「人生の折り返しに乾杯」 ～アラフィフ男女の理想的な関係～

【17】最強ブロガー

②

　その週末の金曜日は、澪の行きつけの天満のお店となり、18時55分天満駅改札集合だったが和希は10分前に着いた。

　天満にはめったに飲みにこない和希だったので、天満にはどんなお店があるんだろうと携帯のネットで《天満　美味しいお店》と検索してみた。

《さっちゃんの食べて～！飲んで～！間違いのないお店》というブログが一番上に表示された。

（なんや？　この澪を思い出させるタイトルは？　みおちゃんの食べてー。の間違いとちゃうんかい？　笑笑。　ふむふむ？『間違いのないお店？』そんな自信満々の名前にしたらアンチな読者に辛辣なコメント書かれるんちゃうん？）

　和希はこのブログが気になって画面をクリックした。

　見てみると、ブログ管理者のさっちゃんが行ったお店の美味しい料理や、お酒を紹介するよくある内容だが、料理の写真が数枚ずつ載っていて、丁寧に味の説明がされている。そして、その料理に合うお勧めのお酒を一緒に紹介している。このブログを見ると、このお店に行って食べたーい！　と思わせる上手な食レポとなっていた。

　ブログを読んだ人の反応が気になり、コメント欄をクリックしようとした時、後ろから声を掛けられた。

「和希ー、お待たせー」

　後ろを振り向いた和希は「おー」と右手を挙げて「いつもカラオケの時くらいしか天満に来ないから天満で待ち合わせって新鮮やわ」と笑った。

「うん。たまにはいいやろ？」

　澪が言うと和希は「そうやな」と頷いた。

「お店はこっから近いん？」
「うん。5分も掛からんで」

　そう言って澪は先頭を歩きだし、和希と由唯は後ろに続いた。

「ここまでどうやってきたん？」
「北浜から地下鉄できてん。由唯は梅田経由のJRで来たん？」
「そう。えー、地下鉄で来たん？　いつもJRでくるけど、地下鉄の方が時間掛かるやろ？」
「調べたらどっちも同じくらいやったで」
「ふーん」
「着いたよー」

　澪が振り向いて2人に言った。

　お店は【ザ・グリルズ】と看板の掛かった少し古い洒落た感じのお店だった。ドアを開けると《カランカラン》と昔、学生の時によく行った喫茶店を思い出す鈴の音がなった。澪によると、このお店は本格的なお肉とパスタが楽しめるらしい。

「マスターこんばんは」

　澪は店のマスターに挨拶をして、奥の4人掛けのテーブルに案内された。