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『男と奴隷の少年』

『男と奴隷の少年』/05

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男は少年の部屋へ入る。

だが、男は入り口で足を止めた。

少年の姿がまるで青年のように見え、その後ろに真っ黒い服を着た男が居た。そして、黒い服の男は背中から真っ黒い羽を散らし、少年だった青年の頭を押さえつけているようにも見えた。

真っ黒い服の男はゆっくりと入口に立つ男の方を見る。

瞬間に走る、圧力。ビリッとした重い空気に、気圧されそうになる。男は拳を握り、負けじと奥歯を強く噛む。

 「まだ、何か用ですか?」

だが、その言葉に男はまるでハッとなる。目の前には泣いているようだが先程より落ち着いたのか、男の姿を見て少年がそう話しかけてきたのだ。

一瞬、少年が大人の姿に見えた。そして、背後に居た『アレ』はーー。

狐に化かされたみたいだ。

男はそう思いながら、手のひらのリスを少年に見せる。

 「いや、リスを……」

リスはピヨョと鳴き、壁を伝って鉄格子へと走り、外へ出ていった。少年はリスがかけていくのを見て、再び膝に頭を埋めた。

もう話をする気はないようだ。

それを確認して男は少年を残し、部屋を出ていった。
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