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第324話
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ゴーレム系統の魔物が使う特殊な魔法、それは自身の身体を構成する土・岩石などを自由自在に扱うというもの。土や岩を操る点の攻撃から、大規模な地形操作による面での攻撃など、色々な状況に対応できる応用力を有している魔法だ。
それだけでなく、相手の攻撃・魔法によって自身の身体が傷ついたり欠損したとしても、周囲の地面などから土・岩石・金属を抽出する事で、傷ついたり欠損している部分を再生させる事も可能なのだ。
他の魔物にはない特殊な身体、さらに加えてゴーレムの特殊な魔法が組み合わさる事で、異常なまでの硬さと優れた再生能力を併せ持つ、非常にタフな戦士となるのだ。
「ジャック爺、あいつから核の魔石を感じ取れる?」
「問題なく感じれておる。じゃが――――」
「魔人となった私ならば、核である魔石の位置を動かすなど造作もない事です。それに核の位置を知られた所で、貴方たちにはそれに触れる事すら出来ませんがね」
継戦能力の高いゴーレム系統の魔物を手っ取り早く倒す方法が、目の前のゴーレムの魔人となった男の核、それを修復不可能なまでに完全に破壊する事である。
野生のゴーレムやダンジョンに出てくるゴーレムなど、ゴーレム系統の魔物の弱点となるのは核であり、倒すには存在の核となる魔石を身体から切り離すか、修復不可能なまでに完全に破壊するかの二択となる。
だが高ランクのゴーレムともなると、例え核に中途半端に傷を付けたとしても、魔力によってその傷を修復されてしまう。目の前の男が融合したミスリルゴーレムも、他の高ランクのゴーレムたち同様に核の修復能力が高い。なので少しずつ傷を付けていくのではなく、一気に修復不可能な状態に追い込んで破壊しなければならない。
「まだまだ、休む暇も与えません」
ミスリルゴーレムと融合した男は、ミスリルの両手に魔力を纏わせて、そっと地面へと手を添える。添えた両手から、魔力が地面へと染み渡る様に広がっていく。そして魔力が広範囲に広がり切ると、敷き詰められた石畳がグニャリと急速に形を変えて、先端を鋭利に尖らせた針となって襲い掛かってくる。
「その剣で切ろうとしても無駄ですよ。魔人となった私の新たな魔法によって、この石畳はミスリルへと変質していますから」
余裕の笑みを浮かべながら、ミスリルゴーレムと融合した男は言う。魔人という新たな種に生まれ変わり、ミスリルゴーレムの特殊な魔法を使える様になった事で、粗暴な男の様に無敵になったとでも勘違いしているのだろう。
(俺やジャック爺にしてみれば、ミスリル系の魔物は魔境でいくらでも相手にしてきたからな。ミスリルを切り裂くのは特に難しい事じゃない)
「ウォルター、任せるぞ」
「任せてよ」
ジャック爺の信頼の言葉に、俺は自信をもって任せて欲しいと答える。右手に持つロングソードの刃に攻勢の魔力を纏わせ、左手に攻勢の魔力で生み出したロングソードを持ち、迫りくる幾つものミスリルの針を迎え撃つ。
「まずは一人、串刺しですね」
「――――――!!」
必要最小限の動きで身体を動かし、右手に持つロングソードと、左手に持つ魔力で構成したロングソードを振るい、息つく間もなく襲い掛かってくるミスリルの針を切り裂き続けた。そして最後の一針を切り裂き終わった時、それを見ていたジャック爺は、見事といった様子で俺に微笑んでくれる。
「な、なんだと!?」
「このくらいなら、ウォルターも余裕じゃの」
「まあ、これくらいならね」
「ふ、フザケルナ!!魔人に至った私を、――――舐めるな!!」
ミスリルゴーレムと融合した男は、感情を昂らせて魔力を急速に高めていく。そして、高めた膨大で濃密な魔力を、再び両手から石畳へと染み渡らせる様に広げていく。
「次は針程度ではありません。竜の顎にその身を喰われなさい!!」
先程は石畳一つ一つがミスリルの針へと変質していたが、今度は変質したミスリルが集まって一つの大きな塊となり、それが竜の頭部へと変化して襲い掛かってきた。
それだけでなく、相手の攻撃・魔法によって自身の身体が傷ついたり欠損したとしても、周囲の地面などから土・岩石・金属を抽出する事で、傷ついたり欠損している部分を再生させる事も可能なのだ。
他の魔物にはない特殊な身体、さらに加えてゴーレムの特殊な魔法が組み合わさる事で、異常なまでの硬さと優れた再生能力を併せ持つ、非常にタフな戦士となるのだ。
「ジャック爺、あいつから核の魔石を感じ取れる?」
「問題なく感じれておる。じゃが――――」
「魔人となった私ならば、核である魔石の位置を動かすなど造作もない事です。それに核の位置を知られた所で、貴方たちにはそれに触れる事すら出来ませんがね」
継戦能力の高いゴーレム系統の魔物を手っ取り早く倒す方法が、目の前のゴーレムの魔人となった男の核、それを修復不可能なまでに完全に破壊する事である。
野生のゴーレムやダンジョンに出てくるゴーレムなど、ゴーレム系統の魔物の弱点となるのは核であり、倒すには存在の核となる魔石を身体から切り離すか、修復不可能なまでに完全に破壊するかの二択となる。
だが高ランクのゴーレムともなると、例え核に中途半端に傷を付けたとしても、魔力によってその傷を修復されてしまう。目の前の男が融合したミスリルゴーレムも、他の高ランクのゴーレムたち同様に核の修復能力が高い。なので少しずつ傷を付けていくのではなく、一気に修復不可能な状態に追い込んで破壊しなければならない。
「まだまだ、休む暇も与えません」
ミスリルゴーレムと融合した男は、ミスリルの両手に魔力を纏わせて、そっと地面へと手を添える。添えた両手から、魔力が地面へと染み渡る様に広がっていく。そして魔力が広範囲に広がり切ると、敷き詰められた石畳がグニャリと急速に形を変えて、先端を鋭利に尖らせた針となって襲い掛かってくる。
「その剣で切ろうとしても無駄ですよ。魔人となった私の新たな魔法によって、この石畳はミスリルへと変質していますから」
余裕の笑みを浮かべながら、ミスリルゴーレムと融合した男は言う。魔人という新たな種に生まれ変わり、ミスリルゴーレムの特殊な魔法を使える様になった事で、粗暴な男の様に無敵になったとでも勘違いしているのだろう。
(俺やジャック爺にしてみれば、ミスリル系の魔物は魔境でいくらでも相手にしてきたからな。ミスリルを切り裂くのは特に難しい事じゃない)
「ウォルター、任せるぞ」
「任せてよ」
ジャック爺の信頼の言葉に、俺は自信をもって任せて欲しいと答える。右手に持つロングソードの刃に攻勢の魔力を纏わせ、左手に攻勢の魔力で生み出したロングソードを持ち、迫りくる幾つものミスリルの針を迎え撃つ。
「まずは一人、串刺しですね」
「――――――!!」
必要最小限の動きで身体を動かし、右手に持つロングソードと、左手に持つ魔力で構成したロングソードを振るい、息つく間もなく襲い掛かってくるミスリルの針を切り裂き続けた。そして最後の一針を切り裂き終わった時、それを見ていたジャック爺は、見事といった様子で俺に微笑んでくれる。
「な、なんだと!?」
「このくらいなら、ウォルターも余裕じゃの」
「まあ、これくらいならね」
「ふ、フザケルナ!!魔人に至った私を、――――舐めるな!!」
ミスリルゴーレムと融合した男は、感情を昂らせて魔力を急速に高めていく。そして、高めた膨大で濃密な魔力を、再び両手から石畳へと染み渡らせる様に広げていく。
「次は針程度ではありません。竜の顎にその身を喰われなさい!!」
先程は石畳一つ一つがミスリルの針へと変質していたが、今度は変質したミスリルが集まって一つの大きな塊となり、それが竜の頭部へと変化して襲い掛かってきた。
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