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【18】ドリームカムトゥルー
③
しおりを挟む翌日の土曜日、由唯は10時に目覚ましに起こされた。昨夜は……正確には今朝だが、4時までカラオケをしてタクシーで家に帰るとベッドに入ったのは5時半頃だった。カラオケに行く前、澪が前から気になっているお店が京橋にあると言ったので「じゃー早速行こかぁー」となり、12時集合となっていたが、昼前まで寝れるからいいかと、つい朝まで歌ってしまった。
〈澪起きてるー?〉
今朝、別れ際に澪が寝坊したらあかんから、念のため朝メールちょうだいとお願いされたので目が覚めるとすぐにメールを送った。送信し終わると、シャワーへ向かい20分程して戻ってきたがメールは既読になっていない。
(あれー? まだ寝てる?)
心配になり澪に電話を掛けるが呼び出し音がなるだけで電話に出ない。時間を置いて何回か掛けるがそれでも出なかった。
その時、携帯にメールの着信を知らせる音がなった。
(澪かな?)
携帯を見ると和希からだった。
〈おはよー。起きれたから俺も行くわー〉
起きれるか自信がないから起きれたら行くわーと言っていた。しかし、肝心の主役の反応がない。連絡が取れない以上、約束の時間に行くしかない。
その後も何回かメールと電話をするが時計を見ると11時30分になろうとしていた。
(うーん……とりあえず行ってみるか)
仕方なく由唯は家を出て駅に向かった。
(澪、絶対に寝てんねんやろなー……)
京橋に着いて改札を出ると既に和希が待っていて由唯に気付くと右手を挙げた。
「おっす~!」
「おはよー。澪がな……」
澪と連絡が取れない事を説明しようと話し掛けた時、由唯の携帯が鳴った。
「ちょっと待って、澪からやわ」
和希に断って携帯にでた。
「もしもし澪?」
「ごめーん由唯! やってもーた。今、起きた……」
「やっぱり寝てたん? 何回も電話したのにでーへんから寝てるなーって思ったわ」
「ごめん。今どこ?」
「京橋に着いたで」
「うわー。ごめん。すぐ用意して出るから……」
「わかったー。じゃー待ってるでー」
そう言って電話を切った由唯は苦笑いした。
「どうしたん?」
心配そうな顔をして和希が聞いてきた。
「うん。今起きたやって」
「……えっ? まじで?」
「うん」
「4時までカラオケしたのがあかんかったか? 笑」
「そやでー。和希がカラオケ行こう言うから」
「えー、俺のせい? 由唯と澪めっちゃ楽しんでたやん?」
「あはははは、そうやったっけ?」
「うわ、ひどー」
「冗談やん」
「で、どうする?」
「澪くるの待つしかないやん」
「それはわかってるけど……。どっかお店入って待っとこか?」
「そやな。そんなに時間掛からんと思うからマクドでも入っとく?」
と言いながら由唯は歩きだした。
和希も後ろについて歩いた。
「澪、どれくらい掛かりそうかな?」
「そんなに待たへんと思うで」
「『そんなに』の物差しが由唯と違うからなー 笑」
「『そんなに』言うたら『そんなに』やん!」
「あはははは。全然わからんねんけど」
そんな話をしながらマクドの店の前まできた。
ピロン♪
「あっ、澪からメールきた」
「なんて?」
「〈今、家を出たー。ごめんなー〉やって。」
「えっ? めっちゃ早くない?」
和希が驚いた。
「うん。めっちゃ早い! 化粧もせんと出てきたんちゃう 笑」
「あはははは! じゃー改札の前で待っとこか」
和希がそう言うと、2人は入り掛けたマクドを背にして、きた道を引き返した。
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