、それを必ず実行する真っ直ぐな心があるのを知っている。

 「約束しよう……神に誓って裏切りはしない。君が死ぬまで側に居よう」

ガウェインはその言葉を大事そうに、噛み締めるようにゆっくりと、そして、今までよりも遥かに穏やかな声で呟いた。

 「ボールスの誓いの言葉だ」

その言葉を聞き、テオの胸がチクリと痛んだ。

なぜだと不思議に思う。

だが、解答を得ることはできない。

それは己の内に生じた痛みだからだ。

 「そして、俺が死ぬときボールスはその約束をきちんと守ってくれた。俺の体を血がつくのも構わずに抱きしめ、俺の死に涙を流していた」

それはガウェインの死の瞬間であった。
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