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第213話
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「ジャン、マーク、久しぶりだな。急な事で、色々と説明出来ないままで申し訳なかったな。マリー嬢もソレーヌ嬢も、今日は来てくれてありがとう。」
「いや、それについては事情が事情だから仕方ないだろう。大体の事はマリーから聞いているから、そこまで気にしなくてもいい」
「そうだぞ。俺の方もソレーヌから逐一情報を貰ってるから、状況はしっかりと把握出来ているから安心しろ。寧ろあの状況で迅速に行動しなかったら、上の連中に先手打たれてたのは間違いないんだ。もし俺たちが同じ立場だったとしても、ウォルターと同じ行動をしたさ」
「イザベラ様たちを守るために、愛している方の為に行動したウォルターさんに、文句など一つもありませんよ」
「私たちより高貴な方々が相手ですから、何を仕掛けてきたか分かりません。ウォルターさん自身の安全も含めて、イザベラ様の騎士となるという選択は正解であったと思います」
久々に会った友人であるジャンやマーク、それにマリー嬢やソレーヌ嬢もそう言ってくれる。ジャンもマークも元気そうであり、友人の変わらぬその姿に内心でホッと安堵の息を漏らす。皆には突然の事で心配をかけたが、王族に対抗する為にした迅速な行動について、ちゃんと理解してもらえていたみたいだ。その事にも一安心して、皆の気持ちに対して俺は頭を下げて感謝を伝える。
「皆、ありがとう。そう言ってくれると助かるよ」
「それで、今日俺たちをカノッサ公爵家の屋敷に招待したって事は、色々と報告していくれるって事でいいんだよな?」
「ああ、そうだ。それにナタリーとの事以外にも、皆に知っていおいてもらいたい事がある」
「聞かせてくれ」
「じゃあまずは、ナタリーとアルベルト殿下についてだ。マリー嬢やソレーヌ嬢かも聞いていると思うが、もう一度こちらから報告させてくれ。あの決闘の後、……」
俺はアルベルト殿下や側近たちとの決闘から今日に至るまでの事を、丁寧に分かりやすく説明していった。ジャンやマークは、決闘の勝敗の結果に素直に従っている事に驚き、今はマルグリットの妹であるローラに熱を上げている事にさらに驚く。そして、最新情報でもある婚約破棄についての情報も教えていった。
「おいおい。失恋して傷ついている気持ちは分からんでもないが、流石にそれはちょっと節操なさ過ぎだろ」
「しかも相手がマルグリット嬢の妹さんって、…………もしかしてそういった感じなのか?」
「ああ、恐らくな。当主や家の考えなのか、彼女個人の思惑なのかは分からないがな」
「マジかよ」
「それはまた、魔法学院や社交界に嵐が吹き荒れそうだな」
「最近の魔法学院での大きな話題は、ローラ様とアルベルト殿下たちの親密ぶりに、側近の皆様の婚約破棄についてですね」
「ローラ様に関しては、元々アルベルト殿下に気があるのは分かっていましたから、恐らくこうなるだろうと私たちは予想していました」
「やっぱりそうですよね。見るからにあからさまですし、アルベルト殿下に向ける視線があれですしね」
「ローラ様は毒婦です。マルグリット様のいじめに関しても、アルベルト殿下たちの気を引くための虚言だらけでしたし、正直あれ程性根の腐った方は初めて見ました」
「マルグリット様がカノッサ公爵家からいなくなった今、抑えていた欲望が溢れ出したかの様に、公爵家の権力をちらつかせて魔法学院で好き勝手していますからね」
「いずれまた、大きな騒ぎを引き起こす事になると思いますよ」
そう語るマリー嬢とソレーヌ嬢の顔は真剣そのもので、ローラ嬢の暴走が酷くなっていくという確信がある様だ。女の直感というものが働き、そういう風に感じているのだろう。これに関して俺もイザベラたちも同意見で、魔法学院で見かけるローラ嬢の様子から、ジャンの言う様に王都にもう一波乱起こる事は間違いないだろう。
「いや、それについては事情が事情だから仕方ないだろう。大体の事はマリーから聞いているから、そこまで気にしなくてもいい」
「そうだぞ。俺の方もソレーヌから逐一情報を貰ってるから、状況はしっかりと把握出来ているから安心しろ。寧ろあの状況で迅速に行動しなかったら、上の連中に先手打たれてたのは間違いないんだ。もし俺たちが同じ立場だったとしても、ウォルターと同じ行動をしたさ」
「イザベラ様たちを守るために、愛している方の為に行動したウォルターさんに、文句など一つもありませんよ」
「私たちより高貴な方々が相手ですから、何を仕掛けてきたか分かりません。ウォルターさん自身の安全も含めて、イザベラ様の騎士となるという選択は正解であったと思います」
久々に会った友人であるジャンやマーク、それにマリー嬢やソレーヌ嬢もそう言ってくれる。ジャンもマークも元気そうであり、友人の変わらぬその姿に内心でホッと安堵の息を漏らす。皆には突然の事で心配をかけたが、王族に対抗する為にした迅速な行動について、ちゃんと理解してもらえていたみたいだ。その事にも一安心して、皆の気持ちに対して俺は頭を下げて感謝を伝える。
「皆、ありがとう。そう言ってくれると助かるよ」
「それで、今日俺たちをカノッサ公爵家の屋敷に招待したって事は、色々と報告していくれるって事でいいんだよな?」
「ああ、そうだ。それにナタリーとの事以外にも、皆に知っていおいてもらいたい事がある」
「聞かせてくれ」
「じゃあまずは、ナタリーとアルベルト殿下についてだ。マリー嬢やソレーヌ嬢かも聞いていると思うが、もう一度こちらから報告させてくれ。あの決闘の後、……」
俺はアルベルト殿下や側近たちとの決闘から今日に至るまでの事を、丁寧に分かりやすく説明していった。ジャンやマークは、決闘の勝敗の結果に素直に従っている事に驚き、今はマルグリットの妹であるローラに熱を上げている事にさらに驚く。そして、最新情報でもある婚約破棄についての情報も教えていった。
「おいおい。失恋して傷ついている気持ちは分からんでもないが、流石にそれはちょっと節操なさ過ぎだろ」
「しかも相手がマルグリット嬢の妹さんって、…………もしかしてそういった感じなのか?」
「ああ、恐らくな。当主や家の考えなのか、彼女個人の思惑なのかは分からないがな」
「マジかよ」
「それはまた、魔法学院や社交界に嵐が吹き荒れそうだな」
「最近の魔法学院での大きな話題は、ローラ様とアルベルト殿下たちの親密ぶりに、側近の皆様の婚約破棄についてですね」
「ローラ様に関しては、元々アルベルト殿下に気があるのは分かっていましたから、恐らくこうなるだろうと私たちは予想していました」
「やっぱりそうですよね。見るからにあからさまですし、アルベルト殿下に向ける視線があれですしね」
「ローラ様は毒婦です。マルグリット様のいじめに関しても、アルベルト殿下たちの気を引くための虚言だらけでしたし、正直あれ程性根の腐った方は初めて見ました」
「マルグリット様がカノッサ公爵家からいなくなった今、抑えていた欲望が溢れ出したかの様に、公爵家の権力をちらつかせて魔法学院で好き勝手していますからね」
「いずれまた、大きな騒ぎを引き起こす事になると思いますよ」
そう語るマリー嬢とソレーヌ嬢の顔は真剣そのもので、ローラ嬢の暴走が酷くなっていくという確信がある様だ。女の直感というものが働き、そういう風に感じているのだろう。これに関して俺もイザベラたちも同意見で、魔法学院で見かけるローラ嬢の様子から、ジャンの言う様に王都にもう一波乱起こる事は間違いないだろう。
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