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第136話

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 魔法競技大会は大したトラブルもなく順調に進行し、王都校は順調に決勝まで駒を進めていた。そして、そんな王都校の決勝の相手となるのは、やはり副都レゼルホルンの魔法学院だった。
 決勝へと駒を進めた両校であったが、俺たちが抱く心象は真逆のものだった。レギアス殿下のいるレゼルホルン魔法学院の生徒たちは、魔法使いとしての全体的なレベルが高く、各試合を見て魔法に関する知識量も豊富なのが分かる。
 対するアルベルト殿下のいる王都の魔法学院の生徒たちは、正直言葉もない程に酷いものだった。アルベルト殿下とその側近たち、それから何故選ばれたのか分からない最後の五人目であるローラ・ベルナールは、最初の試合から変わらずに、基本的に才能に胡坐をかいた力によるゴリ押しで戦っていたからだ。

「それにしても、何でローラが五人目として選ばれたのかしら?」
「公爵家の娘だからでしょ。あの四人と釣り合いがとれるのが、イザベルやマルグリット以外では、あの子くらいしかいなかったんでしょうね」
「実力的にはどうなんですか?」

 俺はマルグリット嬢の妹であるローラ嬢の実力が気になりそう聞くが、姉であるマルグリット嬢にイザベラ嬢たちも、全員が首を横に振って俺に答える。その返答から、アルベルト殿下や側近たちと同じ様に、才能によるゴリ押しで戦うタイプだという事が分かった。
 それにしても残念だったのは、この国の魔法師団長の息子である、セドリック・ピエールの戦い方や魔法に関する知識だ。確かに普通の学生よりも知識量があり、戦い方も側近たちの中で頭一つ抜けているのは分かる。だが、レギアス殿下やレゼルホルン魔法学院の生徒たちと比べると、正直に言って物足りない。ましてや、この国の魔法師団長の息子で、次期魔法師団長であるというのなら尚更だ。

「そろそろ始まるな。さて、一体どうなる事やら」
「まず確実に、レゼルホルンが勝つじゃろう」
「王族相手でも関係なしにですか?」
「当然じゃ。言うては悪いが、レゼルホルンの生徒たちに才能だけでは勝てんし、王族である事で忖度しろというのは通用せんからな」

 レゼルホルン魔法学院には、顔や髪色を変えているレギアス殿下がいるからな。最悪権力によって圧力を掛けられていたとしても、同じ王子、同じ王族なので意味はない。なので、王都校とレゼルホルン魔法学院の戦いは完全な実力勝負となる。
 司会と解説の紹介によって大盛り上がりとなる観客たちの声援に迎えられながら、両校の生徒たちが闘技場へと入場してくる。レゼルホルン魔法学院のレギアス殿下たちは、堂々としつつも静かな闘志を燃やしながら入場し、王都校のアルベルト殿下たちは、自分たちを見ろとばかりに胸を張り、少し鼻息荒くしながら入場してくる。
 レギアス殿下たちのこれまでの戦いを見ていて、何故そこまで自信満々でいられるのか分からない。それに決勝戦は今までの試合と違い、最初の三戦で勝ち負けが決まったとしても、五戦全ての試合を行う事になっている。もし五戦全てで敗戦となれば、色々な意味で問題になると思うんだがな。その辺の事、アルベルト殿下たちは理解しているんだろうか。
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