19 / 348
第19話
しおりを挟む
「これは一体何の騒ぎだ?」
その声が聞こえてきた時、私は厄介な事になったと思った。恐らく私たちの騒ぎを聞きつけて、また妙な正義感を燃やして首を突っ込みに来たのね。食堂の二階から姿を現した声の主は、金髪碧眼の美形の男。そう、マルグリット様とナタリーさんにとっての鬼門、アルベルト・アイオリス殿下その人だ。
「アルベルト殿下!?殿下、聞いてくださいませ!!またお姉さまがナタリーさんを……」
「何だと!?」
ローラの媚びた様な甘い呼びかけに対して、マルグリット様への怒りを身体全体から溢れさせながら、階段を下りてくる。そんなアルベルト殿下の後ろには、彼の将来の側近候補たちである方々が付いてきている。
アイオリス王国魔法師団長の息子であり、本人も優秀な魔法使いであるセドリック・ピエール。伯爵家の生まれで、ブラウンの髪にブラウンの瞳をしているワイルド系のイケメン男子。
アイオリス王国宰相の息子であり、親譲りの理性的な性格や考えで周囲を観察し、殿下をサポートする優秀な側近であるフレデリック・ランドン。侯爵家の生まれで、ブルーの髪にレッドの瞳をしている知的なイケメンメガネ男子。
アイオリス王国カルフォン公爵家の長男であり、運動神経抜群・成績優秀な文武両道の才人であるマルク・カルフォン。マルグリット様やローラと同じプラチナブロンドの髪にエメラルドの瞳の、可愛らしい顔立ちをしている童顔の男子。
それぞれ婚約者の女性がいるくせに、どいつもこいつもナタリーにホの字のアホ共ね。
(また面倒な連中が来たわね。いえ、…………もしかしたらわざと?)
私がふと思った事に確信を得るために、ローラの顔をチラリと見てみる。そうしたら、ローラの口元が僅かに歪んでいるのが見えたの。その瞬間、この茶番の様な言い合いが、ローラによって仕組まれたものだと確信出来た。私たちが二人に接触してからは暫く大人しくしていたが、遂に痺れを切らして仕掛けて来たという事ね。
そうこうしている内に、アルベルト殿下を含めた四人が怒気を溢れさせながら、こちらへと近づいてくるわ。その怒りに満ちた姿から、四人の怒りの度合いがどのくらいのものなのかは、見ただけ分かる程お怒りの様ね。ズンズンと四人がこちらに近づき、遂私たちのテーブル到着する。
(さて、まずは第一声で何を言うのか聞かせてもらいましょうか。内容によっては…………フフフ)
私の内心の思いが身体から滲み出ていたのか、四人共一斉に身体をビクリとさせる。さらには、ローラやクララまでもがビクリと身体を震わす。
(ローラはまだしも、クララはそんな反応しなくてもいいじゃないの)
クララの反応にほんの少しだけショックを受けながらも、アルベルト殿下の第一声をしっかりと聞こうと集中する。
「マルグリット!!またナタリーに何かしたのか!!早くナタリーに頭を下げるんだ!!」
アルベルト殿下の口から発せられた言葉は、私にとっては予想通りのものだったわ。そして、私の友達であるマルグリット様の名誉を汚す、非常に不愉快な言葉であった。
その声が聞こえてきた時、私は厄介な事になったと思った。恐らく私たちの騒ぎを聞きつけて、また妙な正義感を燃やして首を突っ込みに来たのね。食堂の二階から姿を現した声の主は、金髪碧眼の美形の男。そう、マルグリット様とナタリーさんにとっての鬼門、アルベルト・アイオリス殿下その人だ。
「アルベルト殿下!?殿下、聞いてくださいませ!!またお姉さまがナタリーさんを……」
「何だと!?」
ローラの媚びた様な甘い呼びかけに対して、マルグリット様への怒りを身体全体から溢れさせながら、階段を下りてくる。そんなアルベルト殿下の後ろには、彼の将来の側近候補たちである方々が付いてきている。
アイオリス王国魔法師団長の息子であり、本人も優秀な魔法使いであるセドリック・ピエール。伯爵家の生まれで、ブラウンの髪にブラウンの瞳をしているワイルド系のイケメン男子。
アイオリス王国宰相の息子であり、親譲りの理性的な性格や考えで周囲を観察し、殿下をサポートする優秀な側近であるフレデリック・ランドン。侯爵家の生まれで、ブルーの髪にレッドの瞳をしている知的なイケメンメガネ男子。
アイオリス王国カルフォン公爵家の長男であり、運動神経抜群・成績優秀な文武両道の才人であるマルク・カルフォン。マルグリット様やローラと同じプラチナブロンドの髪にエメラルドの瞳の、可愛らしい顔立ちをしている童顔の男子。
それぞれ婚約者の女性がいるくせに、どいつもこいつもナタリーにホの字のアホ共ね。
(また面倒な連中が来たわね。いえ、…………もしかしたらわざと?)
私がふと思った事に確信を得るために、ローラの顔をチラリと見てみる。そうしたら、ローラの口元が僅かに歪んでいるのが見えたの。その瞬間、この茶番の様な言い合いが、ローラによって仕組まれたものだと確信出来た。私たちが二人に接触してからは暫く大人しくしていたが、遂に痺れを切らして仕掛けて来たという事ね。
そうこうしている内に、アルベルト殿下を含めた四人が怒気を溢れさせながら、こちらへと近づいてくるわ。その怒りに満ちた姿から、四人の怒りの度合いがどのくらいのものなのかは、見ただけ分かる程お怒りの様ね。ズンズンと四人がこちらに近づき、遂私たちのテーブル到着する。
(さて、まずは第一声で何を言うのか聞かせてもらいましょうか。内容によっては…………フフフ)
私の内心の思いが身体から滲み出ていたのか、四人共一斉に身体をビクリとさせる。さらには、ローラやクララまでもがビクリと身体を震わす。
(ローラはまだしも、クララはそんな反応しなくてもいいじゃないの)
クララの反応にほんの少しだけショックを受けながらも、アルベルト殿下の第一声をしっかりと聞こうと集中する。
「マルグリット!!またナタリーに何かしたのか!!早くナタリーに頭を下げるんだ!!」
アルベルト殿下の口から発せられた言葉は、私にとっては予想通りのものだったわ。そして、私の友達であるマルグリット様の名誉を汚す、非常に不愉快な言葉であった。
0
お気に入りに追加
105
あなたにおすすめの小説
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
RiCE CAkE ODySSEy
心絵マシテ
ファンタジー
月舘萌知には、決して誰にも知られてならない秘密がある。
それは、魔術師の家系生まれであることと魔力を有する身でありながらも魔術師としての才覚がまったくないという、ちょっぴり残念な秘密。
特別な事情もあいまって学生生活という日常すらどこか危うく、周囲との交友関係を上手くきずけない。
そんな日々を悶々と過ごす彼女だが、ある事がきっかけで窮地に立たされてしまう。
間一髪のところで救ってくれたのは、現役の学生アイドルであり憧れのクラスメイト、小鳩篠。
そのことで夢見心地になる萌知に篠は自身の正体を打ち明かす。
【魔道具の天秤を使い、この世界の裏に存在する隠世に行って欲しい】
そう、仄めかす篠に萌知は首を横に振るう。
しかし、一度動きだした運命の輪は止まらず、篠を守ろうとした彼女は凶弾に倒れてしまう。
起動した天秤の力により隠世に飛ばされ、記憶の大半を失ってしまった萌知。
右も左も分からない絶望的な状況化であるも突如、魔法の開花に至る。
魔術師としてではなく魔導士としての覚醒。
記憶と帰路を探す為、少女の旅程冒険譚が今、開幕する。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
【前編完結】50のおっさん 精霊の使い魔になったけど 死んで自分の子供に生まれ変わる!?
眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです
ファンタジー
リストラされ、再就職先を見つけた帰りに、迷子の子供たちを見つけたので声をかけた。
これが全ての始まりだった。
声をかけた子供たち。実は、覚醒する前の精霊の王と女王。
なぜか真名を教えられ、知らない内に精霊王と精霊女王の加護を受けてしまう。
加護を受けたせいで、精霊の使い魔《エレメンタルファミリア》と為った50のおっさんこと芳乃《よしの》。
平凡な表の人間社会から、国から最重要危険人物に認定されてしまう。
果たして、芳乃の運命は如何に?
異世界でのんびり暮らしたいけど、なかなか難しいです。
kakuyuki
ファンタジー
交通事故で死んでしまった、三日月 桜(みかづき さくら)は、何故か異世界に行くことになる。
桜は、目立たず生きることを決意したが・・・
初めての投稿なのでよろしくお願いします。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
目覚めた世界は異世界化? ~目が覚めたら十年後でした~
白い彗星
ファンタジー
十年という年月が、彼の中から奪われた。
目覚めた少年、達志が目にしたのは、自分が今までに見たことのない世界。見知らぬ景色、人ならざる者……まるで、ファンタジーの中の異世界のような世界が、あった。
今流行りの『異世界召喚』!? そう予想するが、衝撃の真実が明かされる!
なんと達志は十年もの間眠り続け、その間に世界は魔法ありきのファンタジー世界になっていた!?
非日常が日常となった世界で、現実を生きていくことに。
大人になった幼なじみ、新しい仲間、そして……
十年もの時間が流れた世界で、世界に取り残された達志。しかし彼は、それでも動き出した時間を手に、己の足を進めていく。
エブリスタで投稿していたものを、中身を手直しして投稿しなおしていきます!
エブリスタ、小説家になろう、ノベルピア、カクヨムでも、投稿してます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる