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『狂いし蒼き太陽』
/燃ゆる落日17
しおりを挟む「なぜ俺を助けた?」
ガウェインは地面に横になりながらテオに話しかけた。
動けないというように双眸だけを動かす。
「さぁな。どちらにしろ止めなきゃ俺が死んでた。勝手にしたことだ」
テオはそう言うと、シェムハザを拾う。
こんな恐ろしい武器が存在することに身震いがする。
捨ててしまうか?
その方がいいような気がする。
テオはシェムハザを遠くに投げ捨てようと構える。
「捨てるな」
だが、ガウェインがそれを制止する。
「お前、こんなもの持ってても……また暴走するだけだぞ」
テオは力の為にガウェインがシェムハザを欲しているのだと思った。
だが、それは間違いなく過ぎた力だ。
「違う。それは元々ボールスの所有物さ。返してやれ」
ガウェインはそう呟くと息を吐いて、深く呼吸をした。
少し、呼吸が荒いようにも思える。
それを整えるために深呼吸したようだ。
「何だと? こんな危険なものがボールスの持ち物だと言うのか?」
信じられなかった。
だが、アクセサリーをよく見ると神の象徴とも言える十字架がついていた。
ボールスがよく思案するときに胸に手持っていく。
そして、なにもないことに落胆する。
ロザリオを持っていたと溢していたのを覚えていた。
「そう。これはあいつにしか使えん。見届けし者特有の無限のヴィーダがそれを可能にしている」
ガウェインは手を閉じたり開いたりを繰り返す。
手に力が入るかを確かめているようだ。
「さっきから気になってるんだかな、そのヴィーダとはなんだ?」
聞きなれない言葉にテオはガウェインに質問していた。
だが、ガラティンやシェムハザを使うのに使うものだということは想像できる。
「この時代では旧時代の遺物さ。最もそれは着実に生きとし生けるものすべての人間が保有しているものだ」
ガウェインはひとつ息を吐く。
「それは命の魔力。体を動かすのにも声を出すのにも、生活し生きていくために必ず必要なものだ。それが欠損していると、満足に体を動かせない。だが、そんなやつでも必ず存在するのがヴィーダ」
「命の魔力ヴィーダ……」
テオは拳を握り、開いた。
動かすのに必要なもの。
ストレンジャーである自分はそのヴィーダとやらが存在するのだろうかとふと考える。
「知らなくても、分からなくても気にすることはない。もはや、皆が忘れているものだ。知らなくても生活できるのだから問題はない」
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