132 / 348
第132話
しおりを挟む
色とりどりの魔法陣が展開し、色とりどりの魔法が闘技場を飛び交う。第一戦の時と似た光景ではあるが、魔法の種類と規模が段違いだ。流石は、魔法学院各校の主将と副将を務めている、優秀な魔法使いであると言えるだろう。
さらに二人の生徒の凄いと思える所は、相手が構築する術式の魔力を感知したと同時に、相反する属性の術式を構築している所だ。それから、魔法陣を展開して直ぐに魔法を放つ事なく、魔法を待機させた後に放つ遅延魔法を使っている所だな。
魔法にも相性というものがあり、火の属性魔法に相性が良いのは水の属性魔法、光の属性魔法に相性が良いのは闇の属性魔法といった様に、様々な属性魔法同士で良い相性悪い相性がある。例えば火の属性魔法と水の属性魔法がぶつかり合うと、火の属性魔法は水の属性魔法によって威力が減衰され、込められた魔力量に大きな差がある場合によっては、火の属性魔法は消滅させられるのだ。
そして遅延魔法。これは魔法という分類の一種でありながら、魔法使いの腕によって成り立つ技術でもある、魔法使いにとって比較的難度の高い魔法の一つだ。遅延魔法そのものは昔から存在しているが、上位属性魔法と同様に高い魔力操作と制御が必要となる。魔法国家であるアイオリス王国にも遅延魔法を使える者は多くいるが、それは数十人単位であって、百人単位で大量にいる訳ではない。尚且つ学生で使えるとなれば、さらに数が限られるだろう。
「使いこなしているという程ではないが、遅延魔法を使えるというのはよく鍛錬しておる証拠じゃ。独学で学んだのか、学院で教わっておるのか。学院で教えておるのだとしたら、よき師に巡り合えたのだろう。独学であるのならば、よくぞそこまでと褒めてやりたいの」
「……賢者様、私たちもいずれは遅延魔法を使いこなせる様になれますか?」
イザベラ嬢が、ジャック爺にそう問いかける。イザベラ嬢だけでなく、クララ嬢たちも少し不安げな表情をして、ジャック爺の答えを待っている。そんなイザベラ嬢たちに向けて、ジャック爺はニッコリと微笑みながら答える。
「当然じゃ。何せ、この賢者が師なのじゃぞ。それに高難易度の魔法である上位属性魔法に比べたら、多少難しいくらいの遅延魔法など、イザベラ嬢たちならば直ぐにでも習得する事が出来る。安心しなさい」
『はい』
微笑ましい空気がこの場に流れた時、闘技場に流れていた空気が大きく変わった。レゼルホルン魔法学院の女子生徒と、ニースレイノ魔法学院の女子生徒は、遅延魔法と通常の属性魔法を上手く組み合わせながら戦っていたが、徐々にニースレイノ魔法学院の女子生徒が押され始めた。
押されだした要因としては、レゼルホルン魔法学院の女子生徒が、ギアを一段階上げた事が大きい。術式構築速度や、魔法陣を展開してから発動までの速度、魔法そのものの速度などが一気に上がったからだ。徐々に速度を上げたのではなく、一気に速度を上げた事で、ニースレイノ魔法学院の女子生徒のリズムが崩れた。そこをレゼルホルン魔法学院の女子生徒が見逃さずに勝負を仕掛けた。
ニースレイノ魔法学院の女子生徒の方も必死に立て直そうとしたが、レゼルホルン魔法学院の女子生徒の猛攻に防戦一方となってしまい、最終的に魔法の弾幕に飲み込まれた。弾幕に飲み込まれて暫くの間は、ニースレイノ魔法学院の女子生徒も魔力障壁を張って防御していたが、その障壁も弾幕によって破壊されてしまい、その身に魔力の弾幕が直撃した。
そして魔法の弾幕が直撃した事で魔道具が発動し、審判の手がレゼルホルン魔法学院の女子生徒を示した事で、二人の優秀な魔法使いの白熱した勝負に幕が下ろされた。
さらに二人の生徒の凄いと思える所は、相手が構築する術式の魔力を感知したと同時に、相反する属性の術式を構築している所だ。それから、魔法陣を展開して直ぐに魔法を放つ事なく、魔法を待機させた後に放つ遅延魔法を使っている所だな。
魔法にも相性というものがあり、火の属性魔法に相性が良いのは水の属性魔法、光の属性魔法に相性が良いのは闇の属性魔法といった様に、様々な属性魔法同士で良い相性悪い相性がある。例えば火の属性魔法と水の属性魔法がぶつかり合うと、火の属性魔法は水の属性魔法によって威力が減衰され、込められた魔力量に大きな差がある場合によっては、火の属性魔法は消滅させられるのだ。
そして遅延魔法。これは魔法という分類の一種でありながら、魔法使いの腕によって成り立つ技術でもある、魔法使いにとって比較的難度の高い魔法の一つだ。遅延魔法そのものは昔から存在しているが、上位属性魔法と同様に高い魔力操作と制御が必要となる。魔法国家であるアイオリス王国にも遅延魔法を使える者は多くいるが、それは数十人単位であって、百人単位で大量にいる訳ではない。尚且つ学生で使えるとなれば、さらに数が限られるだろう。
「使いこなしているという程ではないが、遅延魔法を使えるというのはよく鍛錬しておる証拠じゃ。独学で学んだのか、学院で教わっておるのか。学院で教えておるのだとしたら、よき師に巡り合えたのだろう。独学であるのならば、よくぞそこまでと褒めてやりたいの」
「……賢者様、私たちもいずれは遅延魔法を使いこなせる様になれますか?」
イザベラ嬢が、ジャック爺にそう問いかける。イザベラ嬢だけでなく、クララ嬢たちも少し不安げな表情をして、ジャック爺の答えを待っている。そんなイザベラ嬢たちに向けて、ジャック爺はニッコリと微笑みながら答える。
「当然じゃ。何せ、この賢者が師なのじゃぞ。それに高難易度の魔法である上位属性魔法に比べたら、多少難しいくらいの遅延魔法など、イザベラ嬢たちならば直ぐにでも習得する事が出来る。安心しなさい」
『はい』
微笑ましい空気がこの場に流れた時、闘技場に流れていた空気が大きく変わった。レゼルホルン魔法学院の女子生徒と、ニースレイノ魔法学院の女子生徒は、遅延魔法と通常の属性魔法を上手く組み合わせながら戦っていたが、徐々にニースレイノ魔法学院の女子生徒が押され始めた。
押されだした要因としては、レゼルホルン魔法学院の女子生徒が、ギアを一段階上げた事が大きい。術式構築速度や、魔法陣を展開してから発動までの速度、魔法そのものの速度などが一気に上がったからだ。徐々に速度を上げたのではなく、一気に速度を上げた事で、ニースレイノ魔法学院の女子生徒のリズムが崩れた。そこをレゼルホルン魔法学院の女子生徒が見逃さずに勝負を仕掛けた。
ニースレイノ魔法学院の女子生徒の方も必死に立て直そうとしたが、レゼルホルン魔法学院の女子生徒の猛攻に防戦一方となってしまい、最終的に魔法の弾幕に飲み込まれた。弾幕に飲み込まれて暫くの間は、ニースレイノ魔法学院の女子生徒も魔力障壁を張って防御していたが、その障壁も弾幕によって破壊されてしまい、その身に魔力の弾幕が直撃した。
そして魔法の弾幕が直撃した事で魔道具が発動し、審判の手がレゼルホルン魔法学院の女子生徒を示した事で、二人の優秀な魔法使いの白熱した勝負に幕が下ろされた。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
女神に嫌われた俺に与えられたスキルは《逃げる》だった。
もる
ファンタジー
目覚めるとそこは地球とは違う世界だった。
怒る女神にブサイク認定され地上に落とされる俺はこの先生きのこることができるのか?
初投稿でのんびり書きます。
※23年6月20日追記
本作品、及び当作者の作品の名称(モンスター及び生き物名、都市名、異世界人名など作者が作った名称)を盗用したり真似たりするのはやめてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる