116 / 136
『狂いし蒼き太陽』
/愛しき輪廻02
しおりを挟むまるでそれを自分自身の罪というように。
背負わなくてもいい罪を背負う。
重く考えすぎだとテオは思う。
「謝るな。お前が悪いんじゃない。お前は何もしてない。それなのに自分自身を責めるな」
「ごめん……」
また、謝る。
だが、そう言ってもボールスを責めるだけだ。
「まぁ、あまり責めるな。それよりもこれをお前に返せと言っていたな」
テオはそう言うとあのロザリオを取り出す。
「シェムハザ……」
そっと手渡すとボールスはそれを胸に抱いた。
大切なものだということがよく分かる。
「神よ……感謝します」
そう言いながら右手で十字を切る。
神の象徴であり偶像。
「なぁ、ボールス。それは……危なくないのか?」
テオはガウェインがそのシェムハザを使っていたことを思い出した。
ボールスが持っていて危ないことはないのか?
使ったら?
「危ないって?」
「いや、ガウェイン・LORKが使っていた。だから、お前はあんな風にならないのかと」
「使った……?」
テオの言葉を聞き、ボールスは青ざめた。
「使ったの……?」
恐怖を感じているのか震えているようにも見えた。
「ガウェインは!? ガウェインは生きてるの!?」
それは死の恐怖。
使用者を死に至らしめる事をボールスは知っている。
そして、考えればテオを殺すと言っていたガウェインがここに来ずにテオが居ることに不安を感じた。
ガウェインの実力を知っている。
だからこそ、テオですら一筋縄ではいかないと感じていた。
逃げたのならいい。
でも、死んでしまっていたらと考える。
昔馴染みの仲間が死ぬこともボールスには耐えがたいことだった。
「安心しろ、何とかしたし、あいつも逃げたよ」
ボールスはテオのその言葉にほっとする。
「シェムハザは使い方を誤ると……ううん、違う、使用すると全ての命の魔力を吸われてまう。多大な力を使うためにその為の代償として支払わされるんだ」
ボールスはそのロザリオの下についた輪の連なったようなチャームを見つめる。
「怖いのは人の欲望。このシェムハザはよく人の欲望を理解している。誘い込み、使わせ、力を貪欲に奪っていく」
「そんなに危険なら捨てたらいいじゃないか」
テオはそんな武器をボールスが持っていることの方が気が気ではなかった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる