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5章 最終話
5.1 最終話①
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お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
うん、なんだ、体が痛い。
目を開ける、まぶしい。光。
目の前に見えるのはシルクヴィスクレア、かあさんだ。
「かあさん、戻ったよ」
「クレストリア、良かった」
「違うんだ、かあさん。生まれた直後に死んだランスターエルリック本人だ。ちょっとだけ体を借りてるんだ」
「そうなの」
「僕は、生まれた直後に侍女に毒を盛られて死んだんだ。その直後にクレストリアの魂が入り込み生き返った。僕はずっとクレストリアの中から世界を見ていた。母さんから離れて、再び会った時はうれしかった。叫びたかったけどできなかった」
「ランスターエルリック」
「ありがとう、そう呼んでくれてうれしいよ。でも僕はここで消えるよ。この後クレストリアに融合される。でも僕は僕だ。クレストリア共々これからもよろしくね」
「わかったわ。愛する息子ランスターエルリック」
「ごめん、離して。おかあさま、システィナかあさま」
「ここよ、ここにいるわ」
「おかあさま、久しぶり。会えて嬉しい。おかあさま、おかあさま」
「クレストリア。クレストリア」
「ごめんねおかあさま。先に死んでしまってごめんなさい」
「良いのよ。そんな体に生んだかあさまが悪いの。あなたは悪くないわ」
「かあさま、僕はこれで消えるけど、ランスターエルリックの体の中でこれからも生きていくから」
「わかったわ」
「クレストリア」
「ランスターエルリック」
「うーん、記憶が混乱。どうなってるんだ」
「えっと、どっち?」
「アデリート、ジェーン、カトリーヌ、ビアンカ、みんな無事か」
「無事だけど、なんで最初による名前がアデリートなのかな?」
目の前にジェーンレオノールがちょっと怒り気味に言ってきた。
「え、な、なんでだろうね。アから口にでた」
「ほんとに?」
「いや、ちょっと待って、それよりも待て待て。なんだこの記憶」
「大丈夫ですか?」
第6王女のアデリートメアリ様が声をかけ来た。
「先ほど別の方としてお話をしていましたよ。その方々の記憶があるのですか」
第7王女のカトリーヌメアリー様が声をかけてくる。
彼女は未だ未成年なので第5王女のジェーンレオノーレ様ほど僕の魔石を身に着けていない。
まだ少ししか染まっていない。
それでもアドリート様よりは僕の魔力に近く、親和感がある。
なんでこの状態でアデリート様の名前なんか口にしたのだろうか。やはり同級生だから普段から良く名前を口にするせいだろうか。
「ビアンカ、いるのか」
「います。御身の傍に」
そういって濡れた暖かいタオルを渡してくれた。
彼女は僕の魔力に染まっているので、近くにいると落ち着いた感じがする。
ほっとした瞬間だった。突然フラッシュバックのように前世の記憶がよみがえる。
ああ、そうかアドリートメアリ様の眼元と髪型が、前世の恋人に似ていたんだ。
だが、それだけのこと。
統合された意識は、成長前のランスターエルリックにクレストリアと比べ十分に成長した僕の意識の方が強く、さらに1対1ならまだしも複数の複合があったために元の人格が大半を占有したようだ。
「フェルディーノ様、ありがとうございます。助かりました。エイレーネアテナ様も」
僕はゆっくりと立ち上がり、二人にお礼を言った。
「いや、狙い通り上手くいったみたいだな。これを」
フェルディーノ様特性の回復薬か。
「フェルディーノ、それは毒と間違える回復薬ではありませんか。クレストリア様、それはとても不味いのですが、とっても強力な回復薬です。良薬口に苦しと言いますが、毒と間違えるほどに不味いのです。ですが一気に飲んでください。死ぬ気になれば飲めます」
「それほどひどいのですか。それほど効果が無くても別の薬を。 いや飲みます。はい」
フェルディーノ様の怖い顔を見て、飲むことにした。
覚悟を決めて一気に飲み込む。
「うーん、まずい。もう一杯」
「いや、一杯だけで良い」
「異世界の冗談ですよ。フェルディーノ様。記憶が統合された証拠です」
「そうそう。正直二度と飲みたくない味ですね。貰っておいてなんですが、くそ不味い。でも体が一気に楽になりました。魔力も回復してきたし効果はわかります。貴重な薬をありがとうございました」
「ではすぐに神の書を受け取りに行きなさい。この混乱を収めるには神の書が無ければ収まらぬ」
「はい。では行ってきます」
僕は使役獣のノール呼び出し図書館の裏にある祠へ向かった。
「転生者はめぐりあう」 始めました。
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うん、なんだ、体が痛い。
目を開ける、まぶしい。光。
目の前に見えるのはシルクヴィスクレア、かあさんだ。
「かあさん、戻ったよ」
「クレストリア、良かった」
「違うんだ、かあさん。生まれた直後に死んだランスターエルリック本人だ。ちょっとだけ体を借りてるんだ」
「そうなの」
「僕は、生まれた直後に侍女に毒を盛られて死んだんだ。その直後にクレストリアの魂が入り込み生き返った。僕はずっとクレストリアの中から世界を見ていた。母さんから離れて、再び会った時はうれしかった。叫びたかったけどできなかった」
「ランスターエルリック」
「ありがとう、そう呼んでくれてうれしいよ。でも僕はここで消えるよ。この後クレストリアに融合される。でも僕は僕だ。クレストリア共々これからもよろしくね」
「わかったわ。愛する息子ランスターエルリック」
「ごめん、離して。おかあさま、システィナかあさま」
「ここよ、ここにいるわ」
「おかあさま、久しぶり。会えて嬉しい。おかあさま、おかあさま」
「クレストリア。クレストリア」
「ごめんねおかあさま。先に死んでしまってごめんなさい」
「良いのよ。そんな体に生んだかあさまが悪いの。あなたは悪くないわ」
「かあさま、僕はこれで消えるけど、ランスターエルリックの体の中でこれからも生きていくから」
「わかったわ」
「クレストリア」
「ランスターエルリック」
「うーん、記憶が混乱。どうなってるんだ」
「えっと、どっち?」
「アデリート、ジェーン、カトリーヌ、ビアンカ、みんな無事か」
「無事だけど、なんで最初による名前がアデリートなのかな?」
目の前にジェーンレオノールがちょっと怒り気味に言ってきた。
「え、な、なんでだろうね。アから口にでた」
「ほんとに?」
「いや、ちょっと待って、それよりも待て待て。なんだこの記憶」
「大丈夫ですか?」
第6王女のアデリートメアリ様が声をかけ来た。
「先ほど別の方としてお話をしていましたよ。その方々の記憶があるのですか」
第7王女のカトリーヌメアリー様が声をかけてくる。
彼女は未だ未成年なので第5王女のジェーンレオノーレ様ほど僕の魔石を身に着けていない。
まだ少ししか染まっていない。
それでもアドリート様よりは僕の魔力に近く、親和感がある。
なんでこの状態でアデリート様の名前なんか口にしたのだろうか。やはり同級生だから普段から良く名前を口にするせいだろうか。
「ビアンカ、いるのか」
「います。御身の傍に」
そういって濡れた暖かいタオルを渡してくれた。
彼女は僕の魔力に染まっているので、近くにいると落ち着いた感じがする。
ほっとした瞬間だった。突然フラッシュバックのように前世の記憶がよみがえる。
ああ、そうかアドリートメアリ様の眼元と髪型が、前世の恋人に似ていたんだ。
だが、それだけのこと。
統合された意識は、成長前のランスターエルリックにクレストリアと比べ十分に成長した僕の意識の方が強く、さらに1対1ならまだしも複数の複合があったために元の人格が大半を占有したようだ。
「フェルディーノ様、ありがとうございます。助かりました。エイレーネアテナ様も」
僕はゆっくりと立ち上がり、二人にお礼を言った。
「いや、狙い通り上手くいったみたいだな。これを」
フェルディーノ様特性の回復薬か。
「フェルディーノ、それは毒と間違える回復薬ではありませんか。クレストリア様、それはとても不味いのですが、とっても強力な回復薬です。良薬口に苦しと言いますが、毒と間違えるほどに不味いのです。ですが一気に飲んでください。死ぬ気になれば飲めます」
「それほどひどいのですか。それほど効果が無くても別の薬を。 いや飲みます。はい」
フェルディーノ様の怖い顔を見て、飲むことにした。
覚悟を決めて一気に飲み込む。
「うーん、まずい。もう一杯」
「いや、一杯だけで良い」
「異世界の冗談ですよ。フェルディーノ様。記憶が統合された証拠です」
「そうそう。正直二度と飲みたくない味ですね。貰っておいてなんですが、くそ不味い。でも体が一気に楽になりました。魔力も回復してきたし効果はわかります。貴重な薬をありがとうございました」
「ではすぐに神の書を受け取りに行きなさい。この混乱を収めるには神の書が無ければ収まらぬ」
「はい。では行ってきます」
僕は使役獣のノール呼び出し図書館の裏にある祠へ向かった。
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