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階級闘争編、開始!

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【長すぎ】この話は長すぎます。然しこの程度の活字も読めないのであれば、本を読むことに向いていません。4コマ漫画でも読んでください。

【思想】この話は右に偏りすぎです。
                                             
【怪文書】この作品自体がそうですが、この話は特に怪文書要素が強いです。怪文書の天才か、京都大学文学部の方を連れてくることをお勧めします。

 「さあ文化祭終わり、今日からも元気に張り切っていきまっしょい!」
 いつもの調子で楓が元気に言う。ここだけ見れば僕は可愛い女子高生に親しげに話しかけられる、ライトノベルの主人公としてテンプレートな人間になるだろう。
「御都合主義、パッと見新自由主義と同列に並んでても違和感ないよね」
「違和感しかないだろ。政治思想に丁寧語がついていてたまるか」
 お嬢様でも、思想に丁寧語をつけるなんて聞いたことがない。
「まあまあそんなどうでもいい話はおいておくとして」
 お前が始めた物語だろ。
「ライトノベルの部活動ってのは本来絶対に認可されないようなものばかりじゃない?」
「まて、この怪文書集合体をライト”ノベル”というのはやや無理があるぞ」
「まあ純文学をウィ◯ペディアだとしたら、ラノベはアンサ◯クロペディア、これはチャ◯ウィキかエ◯ペディアみたいなものだからな」
 借力、な。
「細かいなあ。あんたいつからウィキペディアンユーモア欠乏症みたいなこと言い出すようになったのよ」
「どうでもいいだろ、それよりはやく話を始めろ」
 すぐに脱線するのはこいつの悪い癖だ。
「ああそうそう、絶対認可されない部活ってあるじゃない」
「例えば何だ」
「ええと、隣◯部とか、G◯部とか、侵◯部とか、ヒー◯ー部とか」
「これで作者が何を見ているのかがよく分かるな」
 わかるのか、これで。
「あと真面目な体裁を装ってるのもあるよね。情報処理部、古典部、それから……」
 ついに伏せ字すらしなくなったかこいつは。古典部はちゃんと役目果たしてるだろう。
「古典部ってあれだろ、かき揚げ作る部活」
 君は文字が読めないのかな。古典の意味をぜひ国語辞典で引き直してみるといいよ。
「まああとは部じゃないけど団だったり秘密結社だったりするやつね」
「それでなんだ、なにがいいたい」
「いい!?フィクションには常軌を逸した部活動その他が必要なの!それに引き換え弊校はなによ、みんな真面目に部活なんかしちゃって」
「それが本来あるべき部活の姿だ。闇鍋したり、かき揚げ作るってのはイレギュラーな存在なんだ」
「いやいや、新聞部なんて見てみなさい。生徒会の悪口や悪評をばらまかずに、むしろ宣伝機関と化しているじゃないの!」
「まあ部長が福山氏だからな」
 マジか、福山委員長が部長なのか。
「そんなのつまらないじゃない。あいつは手から和菓子を出せるわけでもないし、人の夢に干渉できるわけでもない。そんなつまらない、ありきたりな人間が部長なんかでいいと思う?」
「福山委員長ってありきたりな人間なのか、北見」
「去年だったかな、地理オリンピックで銅メダルに輝いてた」
 どこがありきたりだ、我が校でも指折りの秀才だろう。
「その程度なによ、私は中三のころに漢検一級取得したんだからね」
「その話未だに信じられないんだけど」
 確かに昔漢検一級を取った!と嬉しそうに騒いで、いざ表彰されるときになったらすごく不機嫌そうな態度で式に臨んでいた事があった。あれは未だに夢ではないかと思っている。
「ちなみに綺麗、これの綺って常用漢字じゃないし、漢検一級で出されるような問題なのよ」
 妙にそれっぽいな。
「ええと、それで話を戻して。とにかくね、ありきたりなのよ、部活動が」
「じゃあお前が創部すればいいのに」
「その通り、なんだ解っているじゃない」
 おい待て、まさか僕まで巻き込もうってんじゃないだろうな。
「大丈夫、すでに入部届は出しておいたわ」
「いや、僕書いた覚えないんだけど」
「おっと、筆跡真似の北見こと俺の存在を忘れていないか」
 お前にそんな特技があったのか。
「真面目にいうとあんたの家に行ったときにプリントを数枚拝借して、上からトレースした」
 えらく原始的な方法だった。
「……どうやって申請したんだよ」
「これを見なさい」
 そこに書かれていたのは、『社会研究部』の五文字だった。
「社会……研究部?」
「そう、社会研究部。社会に潜む様々な問題の原因と解決策を考えて、学園及び社会の問題解決を促進し、また生徒の主体的な問題解決に依る学業への転用を目的とした部活動、として申請したわ」
 よくもまあ、スラスラと嘘が出てくるものだ。
「いやあ、校長に説明するときに自分でも驚くほどスラスラと言葉が出てきたわ。なにかに憑依されたみたい」
 あ~こわ~などとふざけた調子の楓。僕には到底信じられなかった。だってあの楓だ、生徒指導も経験した真面目とは言えない人間が、突然こんなことをしだしたら、普通はナニかを疑うようなものじゃないのか。
「……そうだ、顧問は誰になってもらうんだ」
「それはこの人、司書教諭の松山先生よ」
「なんでまた」
「我が妹が図書委員だから、そのつながりを使ったまでさ」
 なにかと便利だな、そういうの。
「というわけで私達の部室、図書保管室に行くわよ!」

 図書保管室は図書棟に隣接するように置かれている。すぐそばには教科準備室もある。
「ちなみに全く使われていない社会準備室も事実上の部室として、私達が自由に使えるようにしておいたわ」
 妙な行動力を見せる楓。心なしか、顔がツヤツヤしているし身振りもイキイキとしている。
「この六畳の空間が、今から私達の学校革命の砦となるのよ」
 そこにはホコリっぽいような、冷たい部屋が広がっていた。
「というわけで明日から部活するから、各々必要なものを持ってきてね」
 そういって足早に楓は昇降口へと向かった。

 「……あんたさ、昨日の発言覚えてるの?」
「無論」
「……じゃあさ、その手に抱えているものは何?」
「プレ◯テ2とレト◯クリーフと3◯SとSwi◯chとノートパソコン二台」
「……遊ぶ気満々じゃない」
「しょうがないだろ、テレビがおいてあるんだから」
「……まあいいわ。何持ってきたの」
「社会部らしく桃◯なんかどうかと思ってね」
「だからプ◯ステ2が必要だったのか」
「ちなみにノーパソには何が入っているの?」
「ダ・◯ーポとか恋◯とか、まああとはいろいろ。こっちは編集ソフトとかだけど」
「あんた、学校に来てまでエ◯ゲするきなの?」
「は、お前サクラ◯ロノキセツ聴いたことないのか?あれいい曲なんだぞ。エ◯ゲからしか摂取できない栄養素をここでも得たいんだ」
「真面目に回答するとどうなるんだ」
「そろそろリビングに置かれている共用のテレビでゲームするのにも無理が生じてきた」
「結局あんたも部活をまともなものとして認識していないじゃない」
「お前が作った部活なんだ、どうせすぐにまともじゃなくなる」
「まあそれは一理ある」
「いやそれどういう意味よ」
 そのままの意味だ。
「さて、まずは何をするかな」
「フロン製造」
「モントリオール議定書とはなんだったのか」
「ただの紙切れなんて破いちゃえばいいんだよ」
 第二次世界対戦もきっとこんな感じで起きたんだろうな。
「酒の密造とかしてみるか?」
「未成年が飲酒はまずいわ」
 未成年じゃなくてもまずいんだよ。
「バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」
 今のセリフ、録音しておいたからな。
「南下しようよ」
 不凍港目指してる?
「不登校はいろいろ有るよね」 
「作者は不投稿をやめろ」
 不投稿にもいろいろ有るんだよ。
「例えば」
「赤点を取っていた。別シリーズを書いていた。動画編集をしていた。停電していた。保存する前に再起動が勝手にかかった」
「ロスではロスは日常だ、その程度で怯むんじゃない」
 ここは日本だ。
「占守島?」
「千島列島全島返還論はやめろ」
「無理があろうと思われます」
 北見もこうやってお気持ち表明しているじゃないか。
「これ不敬に当たらない?」
「この作品に於いて、ただの一度でもまともなことをいっていたか?」
 僕が問うと、楓がこういった。
「文化大革命」
「北見、こいつ殴っていいぞ」
「えっ、今日は殴ってもいいのか?」
「ああ、しっかり殴れ」
 遠慮するな、おかわりもいいぞ!
「おいばかやめなさい」
 ただいまより暴力訓練を開始する!
「階級闘争は?」
「暴力革命への第一歩だぞ」
「金沢二等兵に敬礼!」
「二等兵に敬礼などするやつがあるかバーカ」
 地上げ屋でもやってろ。
「とはいってもね、この学生運動精神はきっと独特な価値観を持った人年寄り左翼に支持されると思うの」
 そんな死にゆく存在よりも、もっと将来性の有りそうな職種についたらどうだ。
「例えば」
「全◯とか」
「どのみち同じ末路を辿りそう」
「そうしたら亡命すればいいんだよ」
「どうやってさ」
「僕の大叔父がね、一応外交官なんだよ」
「地味にエリート階級じゃん」
「闘争開始!」
「お前の父親も学者だろ」
「学者なんて認められなきゃ、妄想を一生吐き続けているイタくて危ないやつだからな」
 止めてくれ北見、その発言は僕にも刺さる。
「お袋もなんであんな狂人と恋仲に落ちて、三人も子供を設けたんだろうな」 
「やはり低迷する我が国のGDPに憂いて……」
 産めよ増やせよじゃないから。
「四十五歳までに五人産まないと違法!」
「英雄の母になろう!」
 その結果がアレかよ。
「国がしくじったことは国に責任持ってもらわないとね」 
 国自体がまるごと変わったようなものだろあれ。
「ちなみに作者の誕生日とチャウシェスクが処刑された日は、同じ日付なんだぜ」
「あの黒田官兵衛と同じ誕生日?」
「うん」
 そうか、伊藤博文と同じ誕生日だったのか。
「あ、そうだ。今日は学校革命の同志を連れてきたわよ!」
 創部して二日目だというのに、すでに見つけたのか。
「おねーちゃあーん!」
 大声を上げて飛び込んできたのは、興香であった。
「こいつを入れてもいいのかよ……」
「ちょっと、仮にも副委員長なのよ」
 委員長?部長じゃなくて?
「社会問題研究部中央政治局副委員長よ」
 なんでそんなに長い名前をしているんだ。普通に部長でいいだろ。
「文句言わないの、宣伝広報部部長」
 え、なんかいつの間にか役職が付いてるんだけど。
「一応はそれだけね。ほんとは後三つくらい兼務してほしいんだけど」
「待て、お前は一体いくつ兼務しているんだ」
「中央政治局委員長、武力部部長、社会安全部部長、交通部部長、環境保障部部長……」
 どんだけ兼務しているんだお前。あと◯◯部って中央政治局とかいう機関の下部組織か?
「なーんで部規を読んでないかなぁ」
「もらってないからだよ」
「あげたじゃない」
 もらってないんだが?
「もしかしてこれか、このきったない紙切れ」
 白石が汚い紙切れを、ひらひらと振る。
「それにすべてを託したわ」
 どう見ても、一年間鞄の奥に沈んだプリントみたいな見た目をしているんだが。
「しっかりしろよ、宣伝広報部長」
「うるさいよ」
「さすが情報部部長ね」
 こいつにも役職が有るのか。
「科学技術部部長と情報部部長の二つね。こいつも兼務を拒んだのよ」
「天皇中心とか言っておいて、武士を蔑ろにするのはな」
 ケンム違いだ。
「……よし、あんたに社会部部長の役職を与えるわ」
「広すぎるだろ馬鹿」
 第一、社会問題研究部より上位の部みたいじゃないか。
「さあ、第一回会議を始めるわ。なにかしたいことはある?」
「帰ろう、帰ればまた来られるから」
「逆に、学校に泊まり込む」
「いいわね、エクストリームスポーツっぽい」
「今日は帰って梅の様子を見ないといけないんだが」
「梅当番とかあるんだ」
 梅干しは自分でつけるに限る。市販よりも余程うまい。
「◯味んぼみたいなことになってきた」
「この梅干しを漬けたのは誰だ!女将を呼べぃ!」
「女将が漬けたわけじゃないだろ」
「この梅干しは偽物だ。明日もう一度来てください、ホンモノの梅干しを食わしてやりますよ」
「奏輝、お前は肝心なことを見落としている……」
「なんで美◯しんぼごっこやってるの?」
「食に対する闘争を始めないとね」
「美食倶◯部に対するオルグを開始しないとね」
「政治嫌いなのに?」
「政治家嫌いなだけであって、政治が嫌いではないと思うわ」
 これが文化人ちゃんですか。
「小説家で成功したら政党を作って、ツ◯ッターでブロックしまくって」
「X、な」
「……ツイッ◯ーでブロックしまくって、政治家デビューしたいわよね」
「どんな本を出すんだ」
「永遠の零」
「一応内容は聞いてやる」
「浪人を永遠に繰り返して、生気が零になるって話」
 なんでそんなに悲しい話なんだよ。
「作中の名言『東大理三以外はカス!』は流行語大賞にもなったよね」
 学歴厨かよ。大人しく岡山r
「いらないこと喋ってないで、早くやること決めろよ」
 時計を見やると、既に五時を指していた。最終下校時刻まであと位置時間と少しである。
「生徒会長乳首ピンポンダッシュ」
「日本語ではなせ」
「現生徒会長は女性だろ、全年齢なのに不味いぞ」
「そんなに怖気づいてちゃあ彼女なんてできないわよ」
「公然わいせつ罪なんだよ」
「なんでわいせつってひらがななの?」
「常用外漢字だからね。二千十年までは覚せい剤も覚醒剤って表記してたのよ」
「逆だバカ」
 ほんとに漢検一級を持っているのかこいつは。
「脱線するな」
 お前が脱線させたんだよ。
「んで、やはり最高権力者である生徒会長を叩きのめすことこそが、わたしたちにとっても大事なことだと思うのよね」
「生徒会長って誰?」
「俺に聞くな、知ってるわけがないだろ」
熊本阿笥見くまもとあけみね」
 楓が頬杖をついて、窓……はないので壁を見ながらそう答える。
「一字一字当て字みたいな名前だな」
阿弖流為あてるい的なね」
「んで、その生徒会長をどうするんだ」
「そりゃあ討伐するんだけどさ」
 モンスターかよ。
「苦手なのよ、あのロリコンレズビアン」
「まるでレズビアンが悪口みたいな言い方をやめろ」
「あいつロリコンでシスコンでレズビアンで不正会計してて男子生徒を抑圧しているじゃない」
「アンサ◯クロペデ◯アからの引用か?」
「『カテゴリ 真実を書いてしまった記事』」
 まじかよ。
「ちょっと違うな、マザコンも混じってる」
「あ、ロリコンで~の下りは全部事実なんだ」
 大丈夫か、こんなのが生徒会長で。
「その証拠に生徒総会から任命される幹部は全員女子中学生なのよ。あとは彼女の身内とかね」
「わかりやすい独裁体制だな」
「そう!だから権力を独占する悪逆非道な生徒会長を打倒し、学生とすべての人民により自由で公平な社会を築くための革命の礎がここなのよ!」
 両手で机をバン!と叩いて叫ぶ楓。
「なるほど、お前の言っていた革命が~というのはあながち間違いではないと」
「そそ」
「んでそれはいいんだが、もし革命が成功したらどうするんだ」
「そうね……あんたやりたい役職とかある?」
「……書記とか?」
「じゃああんた書記ね。北見は?」
「なんでも構わない」
「じゃあ文化部部長ね」
「なんか今までの体制と大差ないと思うんだけど」
「革命で学校が混乱した場合、落ち着くまでの暫定政府よ」
「その暫定政府が事実上の政府として独裁を築いているというのはよく聞く話だが」
「ま、卒業しちゃったらそれっきりだし多少は、ね?」
「それっきり、それっきり、それっきりですが~」
「山▢百恵ファンに滅多刺しにされるぞ」
 名曲をこんなところで引用するんじゃない。
「というわけで!次の次の……次の回から本格的に始動します!」
「夏休みなのにわざわざ来ないといけないのかよ……」
「あんたの家でやる、っていう択もあるけど」
「それは」
 僕に電流走る。
「……うん、まあいいよ」
「あら、意外と素直」
「……ナニカ企んでいるな?」
「なにを企むんだよ」
「麻薬製造?」
「楓、お前の妹だろ。教育どうなってんだ」
「法律的には別人」
 しまった、そうだった。
「というわけで!明日から本格的に学校革命の準備をしていくわよ!」
 楓が元気よく宣言して、その日の部活は終わった。
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