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第124話
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王都は今、魔法競技大会の開催が近い事もあって非常に賑わっている。朝市や大通りの各商店から聞こえる声の大きさが、普段の倍以上に感じるくらいには盛り上がっているな。各商店は魔法競技大会の為に王都に訪れる人たち向けに、割引してみたりおまけを付けてみたりと、今後の御贔屓の為に商魂たくましく色々と動いている。
魔法競技大会は、各都市にある魔法学院の生徒たちが、王都に集まる一大行事の一つだからな。割引やおまけを付けたとしても、それを上回る利益が出るんだろうな。それに上手くいけば、各都市の魔法学院の生徒たちを通じて、新たな顧客となる貴族と繋がりが持てる可能性があるからな。さらにその貴族が暮らしている都市に支店を出すことにでもなれば、商人の笑いが止まらなくなるだろう。
(去年はそんな幸運な商人はいなかったが、今年は幸運な商人が出てくるかね?)
特に今年の魔法競技大会には、アルベルト殿下や側近たちといった、例年にない目玉と言っていい者たちが代表として出場するからな。王都に訪れる商人などの数も去年に比べて多く、アルベルト殿下たちとあわよくば接触出来るかもと、捕らぬ狸の皮算用を企てている者ばかりだ。
活気のある王都の街並みや人々を眺めながら歩き続けた後に、一軒のお店の前で足を止める。お店からは良い匂いが漂ってきており、まだ朝早いというのに、常連のお客さんたちが買いに来ているのが見える。店の入り口の取っ手を右手で握り、手前に引いて中へと足を踏み入れる。
「おはよう、オバちゃんたち」
「あらウォルター君、おはよう。今日も何時ものでいいの?」
「うん、何時ものでお願い。オバちゃんたちの所の客足はどう?順調に稼げてる?」
「ああ、ガッポリだよ!!魔法競技大会様様だね!!この時期は、王都に訪れる商人さんたちや旅人さんたちが大勢増えて足を運んでくれるし、王都内の新規のお客さんも足を運んでくれるからね」
「多少割引やおまけを付けたってしっかり元が取れるし、大口のお客さんも増えるからね」
「変なお客さんとか来てない?あまりに度が過ぎている様だったら、俺の方から上に伝えおくけど……」
「心配してくれてありがとうよ。でも今の所は大丈夫だよ」
「何かあったら、ウォルター君かジャックさんにちゃんと言うから」
「本当に何かあったら、直ぐに俺かジャック爺に相談してよ。変な遠慮とかいらないからね」
「ああ、分かってるよ」
何時ものやり取りをして、何時もの様に締める。それを常連さんたちは微笑みながら見ている。その事に少し恥ずかしさを覚えるものの、大事な事だからオバちゃんたちに毎回言っておく。
「ほら、出来立てほやほやの食パンだよ!!ジャックさんと一緒に味わってね!!」
「おお~、今日も美味しそうですね。ジャック爺も喜びますよ」
「ははは、嬉しい事言ってくれるね。それじゃあ、幾つかおまけを付けといてあげないとね」
「ありがとう、オバちゃん」
「いいのよ。また明日も来て、パンを買っていってちょうだいね」
「はい、楽しみにしていますね」
出来立てほやほやの食パンの代金をお店に支払い、とてもうきうきした足取りで家へと足を進める。ここのパンは美味しいから、俺もジャック爺もお気に入りなのだ。それが出来立てほやほやともなれば、さらにその美味しさが際立つ。このお店を王都で見つけれた事は、俺にとってもジャック爺にとっても幸運な事だったな。
魔法競技大会は、各都市にある魔法学院の生徒たちが、王都に集まる一大行事の一つだからな。割引やおまけを付けたとしても、それを上回る利益が出るんだろうな。それに上手くいけば、各都市の魔法学院の生徒たちを通じて、新たな顧客となる貴族と繋がりが持てる可能性があるからな。さらにその貴族が暮らしている都市に支店を出すことにでもなれば、商人の笑いが止まらなくなるだろう。
(去年はそんな幸運な商人はいなかったが、今年は幸運な商人が出てくるかね?)
特に今年の魔法競技大会には、アルベルト殿下や側近たちといった、例年にない目玉と言っていい者たちが代表として出場するからな。王都に訪れる商人などの数も去年に比べて多く、アルベルト殿下たちとあわよくば接触出来るかもと、捕らぬ狸の皮算用を企てている者ばかりだ。
活気のある王都の街並みや人々を眺めながら歩き続けた後に、一軒のお店の前で足を止める。お店からは良い匂いが漂ってきており、まだ朝早いというのに、常連のお客さんたちが買いに来ているのが見える。店の入り口の取っ手を右手で握り、手前に引いて中へと足を踏み入れる。
「おはよう、オバちゃんたち」
「あらウォルター君、おはよう。今日も何時ものでいいの?」
「うん、何時ものでお願い。オバちゃんたちの所の客足はどう?順調に稼げてる?」
「ああ、ガッポリだよ!!魔法競技大会様様だね!!この時期は、王都に訪れる商人さんたちや旅人さんたちが大勢増えて足を運んでくれるし、王都内の新規のお客さんも足を運んでくれるからね」
「多少割引やおまけを付けたってしっかり元が取れるし、大口のお客さんも増えるからね」
「変なお客さんとか来てない?あまりに度が過ぎている様だったら、俺の方から上に伝えおくけど……」
「心配してくれてありがとうよ。でも今の所は大丈夫だよ」
「何かあったら、ウォルター君かジャックさんにちゃんと言うから」
「本当に何かあったら、直ぐに俺かジャック爺に相談してよ。変な遠慮とかいらないからね」
「ああ、分かってるよ」
何時ものやり取りをして、何時もの様に締める。それを常連さんたちは微笑みながら見ている。その事に少し恥ずかしさを覚えるものの、大事な事だからオバちゃんたちに毎回言っておく。
「ほら、出来立てほやほやの食パンだよ!!ジャックさんと一緒に味わってね!!」
「おお~、今日も美味しそうですね。ジャック爺も喜びますよ」
「ははは、嬉しい事言ってくれるね。それじゃあ、幾つかおまけを付けといてあげないとね」
「ありがとう、オバちゃん」
「いいのよ。また明日も来て、パンを買っていってちょうだいね」
「はい、楽しみにしていますね」
出来立てほやほやの食パンの代金をお店に支払い、とてもうきうきした足取りで家へと足を進める。ここのパンは美味しいから、俺もジャック爺もお気に入りなのだ。それが出来立てほやほやともなれば、さらにその美味しさが際立つ。このお店を王都で見つけれた事は、俺にとってもジャック爺にとっても幸運な事だったな。
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