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第252話
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一番初めに着てみたのは、軽めにカジュアルからいこうという事にして、シンプルなダークスーツからにした。テントの中に用意されている更衣室の中に入り、身に纏っている騎士服を脱いで、ハンガーにかけてシワにならない様に綺麗に形を保っておく。
下着姿になった俺は、まずはスーツのズボンを手に取って穿いていく。傷つけない様に丁寧に扱いながらズボンを穿ききると、少しだけ余裕のあった腰回りなどが、体型にピッタリと合う様に自然と縮まっていく。最適なサイズとなったズボンは、違和感もなく快適そのものだ。
今回お披露目の為に持ってきた服やアクセサリーには、ジャック爺とカトリーヌとローザさん、それからナターシャ魔道具店の優秀な魔道具師たちが協力して生み出した魔法である、自動調整の魔法がかけられている。この魔法がかけられた服やアクセサリーは、身に付けたり纏ったりすれば自動的に発動し、その者に最適なサイズへと変化する。
この自動調整の魔法については、元々はイザベラとクララが考えていたものだ。だがイザベラとクララの二人の力と、公爵家に仕える魔法使いたちの力を持ってしても、遅々として進む事はないままでいた。そんな中で俺やカトリーヌと出会い、ジャック爺やローザさんに出会った事で、自動調整の魔法について一気に進み、何年もかかった魔法が完成した。
(前世にもこの魔法があれば、もっと色んな人が、色んなファッションを楽しめただろうにな)
自動調整の魔法の様な科学力が地球にあれば、どんな体型の人であっても色々な服を好きな様に着る事が出来て、日々の生活をより楽しむ事が出来るだろう。
イザベラやクララは、前世での友人にそういった悩みを持つ女性がいた事から、自動調整の魔法を開発しようと力を入れていたそうだ。魔法にも出来る事の限界はあれど、科学に比べて自由な発想で効果を発揮する事が出来る。そして、実際にこうして効果を実感すると、その便利さに感嘆の気持ちを抱く。
ベルトを締め、ワイシャツを着込んでネクタイを締め、最後にジャケットを着て姿見に映る自分を見る。前世の頃の肉体と違い、今世は生き残るためにと徹底的に鍛えてきたので、全体的な印象がよりスッキリしている様に見えるな。
(時間もない事だし、どんどん違うものを試していくか)
違うタイプのジャケットやネクタイ、それからワイシャツなども着てみて、色々なものに着替えては試していく。
様々な色や柄があるが、俺が気に入ったのは前世の頃から好きだった、黒や青といった寒色系の色のものだ。周囲から目立たない様に心がけ、浅く広い付き合いよりも、狭く深い付き合いが合っていた。その事が影響して、身に着けるものや身に纏う服については、派手な色や暖色系のものに自分から好んで手を出す事はなかった。
色々と試していった中で、最も気に入った組み合わせに再び着替え、テント内を楽しそうに、はしゃぎながら見ているイザベラたちに声を掛ける。主観的なものだけでなく、愛しい婚約者であるイザベラたちや、本職であり目の肥えている仕立て屋さんたちから、コーディネートについておかしくないか意見を聞きたいからだ。
そう考えて声を掛けたイザベラたちは、俺の呼びかけでこちらに振り返ったと思ったら、少し離れた位置にいた所から一気に距離を詰めてきた。そして、ジッと俺の全身を見つめた後に、全員で俺に向かってグッドサインを送ってくれた。
『大変よくお似合いです』
「……どうもありがとう。とても嬉しいよ」
下着姿になった俺は、まずはスーツのズボンを手に取って穿いていく。傷つけない様に丁寧に扱いながらズボンを穿ききると、少しだけ余裕のあった腰回りなどが、体型にピッタリと合う様に自然と縮まっていく。最適なサイズとなったズボンは、違和感もなく快適そのものだ。
今回お披露目の為に持ってきた服やアクセサリーには、ジャック爺とカトリーヌとローザさん、それからナターシャ魔道具店の優秀な魔道具師たちが協力して生み出した魔法である、自動調整の魔法がかけられている。この魔法がかけられた服やアクセサリーは、身に付けたり纏ったりすれば自動的に発動し、その者に最適なサイズへと変化する。
この自動調整の魔法については、元々はイザベラとクララが考えていたものだ。だがイザベラとクララの二人の力と、公爵家に仕える魔法使いたちの力を持ってしても、遅々として進む事はないままでいた。そんな中で俺やカトリーヌと出会い、ジャック爺やローザさんに出会った事で、自動調整の魔法について一気に進み、何年もかかった魔法が完成した。
(前世にもこの魔法があれば、もっと色んな人が、色んなファッションを楽しめただろうにな)
自動調整の魔法の様な科学力が地球にあれば、どんな体型の人であっても色々な服を好きな様に着る事が出来て、日々の生活をより楽しむ事が出来るだろう。
イザベラやクララは、前世での友人にそういった悩みを持つ女性がいた事から、自動調整の魔法を開発しようと力を入れていたそうだ。魔法にも出来る事の限界はあれど、科学に比べて自由な発想で効果を発揮する事が出来る。そして、実際にこうして効果を実感すると、その便利さに感嘆の気持ちを抱く。
ベルトを締め、ワイシャツを着込んでネクタイを締め、最後にジャケットを着て姿見に映る自分を見る。前世の頃の肉体と違い、今世は生き残るためにと徹底的に鍛えてきたので、全体的な印象がよりスッキリしている様に見えるな。
(時間もない事だし、どんどん違うものを試していくか)
違うタイプのジャケットやネクタイ、それからワイシャツなども着てみて、色々なものに着替えては試していく。
様々な色や柄があるが、俺が気に入ったのは前世の頃から好きだった、黒や青といった寒色系の色のものだ。周囲から目立たない様に心がけ、浅く広い付き合いよりも、狭く深い付き合いが合っていた。その事が影響して、身に着けるものや身に纏う服については、派手な色や暖色系のものに自分から好んで手を出す事はなかった。
色々と試していった中で、最も気に入った組み合わせに再び着替え、テント内を楽しそうに、はしゃぎながら見ているイザベラたちに声を掛ける。主観的なものだけでなく、愛しい婚約者であるイザベラたちや、本職であり目の肥えている仕立て屋さんたちから、コーディネートについておかしくないか意見を聞きたいからだ。
そう考えて声を掛けたイザベラたちは、俺の呼びかけでこちらに振り返ったと思ったら、少し離れた位置にいた所から一気に距離を詰めてきた。そして、ジッと俺の全身を見つめた後に、全員で俺に向かってグッドサインを送ってくれた。
『大変よくお似合いです』
「……どうもありがとう。とても嬉しいよ」
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