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【18】ドリームカムトゥルー

          ⑨

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「えー、まじかぁ……。中止になれへんかなぁ」
「ゴルフコンペって雨でもやりますよねぇ?」
「やりますねぇ。冬なら雪でクローズもありますが、よっぽど台風でも来ない限りゴルフ場からは中止にならないので、後はコンペの幹事の判断じゃないですか?」

 このゴルフコンペの幹事は和希だった。

 由唯は和希に大雨だったら中止するように言ってみようと思ったが、問題はゴルフ大好きの本部長の中沢だった。中沢のゴルフの信条は『ゴルフに同じシチュエーションなし』だった。要はゴルフと言うのは打つ場所、天候、風など同じ条件で2度打つことはなく1度限りの条件だからゴルフは面白いと言うのだ。

 こんな考えの中沢だから雨でも「これがゴルフだ!」と言ってやりかねない……。

(あー、和希! どうか中止にしてくれますように)

 ここでシーザーサラダがテーブルに運ばれ、直にトマトコロッケ、お刺身、明太子だし巻玉子が並んだ。

 浜中が、だし巻き玉子を口に入れると、

「おっ! めっちゃフワッとしてて美味しい」
「ほんとですか?」

 由唯も浜中に続いてだし巻き玉子を一口食べた。

「ほんとですね! めっちゃフワッとしてて、出汁の味がすごくしてて美味しいですね」

 続いてトマトコロッケを食べてみた。お芋の甘味とトマトの酸味がちょうどいい感じでマッチしていて初めて食べる味だった。

「うん! コロッケも美味しい!」

 その後も出てくる料理はどれも美味しく、ついつい食べ過ぎてしまった。

「せっかく運動したのに、それ以上に食べてしまいました 笑」
「僕もすっかり食べ過ぎました。今日はいいお店連れてきてくれて有り難うございました」
「本当ですか? それならよかったです」

 2人はお会計をしてお店を出て駅に向かった。

「明日、仕事じゃなかったらもう1軒誘いたいとこですが、今日は荷物もあるしまた行きましょうね」
「はい、宜しくお願いします」

 お店を出て信号を渡ると駅だ。JRと京阪電車の駅の入口は向かい合わせになっている。

 由唯の家は京阪沿線だが浜中はJR沿線だった。

「浜中さん、ご馳走様でした。いつもすみません。ありがとうございました。」
「いいえ、こちらこそ有り難うございました。今週末のコンペは奇跡で晴れたらいいですね」
「はい」

 由唯は笑顔で返した。

「そうだ、本宮さん?」
「はい?」
「今度はゴルフじゃなくて、普通のデートのお誘いしてもいいですか?」

 由唯は思いもしなかった言葉に少し驚いたがすぐに「はい!」と、いつものように笑顔で返事した。

「では、また連絡しますね。おやすみなさい」
「宜しくお願いします。では、おやすみなさい」

 由唯と浜中は次回のデートの約束をすると、2人は会釈をして各々の改札に向かった。
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