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21.お腐れの真実
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次の日の朝。俺のベッドの上はとんでもないことになっていた。
昨晩、俺とナイジェルのツーショットでノエルが炸裂した後、ナイジェルは何故かキースを恐れてさっさと引っ込んでしまったが、それさえも気にすることなくノエルはぶつぶつと言い続け、終いには俺に紙と鉛筆を要求し、そこから先は何かがりがりと描き始め──俺はノエルと話すのは諦めてベッドの空いている場所に潜り込んで寝たのだ。
で、朝。
俺のベッドの上はとんでもないことになっていた(大事なことなので二度言いました)。
辺りには紙という紙が散乱していた。
ノエルは今も一心不乱に描いている。
「え、すご……」
思わず呟いて俺は辺りを見回した。
紙には漫画らしきものが……漫画だな、あれ。しかも……俺か?描かれているの。
近くにあった一枚を拾い上げ、内容を確認すると、
「おっふ……」
俺とナイジェルらしき人物がくんずほぐれつしている……。
え、すごいな。俺多分こんなこと言わないと思うけど。
まあ、うん……うん……ナイリアだもんな……しかし、この絵……。
「ノエル、他のも見ていい?」
「んー?うん……」
見られることは特に問題じゃないようで、ノエルは頷きながらも手を止めない。
内容はともかく、俺にしてみれば描かれている画風が問題だ。
──妹の、真夜の絵に、似てる……。
真夜とは、妹の名前だ。鴛野真夜。そして俺の前世での名前は、鴛野真昼。
なんてことない名づけ方で俺は真昼に生まれたので、真昼。
真夜は真夜中にうまれたから真夜。随分といい加減な由来だ。
しかし、いや、でも……だって、真夜は向こうで生きているはずだ。
「あのさ、ノエル」
「うんー?」
「ノエルも転生者だよね」
「うん~そうそう」
「あのさ、前はその……どういう感じで生きてた?」
お互いにゲームであるということや対象者の情報などは都度都度交換してきたし、話しても来た。ただ前世での生活については詮索したことがない。特に必要なかったということもあるのだが。
「うーん?普通の女子専門学生~漫画の専門学校に行ってて……」
真夜もその手の専門学校に行っていた。
尤も、あいつはすでに同人活動を高校のころからはじめていて、専門で習うことがないほどに漫画は描けていたように思う。それでも毎日ぎゃんぎゃん言いながら通っていた記憶が蘇る。
「家族は?ほら、兄妹とか……」
俺はノエルの話を聞きながら、もう一枚近くにある紙を取る。
やはりそれに描かれている絵は、俺が覚えている限り見れば見るほど真夜のものに似ている。
「兄妹……お兄ちゃんがいたよ~」
兄。
…………。
………………。
「もしかすると、サークル名タマゴと雄のマヨネーS先生ですかね……?」
俺がそう聞くと、え、とノエルが顔を上げた。
俺の方を凝視している。
「なんで、私のサークル名とペンネーム知ってんの⁈」
そりゃ、俺がお前の兄だからだよ!
※
「マジか。マジでお兄?」
事実は小説より奇なり……。
俺が兄でお前が妹で……もうびっくりだわ……。
とんだ事実が発覚している中、起こしに来たナイジェルによって俺たちは着替えさせられ、今は朝食も終えてくつろぎタイムだ。
朝食にはキースも参加しているので、前世のことなんて話せないので、早々と食べ終えた後に俺たちは侯爵家内にある書庫に来ていた。
ここならば、お茶でも飲もうというキースに対して、勉強するのでまた後程、という言い訳も通ったからである。
10人は座れそうな大きな四角テーブルに並んで座っており、ノエルの手元には書き散らした漫画があった。
「俺の名前は鴛野真昼。妹の名前は鴛野真夜。妹はAB型でサークル名はタマゴと雄。ペンネームはマヨネーS」
「……いやいやいや!それくらいならそれなりに!お兄なら合言葉が言えるはず!」
至って真剣にノエルは言う。……妹が阿保だった件について。
いや警戒心があるのは悪くないか。でも今の情報って、そんなに知ってるやつもいなさそうだけどな。合言葉ねぇ……。多分あれだな。
「アカ」
ノエルが俺を見つめながら言う。
俺もノエルに視線を合わせながら、
「スリ」
そう言った。
アカスリ。アカは色の赤ともとれるが、この場合のアカは垢。
……垢すりである。俺と真夜が小さいころに決めた合言葉。
ノエルは──真夜は大きく目を見開き、手に持っていた紙を机の上に無造作に置くと、がっと抱き着いてきた。
「お兄----!」
「まさかお前がいるとは……」
俺もノエル……真夜……見た目に合わせてノエルでいいか!ともかくノエルの背中に手をまわしてぽんぽんと叩いた。
「えー!そっかー!じゃあ、あの時……お兄も死んじゃったかー!」
「あの時?」
俺が首を傾げると、ノエルも同じく首を傾げた。
「あ、覚えてない?イベントの帰りにさーお兄と私が歩いてたら車が突っ込んできたじゃん」
そこまで聞いて、ざぁっと記憶が飛び込んできた。
俺と真夜……そうだ、あの日は二人で真夜の同人誌即売会(売り子)に付き合って、その帰りに──俺らは車に突っ込まれたんだ。最後に真夜が……新刊まだ読んでないー!と叫んで……最後がそれかよ!
「……思い出した……」
「いやー新刊読めなかったんだよね。ノエル、の。もう私ショックで……」
「え、お前今もそれ言うの?!」
筋金入りの腐った女子である真夜ことノエルは明後日どころか一か月先でもびっくりな発言をしやがる。怖かった、とかさ。色々ある中でそれなんか、お前……まあ、俺なんか覚えてもなかったけどさ。
PTSDとかになるよりはいいんかね、これね……。
変に明るい思考の妹はそれはそれでいいのかもしれない。
……なんて考えていると、
「どういう状況かな?」
リンドンと同じときのように、キースの声が耳に届いた。
……抱き合ったままです、ねぇ。
ちょっと色々と情報過多な気がするな。
昨晩、俺とナイジェルのツーショットでノエルが炸裂した後、ナイジェルは何故かキースを恐れてさっさと引っ込んでしまったが、それさえも気にすることなくノエルはぶつぶつと言い続け、終いには俺に紙と鉛筆を要求し、そこから先は何かがりがりと描き始め──俺はノエルと話すのは諦めてベッドの空いている場所に潜り込んで寝たのだ。
で、朝。
俺のベッドの上はとんでもないことになっていた(大事なことなので二度言いました)。
辺りには紙という紙が散乱していた。
ノエルは今も一心不乱に描いている。
「え、すご……」
思わず呟いて俺は辺りを見回した。
紙には漫画らしきものが……漫画だな、あれ。しかも……俺か?描かれているの。
近くにあった一枚を拾い上げ、内容を確認すると、
「おっふ……」
俺とナイジェルらしき人物がくんずほぐれつしている……。
え、すごいな。俺多分こんなこと言わないと思うけど。
まあ、うん……うん……ナイリアだもんな……しかし、この絵……。
「ノエル、他のも見ていい?」
「んー?うん……」
見られることは特に問題じゃないようで、ノエルは頷きながらも手を止めない。
内容はともかく、俺にしてみれば描かれている画風が問題だ。
──妹の、真夜の絵に、似てる……。
真夜とは、妹の名前だ。鴛野真夜。そして俺の前世での名前は、鴛野真昼。
なんてことない名づけ方で俺は真昼に生まれたので、真昼。
真夜は真夜中にうまれたから真夜。随分といい加減な由来だ。
しかし、いや、でも……だって、真夜は向こうで生きているはずだ。
「あのさ、ノエル」
「うんー?」
「ノエルも転生者だよね」
「うん~そうそう」
「あのさ、前はその……どういう感じで生きてた?」
お互いにゲームであるということや対象者の情報などは都度都度交換してきたし、話しても来た。ただ前世での生活については詮索したことがない。特に必要なかったということもあるのだが。
「うーん?普通の女子専門学生~漫画の専門学校に行ってて……」
真夜もその手の専門学校に行っていた。
尤も、あいつはすでに同人活動を高校のころからはじめていて、専門で習うことがないほどに漫画は描けていたように思う。それでも毎日ぎゃんぎゃん言いながら通っていた記憶が蘇る。
「家族は?ほら、兄妹とか……」
俺はノエルの話を聞きながら、もう一枚近くにある紙を取る。
やはりそれに描かれている絵は、俺が覚えている限り見れば見るほど真夜のものに似ている。
「兄妹……お兄ちゃんがいたよ~」
兄。
…………。
………………。
「もしかすると、サークル名タマゴと雄のマヨネーS先生ですかね……?」
俺がそう聞くと、え、とノエルが顔を上げた。
俺の方を凝視している。
「なんで、私のサークル名とペンネーム知ってんの⁈」
そりゃ、俺がお前の兄だからだよ!
※
「マジか。マジでお兄?」
事実は小説より奇なり……。
俺が兄でお前が妹で……もうびっくりだわ……。
とんだ事実が発覚している中、起こしに来たナイジェルによって俺たちは着替えさせられ、今は朝食も終えてくつろぎタイムだ。
朝食にはキースも参加しているので、前世のことなんて話せないので、早々と食べ終えた後に俺たちは侯爵家内にある書庫に来ていた。
ここならば、お茶でも飲もうというキースに対して、勉強するのでまた後程、という言い訳も通ったからである。
10人は座れそうな大きな四角テーブルに並んで座っており、ノエルの手元には書き散らした漫画があった。
「俺の名前は鴛野真昼。妹の名前は鴛野真夜。妹はAB型でサークル名はタマゴと雄。ペンネームはマヨネーS」
「……いやいやいや!それくらいならそれなりに!お兄なら合言葉が言えるはず!」
至って真剣にノエルは言う。……妹が阿保だった件について。
いや警戒心があるのは悪くないか。でも今の情報って、そんなに知ってるやつもいなさそうだけどな。合言葉ねぇ……。多分あれだな。
「アカ」
ノエルが俺を見つめながら言う。
俺もノエルに視線を合わせながら、
「スリ」
そう言った。
アカスリ。アカは色の赤ともとれるが、この場合のアカは垢。
……垢すりである。俺と真夜が小さいころに決めた合言葉。
ノエルは──真夜は大きく目を見開き、手に持っていた紙を机の上に無造作に置くと、がっと抱き着いてきた。
「お兄----!」
「まさかお前がいるとは……」
俺もノエル……真夜……見た目に合わせてノエルでいいか!ともかくノエルの背中に手をまわしてぽんぽんと叩いた。
「えー!そっかー!じゃあ、あの時……お兄も死んじゃったかー!」
「あの時?」
俺が首を傾げると、ノエルも同じく首を傾げた。
「あ、覚えてない?イベントの帰りにさーお兄と私が歩いてたら車が突っ込んできたじゃん」
そこまで聞いて、ざぁっと記憶が飛び込んできた。
俺と真夜……そうだ、あの日は二人で真夜の同人誌即売会(売り子)に付き合って、その帰りに──俺らは車に突っ込まれたんだ。最後に真夜が……新刊まだ読んでないー!と叫んで……最後がそれかよ!
「……思い出した……」
「いやー新刊読めなかったんだよね。ノエル、の。もう私ショックで……」
「え、お前今もそれ言うの?!」
筋金入りの腐った女子である真夜ことノエルは明後日どころか一か月先でもびっくりな発言をしやがる。怖かった、とかさ。色々ある中でそれなんか、お前……まあ、俺なんか覚えてもなかったけどさ。
PTSDとかになるよりはいいんかね、これね……。
変に明るい思考の妹はそれはそれでいいのかもしれない。
……なんて考えていると、
「どういう状況かな?」
リンドンと同じときのように、キースの声が耳に届いた。
……抱き合ったままです、ねぇ。
ちょっと色々と情報過多な気がするな。
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