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本編
12.6 魔物襲撃
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領都に向かった者達が出発から一月後。僕も周りの街に塀を作り、建物を建てて帰って来た。
ちょうど皆が落ち着いた頃に、領都に出発した部隊と合わせて父上達、さらに行商人がセットで戻って来た。
50人の兵士は5人が死亡、5人が重症。他は軽傷者が20名。軽傷者は既に治療済みだった。
重傷者は教会に集めて神官に回復魔法を使う。もちろん、裏から僕が上級の回復魔法を使った。
こうして、無事に戦いが終わった。
「ようやく敵を殲滅して領都に帰還した時にこいつらがやって来てな、この街も襲われたと聞いて驚いたが、すでに撃退済みでオーガの首がエール漬けになっていると言うんだ。なんの冗談かと思ったが、本当に首が6体あるし、皮もダメージが殆どない。どうやればこういう倒し方ができるのか驚いたぞ」
「上位個体は、上手く倒れたのでなるべく素材の価値を残すように最後に心臓だけを打ち抜きましたから」
「ああ、それだ。我々の方にもオーガの上位個体はいたが、最後はボロボロになるまでの殺し合いで素材もボロボロだったのだ。素材は領都でも売れないから男爵様に献上したのだが、男爵様も父上もとても驚いておられた。
だが、オーガのエール漬けは理由を聞いて笑っておられた」
「そうですか、オーガの素材は献上になるのですか。税の代わりにはなりませんでしたか」
「ああ、なった。今年はこの近辺の税は無しだ。この街は近隣に食料を配給するように言われたが、代わりに剣と防具を貰えるそうだ」
「ふーん」
「ふーんって、領主様から剣と防具を貰えると言うのはすごい事なんだぞ。準男爵に近いんだぞ。おそらく春からは、近隣の5町の管理者になれるはずだ」
「ほう、昇格ですか、それはおめでとうございます父上」
「まあな。半分以上はお前のおかげだがな」
そう言って、頭を撫でてくれた。これが褒美らしい。まあ一番うれしいかもしれない。
「そうそう、なぜかオーガのエール漬けは領都の飲み屋で噂になっていたな。えらい勢いでエールが売れていたぞ。なぜかそなたたちがオーガにエール飲ませて酔わせたところを倒したと言う話になっていた。まあ正直に魔法で倒したよりも信じやすい話だ。そなた突出した魔法が使える事は秘密にしたかったのだろう。特に否定せずに帰って来たぞ」
「そうですか、まあその方が良いかな」
「ああ、ちなみに、領都のエール屋が樽をプレゼントしてくれたぞ」
「それは僕には全くもって嬉しくもなんともない話ですね」
「リンゴのジュースだが、必要ないか?」
「エール屋がリンゴジュースも作っていたとは、賢い店主ですね」
ずーとずーと酒は飲んでないからお酒なんてありがたくもない。ジュースの方が良いに決まっている。
「ふはは、そういう所だけを聞くと子供らしいのだがな」
こうして、再び平穏が日々が戻った。
ちょうど皆が落ち着いた頃に、領都に出発した部隊と合わせて父上達、さらに行商人がセットで戻って来た。
50人の兵士は5人が死亡、5人が重症。他は軽傷者が20名。軽傷者は既に治療済みだった。
重傷者は教会に集めて神官に回復魔法を使う。もちろん、裏から僕が上級の回復魔法を使った。
こうして、無事に戦いが終わった。
「ようやく敵を殲滅して領都に帰還した時にこいつらがやって来てな、この街も襲われたと聞いて驚いたが、すでに撃退済みでオーガの首がエール漬けになっていると言うんだ。なんの冗談かと思ったが、本当に首が6体あるし、皮もダメージが殆どない。どうやればこういう倒し方ができるのか驚いたぞ」
「上位個体は、上手く倒れたのでなるべく素材の価値を残すように最後に心臓だけを打ち抜きましたから」
「ああ、それだ。我々の方にもオーガの上位個体はいたが、最後はボロボロになるまでの殺し合いで素材もボロボロだったのだ。素材は領都でも売れないから男爵様に献上したのだが、男爵様も父上もとても驚いておられた。
だが、オーガのエール漬けは理由を聞いて笑っておられた」
「そうですか、オーガの素材は献上になるのですか。税の代わりにはなりませんでしたか」
「ああ、なった。今年はこの近辺の税は無しだ。この街は近隣に食料を配給するように言われたが、代わりに剣と防具を貰えるそうだ」
「ふーん」
「ふーんって、領主様から剣と防具を貰えると言うのはすごい事なんだぞ。準男爵に近いんだぞ。おそらく春からは、近隣の5町の管理者になれるはずだ」
「ほう、昇格ですか、それはおめでとうございます父上」
「まあな。半分以上はお前のおかげだがな」
そう言って、頭を撫でてくれた。これが褒美らしい。まあ一番うれしいかもしれない。
「そうそう、なぜかオーガのエール漬けは領都の飲み屋で噂になっていたな。えらい勢いでエールが売れていたぞ。なぜかそなたたちがオーガにエール飲ませて酔わせたところを倒したと言う話になっていた。まあ正直に魔法で倒したよりも信じやすい話だ。そなた突出した魔法が使える事は秘密にしたかったのだろう。特に否定せずに帰って来たぞ」
「そうですか、まあその方が良いかな」
「ああ、ちなみに、領都のエール屋が樽をプレゼントしてくれたぞ」
「それは僕には全くもって嬉しくもなんともない話ですね」
「リンゴのジュースだが、必要ないか?」
「エール屋がリンゴジュースも作っていたとは、賢い店主ですね」
ずーとずーと酒は飲んでないからお酒なんてありがたくもない。ジュースの方が良いに決まっている。
「ふはは、そういう所だけを聞くと子供らしいのだがな」
こうして、再び平穏が日々が戻った。
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