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第265話
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彼ら彼女らが取った今後を明確に決定付ける動きとは、ローラ・ベルナールという人間の言動を支持し、貴族令嬢三人を徹底的に責め立て、権威による圧力をかける事だった。しかしそれは、色々な意味で失敗であると言わざるを得ないし、知らないとはいえ棺桶に自分から片足を突っ込むような行為だと断言出来る。
ローラ・ベルナールは、どの様な手段を用いたのか分からないが、暗き闇やそれに付き従う者たちと接触した。そして、自分の欲望を叶える為に暗き闇と取引、もしくは契約を結んだ事で力を得た。さらに、その力をアモル神から授かった力だと真っ赤な嘘を付き、アモル神が愛した聖女ジャンヌの生まれ変わりにして、正当な後継者であると宣言した大罪人だ。
そんなローラ嬢の言動を支持したという事は、真実を知る知らないに関わらず、ローラ嬢の悪意が明るみになった時に大きな代償を支払う事となる。一神教であるアイオリス王国が信仰する、愛の神たるアモル神に授かった力であると騙り、さらには聖女ジャンヌの生まれ変わりにして正当なる後継者であると騙ったのだ。それらの行いの全てが、絶対に越えてはならない一線を越えている。
そんな一線を越えたローラ嬢側に立ったという事は、アモル神と真っ向から敵対するという事であり、暗き闇側に与したと考えていいだろう。彼ら彼女らと戦場で出会う時、それは互いに背中を預け合う味方同士という訳ではなく、血で血を洗う殺し合いをする敵として出会う事になる。そして敵として出会ったのならば、イザベラたちやアモル神の為にも、その相手を殺してでも必ず勝利しなければならない。…………例え、誰が相手であったとしても。
「貴女方のお誘いは大変嬉しいのだが、聖女であるローラと敵対している貴女方の事を、我々は好意的には見ていない」
「であるからこそ、そのお誘いを受ける訳にはいかない」
「貴女たちも、聖女ローラの機嫌を損ねない内に、素直に引いた方がいいと思うよ」
「「「………………」」」
貴族令嬢三人の前に立つ、セドリック・フレデリック・マルク殿たちもまた、ローラ嬢を崇めている者たちと同様であった。ローラ嬢の切り札である権威による脅しに乗っかり、ローラ嬢に敵対している女豹たち貴族令嬢連合に対して攻撃し、尚且つ自分たちの熱き恋心を盛大にアピールした。沈黙を貫いていたアルベルト殿下も、愛しいローラ嬢と敵対している貴族令嬢連合には当然だが好意的ではなく、セドリック殿の発言に対しては同意の姿勢をとっている。それらを見た貴族令嬢三人は、滾らせていた熱を静めて、小さく短いため息を静かに零した。
「どうやら、彼女たちも諦めの決心がついた様ね」
「強い野心があっても相手があれじゃあね」
「恋は盲目といいますけど、流石にあれは酷過ぎますね」
「彼女たちは皆優秀ですから、強い野心さえ抱かなければ、良いお相手に恵まれると思うんですが……」
「問題は、その強い野心が捨てられるかといった所かしら。もし本当に強い野心を捨てられるのなら…………」
イザベラがそのまま何かを考える様に、続く言葉を発する事はない。だが、何を言いたのかは俺にも分かる。俺にとっては評価の低い女性たちだが、それは強い野心による行動を見ていたのが大きく関係している。その強い野心そのものがなくなり、イザベラたちの知る優秀なデキる女性へと立ち返る事が出来たのなら、俺たちも安心して手を差し伸べる事が出来る。だからこそ、一刻も早く強い野心を捨て去ってくれる事を願う。
ローラ・ベルナールは、どの様な手段を用いたのか分からないが、暗き闇やそれに付き従う者たちと接触した。そして、自分の欲望を叶える為に暗き闇と取引、もしくは契約を結んだ事で力を得た。さらに、その力をアモル神から授かった力だと真っ赤な嘘を付き、アモル神が愛した聖女ジャンヌの生まれ変わりにして、正当な後継者であると宣言した大罪人だ。
そんなローラ嬢の言動を支持したという事は、真実を知る知らないに関わらず、ローラ嬢の悪意が明るみになった時に大きな代償を支払う事となる。一神教であるアイオリス王国が信仰する、愛の神たるアモル神に授かった力であると騙り、さらには聖女ジャンヌの生まれ変わりにして正当なる後継者であると騙ったのだ。それらの行いの全てが、絶対に越えてはならない一線を越えている。
そんな一線を越えたローラ嬢側に立ったという事は、アモル神と真っ向から敵対するという事であり、暗き闇側に与したと考えていいだろう。彼ら彼女らと戦場で出会う時、それは互いに背中を預け合う味方同士という訳ではなく、血で血を洗う殺し合いをする敵として出会う事になる。そして敵として出会ったのならば、イザベラたちやアモル神の為にも、その相手を殺してでも必ず勝利しなければならない。…………例え、誰が相手であったとしても。
「貴女方のお誘いは大変嬉しいのだが、聖女であるローラと敵対している貴女方の事を、我々は好意的には見ていない」
「であるからこそ、そのお誘いを受ける訳にはいかない」
「貴女たちも、聖女ローラの機嫌を損ねない内に、素直に引いた方がいいと思うよ」
「「「………………」」」
貴族令嬢三人の前に立つ、セドリック・フレデリック・マルク殿たちもまた、ローラ嬢を崇めている者たちと同様であった。ローラ嬢の切り札である権威による脅しに乗っかり、ローラ嬢に敵対している女豹たち貴族令嬢連合に対して攻撃し、尚且つ自分たちの熱き恋心を盛大にアピールした。沈黙を貫いていたアルベルト殿下も、愛しいローラ嬢と敵対している貴族令嬢連合には当然だが好意的ではなく、セドリック殿の発言に対しては同意の姿勢をとっている。それらを見た貴族令嬢三人は、滾らせていた熱を静めて、小さく短いため息を静かに零した。
「どうやら、彼女たちも諦めの決心がついた様ね」
「強い野心があっても相手があれじゃあね」
「恋は盲目といいますけど、流石にあれは酷過ぎますね」
「彼女たちは皆優秀ですから、強い野心さえ抱かなければ、良いお相手に恵まれると思うんですが……」
「問題は、その強い野心が捨てられるかといった所かしら。もし本当に強い野心を捨てられるのなら…………」
イザベラがそのまま何かを考える様に、続く言葉を発する事はない。だが、何を言いたのかは俺にも分かる。俺にとっては評価の低い女性たちだが、それは強い野心による行動を見ていたのが大きく関係している。その強い野心そのものがなくなり、イザベラたちの知る優秀なデキる女性へと立ち返る事が出来たのなら、俺たちも安心して手を差し伸べる事が出来る。だからこそ、一刻も早く強い野心を捨て去ってくれる事を願う。
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