146 / 348
第146話
しおりを挟む
視界を埋め尽くした漆黒に対して、俺の身体が本能によって自然と反応し、素早く後ろに一歩引いて、漆黒の爆炎との間に空間を作り出す。そして、無拍子でロングソードを真上に向かって切り上げる。その際、ロングソードの剣身に、攻勢の性質に変化させた魔力を纏わせる。
攻勢の魔力に性質を変化させると、物質として非常に脆くなる代わりに、魔力による一撃のダメージが大きく上がる。一撃一撃ごとに魔力を纏わせ直さないといけないが、その一撃による威力は絶大だ。魔力そのものを切る事が出来るので、物理・魔法問わずあらゆる守りを切り裂き、上位属性魔法や複合属性魔法すらも切り裂く切れ味を誇る。それは、主様とやらの魔力であっても変わらない。
「――――!!」
俺という存在を燃やし尽くそうとしていた漆黒の爆炎は、ロングソードの刃によって綺麗に左右へと分かたれ、そのまま身体の左右を通って後ろへと流れていく。二つに分かたれた漆黒の爆炎は、後方で勢いよく燃え盛って黒き火柱を立ち上らせる。
「――な!?あれも対応すんのかよ!?」
今度はこちらから仕掛ける。一気に加速して粗暴な男との距離を詰め、一瞬で粗暴な男の正面に移動する。右腕を後ろに引いて力を溜め、粗暴な男の顔面に向けて高速の突きを放つ。
粗暴な男は、一瞬で距離を詰めてきた俺の動きに反応が遅れた。だが、そこは一流の戦士。ロングソードによる高速の突きである事や、狙いが自分の頭部である事を察すると、両腕を顔の前で斜め十字にして構え、ガントレットでロングソードの突きを防ごうとする。
「――――――フッ!!」
だが俺は粗暴な男が防御の体勢をとった瞬間、突きで攻撃するのを止めて、再び加速して移動して粗暴な男の背後をとる。眼前から俺の姿が消えたのを見た粗暴な男は、直ぐ様防御の体勢を解いて身体を回転させ、背後をとった俺に向けて回転のエネルギーを上乗せさせた右脚での蹴りを放ってくる。
「――――――オラァ!!」
迫りくる右脚の蹴りに対して、俺は空いている左手に魔力を集めて、一振りの魔力の剣を生み出す。その一振りの魔力の剣は、ロングソードを模したものではなく、身の丈以上もある様な大きなのグレートソードだ。それも、性質を守勢に変化させた魔力で生み出した、防御に特化させた魔力の剣だ。
その魔力の剣を地面に突き刺し、幅広く分厚い剣身を盾代わりにして、右脚での蹴りを防ぐ。そして、粗暴な男の蹴りが魔力の剣とぶつかり合う。漆黒の爆炎と共に衝撃波が吹き荒れる。だがその衝撃波をものともせず、その場でロングソードを上段に振り上げ、ゆっくりと深呼吸をしてからスーッと唐竹割りに振り下ろす。
「――――――ハッ!!」
「お前、何し――――――ガァ!!」
ロングソードの剣身が完全に振り下ろされた瞬間、粗暴な男の左腕の肘が綺麗に切断され、肘から先が地面にボトリと落ちる。その瞬間、初めて切られた事を認識したのか粗暴の男は痛みに声を上げ、切断面から血がシャワーの様に噴き出してくる。
最初に一撃加えた時、追撃したい気持ちを飲み込んで、後ろに跳んで距離を取った。だが今回は違う。ここで退く事を選択する事はない。振り下ろした状態から右脚で一歩前に踏み込み、手首を返してロングソードを真上に切り上げる。
「――――!!」
「――グァッ!!」
今度は粗暴な男の右腕の肘が綺麗に切断され、肘から先が地面にボトリと落ちる。切断面からは、左腕と同じ様に血が勢いよく噴き出す。粗暴な男は、連続した痛みに堪らず声を上げる。だが突然ピタリと動きが止まり、上げていた声も止まる。そして、ゆっくりとこちらに顔を向ける。
粗暴な男の顔を見た瞬間、俺の全身からもの凄い勢いで冷や汗が出る。何故なら、両目が白目も黒目もなく、全てが黒く染まっていたからだ。心臓の鼓動が早まり、自然と呼吸が乱れてしまう。指一本、僅かでも動かす事が出来ない。いや、動かす事すらも危険だと本能が告げてくる。
(一体何が起きてる?いや、それよりも目の前に立っているのは誰だ?)
まるで別人になったかの様に、一瞬で雰囲気や魔力の質が大きく変わった。それに、あれだけ勢いよく噴き出していた血が完全に止まっている。しかも、切断面はそのままでだ。漆黒の火で傷口を燃やした訳でもなく、主様の力とやらを使った訳でもない。綺麗な切断面のままで、両腕から血が完全に止まっているのだ。
何が何やら全く分からず警戒する俺に向かって、粗暴な男の身体を使っている何者かは、嘲笑う様ににたりと笑みを浮かべた。そして、肘から先がなくなった両腕を肩の高さまで上げると、切断面から全て飲み込むような暗き闇が現れる。それは徐々に形を変えていき、完全に腕の形に変わる。何者かは暗き闇で出来た腕の調子を確かめる様に、両拳を握ったり開いたりする。
何者かは確認が終わると、先程よりももっと深く大きく弧を描いて笑みを浮かべる。そして全身から先程までとは比較にならない程濃密な、禍々しく冷たい魔力を放ってくる。どうやら、何者かに相手が変わっての第二ラウンド開始の様だ。
攻勢の魔力に性質を変化させると、物質として非常に脆くなる代わりに、魔力による一撃のダメージが大きく上がる。一撃一撃ごとに魔力を纏わせ直さないといけないが、その一撃による威力は絶大だ。魔力そのものを切る事が出来るので、物理・魔法問わずあらゆる守りを切り裂き、上位属性魔法や複合属性魔法すらも切り裂く切れ味を誇る。それは、主様とやらの魔力であっても変わらない。
「――――!!」
俺という存在を燃やし尽くそうとしていた漆黒の爆炎は、ロングソードの刃によって綺麗に左右へと分かたれ、そのまま身体の左右を通って後ろへと流れていく。二つに分かたれた漆黒の爆炎は、後方で勢いよく燃え盛って黒き火柱を立ち上らせる。
「――な!?あれも対応すんのかよ!?」
今度はこちらから仕掛ける。一気に加速して粗暴な男との距離を詰め、一瞬で粗暴な男の正面に移動する。右腕を後ろに引いて力を溜め、粗暴な男の顔面に向けて高速の突きを放つ。
粗暴な男は、一瞬で距離を詰めてきた俺の動きに反応が遅れた。だが、そこは一流の戦士。ロングソードによる高速の突きである事や、狙いが自分の頭部である事を察すると、両腕を顔の前で斜め十字にして構え、ガントレットでロングソードの突きを防ごうとする。
「――――――フッ!!」
だが俺は粗暴な男が防御の体勢をとった瞬間、突きで攻撃するのを止めて、再び加速して移動して粗暴な男の背後をとる。眼前から俺の姿が消えたのを見た粗暴な男は、直ぐ様防御の体勢を解いて身体を回転させ、背後をとった俺に向けて回転のエネルギーを上乗せさせた右脚での蹴りを放ってくる。
「――――――オラァ!!」
迫りくる右脚の蹴りに対して、俺は空いている左手に魔力を集めて、一振りの魔力の剣を生み出す。その一振りの魔力の剣は、ロングソードを模したものではなく、身の丈以上もある様な大きなのグレートソードだ。それも、性質を守勢に変化させた魔力で生み出した、防御に特化させた魔力の剣だ。
その魔力の剣を地面に突き刺し、幅広く分厚い剣身を盾代わりにして、右脚での蹴りを防ぐ。そして、粗暴な男の蹴りが魔力の剣とぶつかり合う。漆黒の爆炎と共に衝撃波が吹き荒れる。だがその衝撃波をものともせず、その場でロングソードを上段に振り上げ、ゆっくりと深呼吸をしてからスーッと唐竹割りに振り下ろす。
「――――――ハッ!!」
「お前、何し――――――ガァ!!」
ロングソードの剣身が完全に振り下ろされた瞬間、粗暴な男の左腕の肘が綺麗に切断され、肘から先が地面にボトリと落ちる。その瞬間、初めて切られた事を認識したのか粗暴の男は痛みに声を上げ、切断面から血がシャワーの様に噴き出してくる。
最初に一撃加えた時、追撃したい気持ちを飲み込んで、後ろに跳んで距離を取った。だが今回は違う。ここで退く事を選択する事はない。振り下ろした状態から右脚で一歩前に踏み込み、手首を返してロングソードを真上に切り上げる。
「――――!!」
「――グァッ!!」
今度は粗暴な男の右腕の肘が綺麗に切断され、肘から先が地面にボトリと落ちる。切断面からは、左腕と同じ様に血が勢いよく噴き出す。粗暴な男は、連続した痛みに堪らず声を上げる。だが突然ピタリと動きが止まり、上げていた声も止まる。そして、ゆっくりとこちらに顔を向ける。
粗暴な男の顔を見た瞬間、俺の全身からもの凄い勢いで冷や汗が出る。何故なら、両目が白目も黒目もなく、全てが黒く染まっていたからだ。心臓の鼓動が早まり、自然と呼吸が乱れてしまう。指一本、僅かでも動かす事が出来ない。いや、動かす事すらも危険だと本能が告げてくる。
(一体何が起きてる?いや、それよりも目の前に立っているのは誰だ?)
まるで別人になったかの様に、一瞬で雰囲気や魔力の質が大きく変わった。それに、あれだけ勢いよく噴き出していた血が完全に止まっている。しかも、切断面はそのままでだ。漆黒の火で傷口を燃やした訳でもなく、主様の力とやらを使った訳でもない。綺麗な切断面のままで、両腕から血が完全に止まっているのだ。
何が何やら全く分からず警戒する俺に向かって、粗暴な男の身体を使っている何者かは、嘲笑う様ににたりと笑みを浮かべた。そして、肘から先がなくなった両腕を肩の高さまで上げると、切断面から全て飲み込むような暗き闇が現れる。それは徐々に形を変えていき、完全に腕の形に変わる。何者かは暗き闇で出来た腕の調子を確かめる様に、両拳を握ったり開いたりする。
何者かは確認が終わると、先程よりももっと深く大きく弧を描いて笑みを浮かべる。そして全身から先程までとは比較にならない程濃密な、禍々しく冷たい魔力を放ってくる。どうやら、何者かに相手が変わっての第二ラウンド開始の様だ。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる