111 / 348
第111話
しおりを挟む
「そういう訳じゃから、冷静になって服を見ていくとしよう。皆、よいな?」
『分かりました』
そこからは、アンナ公爵夫人やイザベラ嬢たち女性陣も加えての、ちょっとした品評会の様になった。ちなみに女性陣は、寡黙な蜘蛛の糸で作られた生地で出来た服と分かって直ぐに、もの凄い勢いでフルーツを綺麗に完食した。その勢いや気迫はもの凄く、俺たち男性陣全員は完全に気圧され、その光景を黙って見ているしか出来なかった。
「ウォルター。勿体つけるのもなんじゃから、ローゼン殿へと持たされたお土産を、テーブルに出せるだけ出していくんじゃ。ローゼン殿もアンナ夫人も、それでよいかの?」
「ええ、構いません」
「私もそれで構いません」
「それじゃあウォルター、テーブルの上にお土産を出していくんじゃ」
「了解」
テーブルの大きさを考えながら、バックパックの中からお土産を取り出していく。皆は、次々とテーブルに出されていくお土産に驚く。さらに、出されていくお土産の質が高品質なものばかりである事に気付くと、その事にまた驚いている。そしてその驚きは、服だけでなく小物や食器などにも対しても、同じく向けられているのが伝わってくる。
小物や食器に関しても、俺やジャック爺からしたら慣れ親しんだものであるが、カノッサ公爵夫妻やイザベラ嬢たちからすればまた違うのかもしれない。だが服の時とは違い小物や食器ならば、カノッサ公爵家やジャンの生家であるコルネ侯爵家ともなれば、これらの物よりも良い物を使っていると思うんだがな。そんな事を考えながら、手際よくテーブルの上に出せるだけ出し切った後に、ジャック爺に近づいていく。
「ジャック爺、もしかしてもしかするんだけど、小物や食器なんかも?」
「うむ、そうじゃな」
「ええ~、なんで?だって公爵家だよ?ベイルトンの職人たちを下に見るつもりはないけど、やっぱり公爵家お抱えの職人さんたちが作った、良い小物や食器を使ってるんじゃないの?ジャック爺、今日だってそうけど、お茶会に使われてる食器を見たでしょ?」
「確かに、お茶会で使われておる食器の数々は、どれもこれも素晴らしい。それは間違いのない事実じゃ。じゃが、ベイルトンも負けてはおらん。何よりも、ベイルトンには魔力が豊富な木材や金属を扱う技がある」
「あのおっちゃんたちに、そんな特別な技なんてあったの?」
「そうじゃ。その技があるからこそ、他の領地の貴族たちや、公爵といった上位貴族などのお抱えの職人たちにも、一歩も引けを取らんのじゃ」
「ほんとに?あのおっちゃんたちが?」
「そうじゃ。あ奴ら外見はただの普通の親父じゃが、職人としての腕は間違いなく一流じゃ。魔力が豊富な木材や金属を扱えるというのは、その道の職人たちからすれば、上位貴族に等しいくらいの存在じゃな」
「…………そうなんだ。あの禿げのおっちゃんたちがねぇ」
「禿は余計じゃ。あ奴らも気にしとるんじゃから、あ奴らの前ではその言葉は禁句じゃぞ」
「了解」
俺とジャック爺がそんな会話を続けている間にも、カノッサ公爵夫妻やイザベラ嬢たちが、小物や食器をじっくりと品評していた。その中にはジャンやマークも混ざっていて、あのデザインの小物や食器がいいと、男性目線からの意見を言っていた。そして一通りの品評が終わった後に、女性陣の瞳がギラリと輝くのが見えた。
『分かりました』
そこからは、アンナ公爵夫人やイザベラ嬢たち女性陣も加えての、ちょっとした品評会の様になった。ちなみに女性陣は、寡黙な蜘蛛の糸で作られた生地で出来た服と分かって直ぐに、もの凄い勢いでフルーツを綺麗に完食した。その勢いや気迫はもの凄く、俺たち男性陣全員は完全に気圧され、その光景を黙って見ているしか出来なかった。
「ウォルター。勿体つけるのもなんじゃから、ローゼン殿へと持たされたお土産を、テーブルに出せるだけ出していくんじゃ。ローゼン殿もアンナ夫人も、それでよいかの?」
「ええ、構いません」
「私もそれで構いません」
「それじゃあウォルター、テーブルの上にお土産を出していくんじゃ」
「了解」
テーブルの大きさを考えながら、バックパックの中からお土産を取り出していく。皆は、次々とテーブルに出されていくお土産に驚く。さらに、出されていくお土産の質が高品質なものばかりである事に気付くと、その事にまた驚いている。そしてその驚きは、服だけでなく小物や食器などにも対しても、同じく向けられているのが伝わってくる。
小物や食器に関しても、俺やジャック爺からしたら慣れ親しんだものであるが、カノッサ公爵夫妻やイザベラ嬢たちからすればまた違うのかもしれない。だが服の時とは違い小物や食器ならば、カノッサ公爵家やジャンの生家であるコルネ侯爵家ともなれば、これらの物よりも良い物を使っていると思うんだがな。そんな事を考えながら、手際よくテーブルの上に出せるだけ出し切った後に、ジャック爺に近づいていく。
「ジャック爺、もしかしてもしかするんだけど、小物や食器なんかも?」
「うむ、そうじゃな」
「ええ~、なんで?だって公爵家だよ?ベイルトンの職人たちを下に見るつもりはないけど、やっぱり公爵家お抱えの職人さんたちが作った、良い小物や食器を使ってるんじゃないの?ジャック爺、今日だってそうけど、お茶会に使われてる食器を見たでしょ?」
「確かに、お茶会で使われておる食器の数々は、どれもこれも素晴らしい。それは間違いのない事実じゃ。じゃが、ベイルトンも負けてはおらん。何よりも、ベイルトンには魔力が豊富な木材や金属を扱う技がある」
「あのおっちゃんたちに、そんな特別な技なんてあったの?」
「そうじゃ。その技があるからこそ、他の領地の貴族たちや、公爵といった上位貴族などのお抱えの職人たちにも、一歩も引けを取らんのじゃ」
「ほんとに?あのおっちゃんたちが?」
「そうじゃ。あ奴ら外見はただの普通の親父じゃが、職人としての腕は間違いなく一流じゃ。魔力が豊富な木材や金属を扱えるというのは、その道の職人たちからすれば、上位貴族に等しいくらいの存在じゃな」
「…………そうなんだ。あの禿げのおっちゃんたちがねぇ」
「禿は余計じゃ。あ奴らも気にしとるんじゃから、あ奴らの前ではその言葉は禁句じゃぞ」
「了解」
俺とジャック爺がそんな会話を続けている間にも、カノッサ公爵夫妻やイザベラ嬢たちが、小物や食器をじっくりと品評していた。その中にはジャンやマークも混ざっていて、あのデザインの小物や食器がいいと、男性目線からの意見を言っていた。そして一通りの品評が終わった後に、女性陣の瞳がギラリと輝くのが見えた。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
魔力無し転生者の最強異世界物語 ~なぜ、こうなる!!~
月見酒
ファンタジー
俺の名前は鬼瓦仁(おにがわらじん)。どこにでもある普通の家庭で育ち、漫画、アニメ、ゲームが大好きな会社員。今年で32歳の俺は交通事故で死んだ。
そして気がつくと白い空間に居た。そこで創造の女神と名乗る女を怒らせてしまうが、どうにか幾つかのスキルを貰う事に成功した。
しかし転生した場所は高原でも野原でも森の中でもなく、なにも無い荒野のど真ん中に異世界転生していた。
「ここはどこだよ!」
夢であった異世界転生。無双してハーレム作って大富豪になって一生遊んで暮らせる!って思っていたのに荒野にとばされる始末。
あげくにステータスを見ると魔力は皆無。
仕方なくアイテムボックスを探ると入っていたのは何故か石ころだけ。
「え、なに、俺の所持品石ころだけなの? てか、なんで石ころ?」
それどころか、創造の女神ののせいで武器すら持てない始末。もうこれ詰んでね?最初からゲームオーバーじゃね?
それから五年後。
どうにか化物たちが群雄割拠する無人島から脱出することに成功した俺だったが、空腹で倒れてしまったところを一人の少女に助けてもらう。
魔力無し、チート能力無し、武器も使えない、だけど最強!!!
見た目は青年、中身はおっさんの自由気ままな物語が今、始まる!
「いや、俺はあの最低女神に直で文句を言いたいだけなんだが……」
================================
月見酒です。
正直、タイトルがこれだ!ってのが思い付きません。なにか良いのがあれば感想に下さい。
俺、貞操逆転世界へイケメン転生
やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。
勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。
――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。
――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。
これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。
########
この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。
【無双】底辺農民学生の頑張り物語【してみた】
一樹
ファンタジー
貧乏農民出身、現某農業高校に通うスレ主は、休憩がてら息抜きにひょんなことから、名門校の受験をすることになった顛末をスレ立てをして語り始めた。
わりと強いはずの主人公がズタボロになります。
四肢欠損描写とか出てくるので、苦手な方はご注意を。
小説家になろうでも投稿しております。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる