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決着
20.2 成功した転生
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ようやくベッドから起き上がり歩けるようになったころ、アリスたちが到着した。
城は僕らが壊したが、王都の建物は魔物との戦いでボロボロだ。
皆、テント生活をしている。
「クリス様、大丈夫ですか」
アリスが到着した、僕は駆けてくるアリスを抱きしめて、キスをした。それから体を放して正面に立つ。
「ああ、アリスのおかげで何とかね。魔力は半分ぐらいになっちゃたし、高位の魔法も付かないけど、まあこれからだね」
「クリス、いきなりべたべたとしている所悪いけど、私達の存在にも気が付いて?」
幼いアイオスを抱いたアンシェリー母様にソフィーが来ていた。
「お母様、それにソフィーにアイオス、来てくれたのですね。
ああ、そうだった。すいません母様。思い出の噴水や庭は壊してしまいました」
「え、ああ良いのよ。ここまで壊れているのならいっそのこと気持ち良いぐらいね。これから長い時間をかけて母様が愛した庭園を造るわ、それに全くダメになったわけでは無いのよ。母様の好きだった薔薇が少し残っていたから」
「そうですか、良かった。聞いてると思いますけど、僕にはもアースアシュリーの記憶は無いのです。昔の城の様子は思い出せません。ああ壊す前の城の形は覚えてますけど」
「そう、それにしても城って人の手で壊せるものなのね」
「半分は魔王さんが壊した事になってます」
「そう、半分は貴方がやったのね」
「おじいさまもです」
「なるほど、そうなの」
「そうそう」
「まあ、貴方が無事だったから良いのよ。じゃあアリスさんクリスは任せるわ。私は兵士達の慰問に回ります。ソフィー、アイオスの事をお願いね」
そう言って、母様はお付の人を連れて出て行った。扉の所に父上が居たから一緒に回るのだろう。
思い出した記憶、父上と母上の恋愛秘話。黙っていた方が良いのだろうな。結婚してすぐに僕が生まれた。つまり16年が過ぎてもあれだけ仲が良いのだ。結びつけるキューピットになった者としてはやったかいがあったと言うことだろう。
にやにやとしながら二人を見送ったら、アリスから声がかかった。
「どうされたのですかクリス様。お父様とお母様の方を見てそんなに嬉しそうに」
「うん、僕らも年をとってもあんな感じの仲の良い夫婦になりたいね」
「まあ、クリス様。でもそれは難しいかもしれませんよ」
「え、なんで」
アリス、もう熱が冷めたのか。
「あの方々は、良くも、悪くも準貴族の枠で楽しまれています。貴族としての責務がそれほど厳しくなかった。わたくし、アンシェリー母様にきっちりと教えて頂きました。
クリス様は、ここの領主になられるそうです。その際に子爵に。そして復興が終われば伯爵に。ですからより多くの優秀な血を残すために第2夫人や側室を取らなければならないそうです」
「でも、おじいさまも妻は一人だった。子供は3人いたし。母様も3人産んだ。アリスも3人ぐらいなら大丈夫だって、僕も今日から頑張るから。母様もきっとそういう事があるかもって気構えを教えただけでそれを望んでいる訳じゃないと思うよ」
「クリス様。でもそれは、アンシェリー母様と相談をしてください。私はその方が嬉しいのですが」
アリスを抱きしめて、キスをしようとする。
「お兄様、まだ昼間なのです。それにしばらくはテント生活ですから、男女別です」
「え、マジ」
「マジです」
厳しい顔で妹が話す。
「アリス、ほんと?」
「そのようです。アンシェリー母様にも言われましたから」
せっかく戦いが終わったのに、お預けか。いや家ならまだしも城が建つのなんてどれだけかかるんだ。
「一月後に、王都に行きますからそれまではダメです」
なんと、一月も。
「その前に、改宗の儀式をやって欲しいのだけど、お兄様は司祭の資格があるのでしょう」
「えあるよ。そうだ、それやらないと。元に戻さないといけないんだ。僕の役目だった。
…… そうだっけ?」
「クリス様、それはクリス様だけの役目では無いわ。私も、私達で皆が楽しく暮らせる領地にしていきましょう」
あれ、僕の使命ってそんなだったか。あれ役割だったかな。なんだか違うような気がする。だけどこれは、きっと使命が終わったからかな。もう覚えておく必要が無いって事か。それともそこの記憶まで亡くなったのか。
「まあ、良いか。そうだね、これからの僕の、いや僕らの役割は楽しい領地にすることだね。アリス、君と共に」
「はい」
「私達もいるのよ、忘れないでね」
妹、弟、そして両親。皆が居る。
僕は今世を生きていきます。
城は僕らが壊したが、王都の建物は魔物との戦いでボロボロだ。
皆、テント生活をしている。
「クリス様、大丈夫ですか」
アリスが到着した、僕は駆けてくるアリスを抱きしめて、キスをした。それから体を放して正面に立つ。
「ああ、アリスのおかげで何とかね。魔力は半分ぐらいになっちゃたし、高位の魔法も付かないけど、まあこれからだね」
「クリス、いきなりべたべたとしている所悪いけど、私達の存在にも気が付いて?」
幼いアイオスを抱いたアンシェリー母様にソフィーが来ていた。
「お母様、それにソフィーにアイオス、来てくれたのですね。
ああ、そうだった。すいません母様。思い出の噴水や庭は壊してしまいました」
「え、ああ良いのよ。ここまで壊れているのならいっそのこと気持ち良いぐらいね。これから長い時間をかけて母様が愛した庭園を造るわ、それに全くダメになったわけでは無いのよ。母様の好きだった薔薇が少し残っていたから」
「そうですか、良かった。聞いてると思いますけど、僕にはもアースアシュリーの記憶は無いのです。昔の城の様子は思い出せません。ああ壊す前の城の形は覚えてますけど」
「そう、それにしても城って人の手で壊せるものなのね」
「半分は魔王さんが壊した事になってます」
「そう、半分は貴方がやったのね」
「おじいさまもです」
「なるほど、そうなの」
「そうそう」
「まあ、貴方が無事だったから良いのよ。じゃあアリスさんクリスは任せるわ。私は兵士達の慰問に回ります。ソフィー、アイオスの事をお願いね」
そう言って、母様はお付の人を連れて出て行った。扉の所に父上が居たから一緒に回るのだろう。
思い出した記憶、父上と母上の恋愛秘話。黙っていた方が良いのだろうな。結婚してすぐに僕が生まれた。つまり16年が過ぎてもあれだけ仲が良いのだ。結びつけるキューピットになった者としてはやったかいがあったと言うことだろう。
にやにやとしながら二人を見送ったら、アリスから声がかかった。
「どうされたのですかクリス様。お父様とお母様の方を見てそんなに嬉しそうに」
「うん、僕らも年をとってもあんな感じの仲の良い夫婦になりたいね」
「まあ、クリス様。でもそれは難しいかもしれませんよ」
「え、なんで」
アリス、もう熱が冷めたのか。
「あの方々は、良くも、悪くも準貴族の枠で楽しまれています。貴族としての責務がそれほど厳しくなかった。わたくし、アンシェリー母様にきっちりと教えて頂きました。
クリス様は、ここの領主になられるそうです。その際に子爵に。そして復興が終われば伯爵に。ですからより多くの優秀な血を残すために第2夫人や側室を取らなければならないそうです」
「でも、おじいさまも妻は一人だった。子供は3人いたし。母様も3人産んだ。アリスも3人ぐらいなら大丈夫だって、僕も今日から頑張るから。母様もきっとそういう事があるかもって気構えを教えただけでそれを望んでいる訳じゃないと思うよ」
「クリス様。でもそれは、アンシェリー母様と相談をしてください。私はその方が嬉しいのですが」
アリスを抱きしめて、キスをしようとする。
「お兄様、まだ昼間なのです。それにしばらくはテント生活ですから、男女別です」
「え、マジ」
「マジです」
厳しい顔で妹が話す。
「アリス、ほんと?」
「そのようです。アンシェリー母様にも言われましたから」
せっかく戦いが終わったのに、お預けか。いや家ならまだしも城が建つのなんてどれだけかかるんだ。
「一月後に、王都に行きますからそれまではダメです」
なんと、一月も。
「その前に、改宗の儀式をやって欲しいのだけど、お兄様は司祭の資格があるのでしょう」
「えあるよ。そうだ、それやらないと。元に戻さないといけないんだ。僕の役目だった。
…… そうだっけ?」
「クリス様、それはクリス様だけの役目では無いわ。私も、私達で皆が楽しく暮らせる領地にしていきましょう」
あれ、僕の使命ってそんなだったか。あれ役割だったかな。なんだか違うような気がする。だけどこれは、きっと使命が終わったからかな。もう覚えておく必要が無いって事か。それともそこの記憶まで亡くなったのか。
「まあ、良いか。そうだね、これからの僕の、いや僕らの役割は楽しい領地にすることだね。アリス、君と共に」
「はい」
「私達もいるのよ、忘れないでね」
妹、弟、そして両親。皆が居る。
僕は今世を生きていきます。
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