誰もシナリオを知らない、乙女ゲームの世界

Greis

文字の大きさ
上 下
279 / 348

第279話

しおりを挟む
『教皇は、何時暗き闇と接触したんでしょうか?』
『恐らくですが、教会内にある教皇を含めた上の地位にいる者たちが使う場所、もしくは教皇の執務室の様な個人的に使っている部屋でしょう』
『アモル様は、何か異変を感じた事は?』
『恥ずかしながら、今まで一度も。もしかしたらですが、ここ数日の忙しくしている時を見計らい、暗き闇が仕掛けてきたとしか……』
『なる程。アモル様も忙しそうにしていましたからね。狙い目があるとすればそこでしょうね。そして、暗き闇は教皇に接触した。アモル教の教皇が、暗き闇に協力する理由として考えられるのは……』
『アモル教の教皇の一族として、小さき頃から莫大な財と恵まれた環境があり、教皇となって強大な権力を有している。そんな一国の王族の様な立場の人間が、さらに何かを望むのかといえば…………』
『遥か昔から存在する、どんな世界であろうとも権力者たちが求めるものであり、欲深き人間の最も業の深い望み。――――永遠の命』
『……間違いないでしょう。教皇は永遠の命を求め、暗き闇と取引をする事を決断した。そして自身の願いを叶える為に、自分の使える力の全てを使って積極的に行動し、取引相手である暗き闇の力となっている』

 永遠の命・若さ・美貌などなどは、人という存在の宿命である寿命や老いから逃れる為に、時の権力者たちや研究者たちが追い求めてきたもの。だが、科学技術や学問の進んでいた前世の地球であっても、人間の老化現象や細胞分裂を止める事に成功したというのは、俺が生きていた間に聞いた事は一度もなかった。
 剣と魔法のファンタジー世界、乙女ゲームの世界であろうこの世界において、魔法技術がどこまで進んでいるのか分からない。歴史書から絵本など様々な種類の本を読んできたが、人間が不老や不死という存在に至ったという記述きじゅつは、ただの一度も目にする事はなかった。つまり、別ベクトルで進化してきた世界であっても、人間が不老不死という化物になる事は出来ないという事だ。

『どうしますか?アモル教の教皇が暗き闇と通じていると情報は、転生者であるイザベラとクララ以外には衝撃が大きすぎると思うんですが……』
『そうですね。この事はイザベラやクララにのみ先に伝え、一人一人順番に伝えるか、二人一組で伝えていく事にしましょう。伝えた人たちの様子もしっかりと見つつ、伝えた者の中に精神的に問題が出そうならば、時間をおいてから伝える方向で切り替えましょう』
『分かりました。イザベラとクララの次に伝えるとしたら、マルグリットとナタリーか、カノッサ公爵夫妻と考えていますが、アモル様はどう考えていますか?』
『マルグリットとナタリーにしましょう。ローゼンとアンナでもいいのですが、やはりウォルターたちよりも長く生きている分、アモル教や教皇に対する敬意が強いですから』
『了解です』

 カノッサ公爵夫妻に伝える時もそうだが、その上の世代であるジャック爺やローザさんたちに伝える時も、色々と気を付けながら伝えないといけないな。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...