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第291話

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 アモル教教皇とローラ嬢が手を組み、アルベルト殿下を通じて王族へと魔の手を伸ばし始め、愚かな選択をした一部の王族たちが活発に裏の活動を始めた。しかし、王族全体が暗き闇側に手を貸している訳ではない。アイオリス王国のトップである陛下や王妃も、今の所はまだ暗き闇側ではない。だがそれも、時間の問題かもしれないがな。
 そんな状況ではあるが、王族たちの裏の活動が活発になった事によって、寧ろ俺たちにとってありがたいといった状況になっている。王族たちも教皇と同様に、永遠の命というものを自分たちで独占しようとしている為、最側近のごく少数の人間にしかこの話をしていない。なので、王族としての権威による大規模な動きを取る事が出来ず、自分たちだけでコソコソと色々動いている。
 しかし、今まで何かをする時したい時には、側近たちやへつらう者たちに丸投げだったために、自分たちでは何かをする事が出来ずにもたもたしているのだ。その事もあって、俺たちだけでなくアイオリス王家に仕える影の者たちにも、一部の王族たちが何かをしている事はバレている。ただ影の者たちは、一部の王族たちが何かをしている事は知っていても、何を目的に動いているのかは現状の所掴めてはいない様だ。

「アイオリス王家の影の者たちには、然るべき時がきたら、その時にこちらの持つ情報を伝える事になるな」
「王家の影の者たちが敵に回る可能性も残っている以上、迂闊うかつに接触する事すらも危険よ。こちらも慎重に動いているから、不用意に危険リスクおかす必要もないわ」
「状況を見つつ、臨機応変に動く事が肝心かんじんですね」

 アイオリス王家の影の者たちが敵になるか味方になるかは、正直に言って陛下と王妃の動き次第といった所だ。陛下と王妃が永遠の命を得るという愚かな選択をすれば、王家の影の者たちに色々と命令を下し、暗き闇側に手を貸す様に動く方向に進む。だが逆に陛下も王妃もその選択をしないのであれば、王家の影の者たちに王族たちの監視を命じて、王族たちの動きの全てを情報収集させる方向に進むだろう。
 アルベルト殿下や側近たちについて、陛下にも王妃にも思う所はある。それを抜きにしても、国のかじを取るトップとして、正しい判断をしてほしいと願っている。まあアルベルト殿下や側近たちの件から考えると、それも期待薄といった感じだがな。

(どんな世界であっても、女性というのは若さや美貌びぼうを求める。陛下が正しい判断を下したとしても、王妃もそうだとは限らない)

 永遠の命を得る事が出来るのなら、永遠の若さも手に入る可能性が高いと、王妃や王族の女性たちも考えるだろう。そしてそれが可能だという事が判明した時、王妃を筆頭にした王族の女性たちが、永遠の若さを手に入れる為に暴走し始めるのは想像にかたくない。最悪、陛下と王妃が対立して国が割れる。
 国が割れて内乱状態に陥れば、暗き闇側にとって寧ろ好都合となる。混乱や戦乱に乗じて、自分たちの思う様に動く事が出来る様になるからだ。だからこそ、国が割れる事は出来るだけ避けたいというのが、皆の共通意見としてある。
 だが、もしも国が割れる事になったとしたら、覚悟を決めて敵となった者たちを切り伏せよう。例え未來でどんな風に言われたり書かれたりしようとも、守るべきものを守る為に、俺たちは全力を尽くして今を生きるだけだ。
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