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『狂いし蒼き太陽』
/過去からの来訪者15
しおりを挟む「ひとまず、情報収集だな。大きな街だ。王の一つや二つ噂くらいは聞けるだろう」
テオはオートミールを食べながらそう話した。時おり、スプーンを動かしオートミールとミルクを混ぜている。
「でも、王が自分の正体を探ろうとしているものを徹底的に排除しているとしたら難しいと思う」
ボールスも同じようにオートミールを口に運んだ。
「それでも姿がない訳じゃない。必ず情報があるさ」
「心配してるのはそういうことじゃないよ」
ボールスは困ったような顔でテオを見た。
「む?」
「我達が探していることを知れば王が黙っていないのではないかと言うこと」
「一理あるが、王はどうやってこんな人が多くてゴミごみしてる場所から探してる奴を探すんだ?」
テオはまた一口、オートミールを口に運ぶ。オートミールが牛乳に溶けて、ふにゃふにゃとした食感が口の中に広がる。
「分からないけど、用心した方がいいと思う。王にはウシュックの光がある」
「前から気になっていいたんだが、そのウシュックの光ってどう言うものなんだ?」
テオのその質問にボールスはスプーンを置いた。
「ウシュックの光は……」
不意にボールスの肩が震えていた。
恐怖。
「ウシュックの光は場所もなにも関係ない……突然やって来る。どんなに遠い位置からでも放たれているような気がするし、近い気もする。あれを神の所業とは言わない。あれは悪魔の所業だ」
何かを思い出し、吐き出すようにこぼした。テオはそっとスプーンを置くと、テーブル越しにボールスの頭を撫でた。
「気を付けながらやるさ」
そんな言葉しか出てこなかったが、ボールスは静かにテオの頭を撫でる手に身を任せている。
「何はともあれだ、この街は奴隷も自由に歩き回っている。お前も街に出てみるか?」
「一人で待つよりかは……」
不安そうにテオを見つめる。
「む……」
一人にされて酷い目にあったことがどうも引っ掛かっているようだ。
「それに体を動かしたい。ずっと馬車の中に籠ってたから」
申し訳なさそうにボールスは付け加えた。
「そうだな。とりあえず、ご飯食べよう」
テオは手を離すと、再びオートミールを食べはじめた。それを見てボールスもスプーンを手に取り、オートミールを食べた。
テオはちらりとボールスを見る。こんな穏やかな時間が続けばいい。そう思った。
………
……
…
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