182 / 348
第182話
しおりを挟む
「白き豹たちが、再び魔法で氷柱を放とうとしてきておるぞ!!」
「ジャック爺!!黒い羊たちの方も、魔法で雷放ってこようとしてる!!」
「広範囲の魔法による一斉攻撃よ!!イザベラたちは何が起こってもいい様に、各自魔力障壁を展開して防御に専念!!」
『了解!!』
「儂とカトリーヌお嬢さんで雷の魔法を対処する!!ウォルター、氷柱は任せる!!」
「任せて!!」
八十階層の階層主である、白き体毛に黒の斑模様の雪豹たちに、皮膚・羊毛・角まで全てが黒色に染まっている黒き羊たち。氷の属性魔法を得意としている雪豹が十体と、雷と闇の属性魔法を得意としている黒き羊が同じく十体、合計二十体の魔物との戦闘を二時間以上も続けている。
雪豹はスピードタイプの魔物で、高速機動と強化した爪や牙によるヒットアンドアウェイの戦法を取りつつ、威力と速度を兼ね備えている氷の属性魔法を放ってくる。対する黒き羊の方は固定砲台の魔法使いタイプの魔物で、速度と威力で魔法を使い分ける戦法で戦場一帯を広範囲に攻撃しつつ、さらには身体強化の魔法と雷を纏った状態での突進もしてくる。どちらも攻守共にバランスがよく、攻撃が通りにくい魔物たちだ。
迫りくる視界を埋め尽くす雷を、ジャック爺とカトリーヌさんが魔力を混ぜ合わせて一つの魔力障壁を展開し、人一人を簡単に消し炭に変える雷の全てを受けきる。だがその雷の後ろから、幾つもの太く大きい氷柱が迫ってきている。そちらの対処は俺の役目だ。
「――――ハァッ!!」
右手に持つロングソードを高速で振るい、氷柱に向かって巨大な魔力の斬撃を幾つも飛ばしていく。魔力の斬撃は迫りくる氷柱に真っ直ぐに向かって行き、氷柱を綺麗に切り裂いてバラバラにしていく。バラバラにされた氷柱は、氷の塊となって地面へと落ちていく。俺は一気に加速し、落ちていく氷の塊に向かっていく。駆けながら左手に魔力を集中させ、魔力で巨大なハンマーを形作る。そして左腕を大きく後ろに引いて力を溜め、落下してくる氷の塊に向かって勢いよく振るい、氷の塊を雪豹たちや黒き羊たちに向かって吹き飛ばしていく。
目にも止まらる速さで氷の塊が飛んでいき、次々と雪豹たちや黒き羊たちに襲い掛かっていく。雪豹たちや黒き羊たちには魔法を使って迎撃されるが、氷の塊を吹き飛ばして倒す事が目的ではないので問題ない。ジャック爺やカトリーヌさん、イザベラ嬢たちが体勢を立て直せる時間を稼ぎつつ、雪豹たちや黒き羊たちの足をその場に留めておく事が重要だ。
「ウォルター、あともう少しだけ足を留めておくんじゃ!!」
「了解!!」
ジャック爺からの要請に応える為に、氷の塊を吹き飛ばすペースを上げていく。雨霰|《あめあられ》の様に襲い掛かる氷の塊に、雪豹たちも黒き羊たちも流石に足を止めざるを得ない様だ。そのまま氷の塊を吹き飛ばすのを続けて時間を稼いでいると、背後から膨大で質の高い魔力が溢れ出ているのを感知する。どうやら、時間稼ぎは十分に出来た様だ。そう確信した俺は、残っていた全ての氷の塊を一気に吹き飛ばして後ろに下がる。
それと同時に、炎で形作られた狼と鷹の群れが俺の傍を通り抜けて、雪豹たちと黒き羊たちに襲い掛かっていく。炎の狼は黒き羊たちを仕留めに動き、それを阻止しようとする雪豹を、炎の鷹が上空から牽制して動きを止める。
ジャック爺とカトリーヌさん、イザベラ嬢たちはさらに魔力を高めていき、周囲に色とりどりの魔法陣を展開していく。そして、それら魔法陣を一斉に発動して、空間全てを埋め尽くす程の魔法を雪豹や黒き羊に放つ。
「加えて、儂とカトリーヌお嬢さんの合成魔法――――」
「――――――――真紅の不死鳥!!」
ジャック爺とカトリーヌさんの頭上に、二人の魔力が混じり合った巨大な魔法陣が展開され、そこから真紅の炎で形作られた巨大な不死鳥が現れる。真紅の不死鳥は炎の翼をはためかせながら大きく咆哮を上げ、その身を構成する真紅の炎をさらに燃え上がらせ、嘴を大きく開けていく。大きく開いた嘴に真紅の炎の球体を生み出し、炎の翼からチリチリと高圧縮された小さな炎が生み出され、真紅の不死鳥の周囲をユラユラと揺らめいている。
そして嘴から真紅の炎の球体を放つと同時に、炎の翼を一度大きくはためかせ、高圧縮した小さな炎を雪豹たちと黒き羊たちに向けて放つ。放たれた真紅の炎の球体や小さな炎たちは、幾つもの魔法をその身に受けて傷ついていた所へ一気に襲い掛かり、ダメ押しとなって一気にダメージを与えていく。真紅の炎の球体と小さな炎の熱量は凄まじく、雪豹たちと黒き羊たちの全てを燃やし尽くし、そこには消し炭どころか何も残る事はなかった。
「ジャック爺!!黒い羊たちの方も、魔法で雷放ってこようとしてる!!」
「広範囲の魔法による一斉攻撃よ!!イザベラたちは何が起こってもいい様に、各自魔力障壁を展開して防御に専念!!」
『了解!!』
「儂とカトリーヌお嬢さんで雷の魔法を対処する!!ウォルター、氷柱は任せる!!」
「任せて!!」
八十階層の階層主である、白き体毛に黒の斑模様の雪豹たちに、皮膚・羊毛・角まで全てが黒色に染まっている黒き羊たち。氷の属性魔法を得意としている雪豹が十体と、雷と闇の属性魔法を得意としている黒き羊が同じく十体、合計二十体の魔物との戦闘を二時間以上も続けている。
雪豹はスピードタイプの魔物で、高速機動と強化した爪や牙によるヒットアンドアウェイの戦法を取りつつ、威力と速度を兼ね備えている氷の属性魔法を放ってくる。対する黒き羊の方は固定砲台の魔法使いタイプの魔物で、速度と威力で魔法を使い分ける戦法で戦場一帯を広範囲に攻撃しつつ、さらには身体強化の魔法と雷を纏った状態での突進もしてくる。どちらも攻守共にバランスがよく、攻撃が通りにくい魔物たちだ。
迫りくる視界を埋め尽くす雷を、ジャック爺とカトリーヌさんが魔力を混ぜ合わせて一つの魔力障壁を展開し、人一人を簡単に消し炭に変える雷の全てを受けきる。だがその雷の後ろから、幾つもの太く大きい氷柱が迫ってきている。そちらの対処は俺の役目だ。
「――――ハァッ!!」
右手に持つロングソードを高速で振るい、氷柱に向かって巨大な魔力の斬撃を幾つも飛ばしていく。魔力の斬撃は迫りくる氷柱に真っ直ぐに向かって行き、氷柱を綺麗に切り裂いてバラバラにしていく。バラバラにされた氷柱は、氷の塊となって地面へと落ちていく。俺は一気に加速し、落ちていく氷の塊に向かっていく。駆けながら左手に魔力を集中させ、魔力で巨大なハンマーを形作る。そして左腕を大きく後ろに引いて力を溜め、落下してくる氷の塊に向かって勢いよく振るい、氷の塊を雪豹たちや黒き羊たちに向かって吹き飛ばしていく。
目にも止まらる速さで氷の塊が飛んでいき、次々と雪豹たちや黒き羊たちに襲い掛かっていく。雪豹たちや黒き羊たちには魔法を使って迎撃されるが、氷の塊を吹き飛ばして倒す事が目的ではないので問題ない。ジャック爺やカトリーヌさん、イザベラ嬢たちが体勢を立て直せる時間を稼ぎつつ、雪豹たちや黒き羊たちの足をその場に留めておく事が重要だ。
「ウォルター、あともう少しだけ足を留めておくんじゃ!!」
「了解!!」
ジャック爺からの要請に応える為に、氷の塊を吹き飛ばすペースを上げていく。雨霰|《あめあられ》の様に襲い掛かる氷の塊に、雪豹たちも黒き羊たちも流石に足を止めざるを得ない様だ。そのまま氷の塊を吹き飛ばすのを続けて時間を稼いでいると、背後から膨大で質の高い魔力が溢れ出ているのを感知する。どうやら、時間稼ぎは十分に出来た様だ。そう確信した俺は、残っていた全ての氷の塊を一気に吹き飛ばして後ろに下がる。
それと同時に、炎で形作られた狼と鷹の群れが俺の傍を通り抜けて、雪豹たちと黒き羊たちに襲い掛かっていく。炎の狼は黒き羊たちを仕留めに動き、それを阻止しようとする雪豹を、炎の鷹が上空から牽制して動きを止める。
ジャック爺とカトリーヌさん、イザベラ嬢たちはさらに魔力を高めていき、周囲に色とりどりの魔法陣を展開していく。そして、それら魔法陣を一斉に発動して、空間全てを埋め尽くす程の魔法を雪豹や黒き羊に放つ。
「加えて、儂とカトリーヌお嬢さんの合成魔法――――」
「――――――――真紅の不死鳥!!」
ジャック爺とカトリーヌさんの頭上に、二人の魔力が混じり合った巨大な魔法陣が展開され、そこから真紅の炎で形作られた巨大な不死鳥が現れる。真紅の不死鳥は炎の翼をはためかせながら大きく咆哮を上げ、その身を構成する真紅の炎をさらに燃え上がらせ、嘴を大きく開けていく。大きく開いた嘴に真紅の炎の球体を生み出し、炎の翼からチリチリと高圧縮された小さな炎が生み出され、真紅の不死鳥の周囲をユラユラと揺らめいている。
そして嘴から真紅の炎の球体を放つと同時に、炎の翼を一度大きくはためかせ、高圧縮した小さな炎を雪豹たちと黒き羊たちに向けて放つ。放たれた真紅の炎の球体や小さな炎たちは、幾つもの魔法をその身に受けて傷ついていた所へ一気に襲い掛かり、ダメ押しとなって一気にダメージを与えていく。真紅の炎の球体と小さな炎の熱量は凄まじく、雪豹たちと黒き羊たちの全てを燃やし尽くし、そこには消し炭どころか何も残る事はなかった。
0
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる